隊長が、これまでに鑑賞した「映画」を紹介するシリーズの第146作品目は、『The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠⅠ』をお送りします。
『The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠⅠ』(中国語簡体字原題:太平轮:彼岸、英題:The Crossing 2)は、2015年に制作・公開された中国・香港合作映画。日本での公開は、2019年6月14日。
『The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠ』は、既に紹介しています 。
尚、合作を含む中国映画を、これまでに、11作品紹介しています。詳細は、こちらの記事一覧をご参照下さい 。
監督・脚本は、「 PartⅠ」と同じくジョン・ウー (吴 宇森)。
「隊長のブログ」で紹介したジョン・ウーの作品一覧は、こちらをご覧ください 。
音楽担当は、日本人の岩代太郎。
主な出演者は、金城武、長澤まさみ、中国出身のホアン・シャオミン (黄晓明) 、チャン・ツィイー (章子怡) 、トン・ダーウェイ (佟大为) 、そして韓国出身の (ソン・ヘギョ) 。
金城武が出演する映画は、これまでに7作品を紹介しています。詳細は、こちら 。
長澤まさみの作品も、これまでに7本取り上げています。詳細は、こちら 。
チャン・ツィイーの、出演映画記事一覧は、こちらをご参照下さい 。
『ザ・クロッシング』の舞台は、1945年の中国国共内戦。蒋介石を指導者とする国民党と、毛沢東率いる共産党の対立が最も激化。日本の占領下にあった台湾と、中国本土との内戦の最中に出会った3組の男女の出会いと別れ、移りゆく愛の物語です。
「PartⅠⅠ」の上映時間は、129分。
鑑賞したのは、PartⅠ同様、新宿三丁目にある「シネマート新宿」の定員62名のスクリーン2。この日、同館ではスクリーン2で、「 PartⅠ」の上映が、9:45~11:58。「PartⅠⅠ」は、 12:15~14:25(予告編を含む)と、1日各一回のみでした。「 PartⅠ」の観客の内、1/4位は引き続き「PartⅠI」を観ていました。また、「PartⅠⅠ」は満席で、立ち見客が10数人いました。立ち見が出る映画を観たのは、久しぶりです。
「PartⅠⅠ」(後編) 太平輪号編のあらすじ:1949年、1,000人近い乗客乗員を乗せて中国・上海から台湾・基隆へ向かっていた大型貨客船「太平輪」。
船 にはユイ・チェン (チャン・ツィイー) 、イェン・ザークン (金城武 )、トン・ターチン (トン・ダーウェイ) が、それぞれに違う目的で乗船していました。
深夜、付近を航海中の貨物船と衝突した事で船内はパニックに陥り、それまでお互いを知る事の無かった男女の3組の運命が交差して 。。。
感想:ベースは、中国国民党の将校 レイ・イーファン(ホアン・シャオミン)と財閥令嬢のチョウ・ユンフェン(ソン・ヘギョ)、台湾生まれのザークンと日本人の雅子(長澤まさみ)、トンとユイ、3組の男女の出会いと別れ、移りゆく愛の物語です。しかし、民族や政治とは何なのかと、考えさせられる映画でもありました。
オープニングは、国民党軍と共産党軍の内戦が激化し、台湾に疎開するために人々が必死で「太平輪」に乗り込むシーンです。隊長が、上海に駐在していた頃の夢は、駐在が終わり、日本に帰任する際、飛行機ではなく、上海黄浦江の港から客船で優雅に帰国するというものでした。その夢は叶えられませんでしたが、今では穏やかな黄浦江、70年前にはあんなにも殺伐としていたのですね。
オープニングから約30分間は、「 PartⅠ」の感想シーンが続きます。「 PartⅠ」を観ずに、「PartⅠⅠ」を観た人や、隊長の様に前編を観て二週間経っている観客は、ストーリーの繋がりが分かって良いのですが、この日連続して二本観る人には、退屈だったでしょう。
この映画を観て、初めて知ったことは、日本統治終了後、台湾に進駐した国民党政府が、反対派を共産党員として弾圧し、ザークンの弟の様に、台湾から大陸に行き共産党軍に加わった学生らがいたことです。
「 PartⅠ」では、オープニングの国民党軍とザークンが従軍していた日本軍、エンディングのレイ率いる国民党軍と共産党軍、の戦闘シーンのリアルさに驚かされました。「 PartⅠI」では、「太平輪」の沈没さる様のリアルさに驚かされました。VFX技術の進化による物とは言え、沈没シーンの描写では、映画「タイタニック」を遥に凌駕しています。
史実では、太平輪沈没事故の犠牲者は1,000人以上、オーストラリア軍艦が救助した生存者は34人となっています。映画では、その34人の中に、トンとユイの二人が含まれています。二人は、台湾で夫婦となり幸せに暮らしたでしょう。また、未亡人となったユンフェンは、トンが命懸けで持ち帰ったレイの手帳により、夫の愛の深さを知り、残された子と、この地で生きていきます。しかし、最も悲劇なのは、ザークンと雅子でしょう。
