ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

K.040. ブリキの如露(じょろ)Regador

2018-11-12 | 飾り棚

全長 32cm

  日本語の「じょろ」は何だか不思議な名前だ。
  「如露」と書いてみても何となく当て字っぽい。
  「じょうろ-如雨露」とも言う。
  文字を見ていると美しくイメージは広がるがやはり当て字っぽい。

  外来語ではないのか?と思ってポルトガル語の辞書を引いてみた。
  「じょろ」は[Regador]と書いてある。
  でも[Jorro]を引いてみると「噴出、ほとばしり」と出てくる。
  [Jorro de água]で「水の噴出」とある。
  これは間違いなくポルトガル語からの外来語だろう。
  ちなみに[Jarro]なら「水差し」となる。

  このブリキのじょろはモイタの露天市で買った。
  大きさも様々あるが、手作りだから一つずつ微妙に違う。
  手作りのブリキ製品にもいろんなな物がある。
  バケツや塵取り、漏斗(じょうご)、ねずみ獲り器の他栗焼き専用の鍋、オリーヴ掬い、火鉢などポルトガル独特の物もある。

  その中でも「じょろ」は複雑でブリキ職人の腕の見せ所ではないのだろうか?
  それに何となくだがプラスティックの物よりポルトガルらしいとも思った。

  使ってみるとこれが案外、噴出口から出る水は柔らかくて優しい。

MUZ

©2018 MUZVIT

 


K.039. アレンテージョ絵柄オリーヴいれ Azeitoneira

2018-11-11 | 飾り棚

直径 15.2cm

 収穫したオリーヴの実をドンゴロスの袋に入れ担いで持って帰るところだろう。
 太陽が西に傾き暑そうだ。

 オリーヴの木はあまり水の行き渡らない荒地などでも良く実を付ける。
 でも収穫となれば大変な作業だ。

 塩のたっぷり利いたオリーヴの塩漬けをあてによく冷えたアグアッペ(二番絞りのワイン)の一杯は重労働の後には堪らない。
 そうして収穫の喜びを噛みしめる。

 スーパーでは粒の揃った上等の塩漬けオリーヴが売られているが、私は収穫時期にメルカド(市場)で見かける不揃いなオリーヴの浅漬けが好きだ。
 小さいのや大きいの、緑の、黒いの、葉っぱまで混じったの。
 ちょっと渋いけれど、そんなオリーヴを食べていると、自分も収穫の手伝いをしているような気分を味わえる。

MUZ

©2018 MUZVIT


K.038. 素焼きの土鍋 Tacho

2018-11-10 | 飾り棚

直径 17,5cm

 アロス・デ・マリスコス(海産物雑炊)なら一人前用のかわいい土鍋。
 レストランではこの大きさの土鍋に材料を入れて、そのままコンロに乗せて炊く。
 テーブルに運ばれてきた時は、グツグツと音を立てて鍋からこぼれんばかり。
 一人前なのにたっぷり二人前はある。
 でもそれだけですますわけにいかないので、しかたなく別のもう一皿を注文。
 その一皿もたっぷりの量なので、ふうふう言いながらもかなり食べてしまう。
 これでまた太るのだ~。

 アロス・デ・マリスコスの他にアロス・デ・ポルボ(タコの雑炊)アロス・デ・エンギーヤ(ウナギのぶつ切り雑炊)マッサ・デ・シェルネ(アラという魚とのマカロニ雑炊)などが鍋ごと出てくる。

 この土鍋はポルトガルに住み始めて一年くらいの時に鍋焼きうどんに丁度よいと思って二個買った。
 初めて作ったうどんは腰があって上出来だったのだが、その後はなかなか旨くは出来ない。
 これもビギナーズラックと言うのだろう。
 安定した小麦粉を買い求めるのにも苦労をする。
 足で踏んだり、叩きつけたり、苦労の割には出来はもひとつなのでうどんはあまり作らなくなった。
 麺なら安易にスパゲッティと言う事になる。
 うどんは帰国時の楽しみに取っている。MUZ

©2018 MUZVIT

 

 


K.037. アレンテージョ麦刈り絵柄深皿 Tigela Pintura Alentejana

2018-11-09 | 飾り棚

直径 21,5cm

 我家では「豚じゃが」など,どっさりできた煮物などを盛る時によく使う深皿。

 今年の四月は一ヶ月間、展覧会場の宮崎空港まで毎日自転車で通っていた。
 途中に見える風景には早場米を植えた田んぼがいくつかあり、そんな中に一箇所、周りや田んぼの上まですっぽりと網で囲ったところがあった。
 「どうしてだろう?」と不思議に思って目をこらすと、苗の間をちょろちょろと、たくさんの小さな黒い物が動きまわっている。
 それはカルガモの赤ちゃんたちだった。50羽以上もいる。
 この田んぼはカルガモ農法で、稲もカモも育てているのだ。

 それからは行き帰りにカルガモたちを見るのが楽しみで自転車をこいでいた。
 一ヶ月の展覧会期間に稲も随分と大きくなったが、カルガモの赤ちゃんもみるみる大きくなっていった。

 そのカルガモの柵の向こう側に黄色く色づいた田んぼがあった。
 春に黄色く色づいた田んぼ…は珍しいなと思ったが、麦畑の麦が実っていたのだ。これを麦秋と言うのだろう。

 ポルトガルに戻ってきて、郊外の田んぼの側を通ると、稲はまだ10センチほどで、宮崎よりもずっと小さい。
 種もみをバラバラと無雑作に直播きする方法なので、育ちが遅いのかもしれない。
 丘陵地では麦わらがロール型に転がしてあるのを見かけた。