沈み行く子供達を助け、自らは海の藻屑となったザークン。死ぬ間際に、おそらく日本で入水自殺したであろう雅子と、一瞬巡り合えたことが、幻とは言え、唯一の救いです。
監督・脚本、ジョン・ウー。金城武、出演。音楽、岩代太郎。 PartⅠ、PartⅠⅠの二本立て作品。これは、『レッドクリフ』と同じです。同作品が、中国、日本で上映されたのは、同じ2008年と2009年。そして、日本でもヒットしました。
一方、『ザ・クロッシング』は、中国から4~5年遅れの日本公開。上映館も都内は、「シネマート新宿」のみ。一日の上映回数は、1回。テレビでの宣伝もなしと、偉い違いです。
キャスティングに、金城武、長澤まさみ、黒木瞳( PartⅠ)。さらに、日本にもファンが多い韓流スターのソン・ヘギョを起用。音楽担当は、日本人の岩代太郎。と、制作前は日本マーケットを意識して、『レッドクリフ』の “二匹目のドジョウ” を意識していたと思います。
しかし、隊長の観た回で立ち見が出たと言っても、定員62名の小スクリーンです。日本での興行は、失敗でしたね。
これは、『レッドクリフ』が、日本でも昔から知られている「三国志」を題材にしていて、諸葛亮(しょかつ りょう)役を金城武が演じるなど、日本でヒットする要素がテンコ盛りでした。
それに対して、『ザ・クロッシング』は、日本では馴染みのない、国共内戦や、国民党の台湾統治を題材にしているからでしょうね。
でも、隊長は、個人的には、『ザ・クロッシング』は、好きな映画です。
尚、「シネマート新宿」では、「 PartⅠ」「 PartⅠⅠ」ともに、6月27日(木)迄の上映です。
==「映画」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f
Film1~135 省略
Film136 2018/12/20『Taxi4』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/b4c34d387c141f0ff9df7df1449f7ec6
Film137 2019/1/15 『伊豆の踊子(昭和38年)』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4e78c8e001d543cebaee9d704fa50f67
Film138 2019/2/14 『遙かなる山の呼び声』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/35951db56d912eb61271dbfea08ca44c
Film139 2019/2/28 『明日に向って撃て!』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8ac3e850f5ead3d1d77044082040ec13
Film140 2019/3/6 『グリーンブック』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/41fa9f5b3cda1fe4efd7db96be00b173
Film141 2019/4/17 『芳華-Youth-』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/ba7c3d70185efca9a6a2548e2349c814
Film142 2019/5/5 『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/3d7b8668b52cea8fc68dc2ef910322e3
Film143 2019/5/19 『コラテラル』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/d5f083dad2dfff12ddda9a2c1ef46b2e
番外編 2019/5/31 『訃報:降旗康男監督』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/788dfef3a9feda5273c9cb83a1b2c0a0
Film144 2019/6/11 『The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/849e6b791556b4146f769632abbc9c5a
Film145 2019/6/19 『スティング』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4f4577d7ea995b940026fa793953ecea
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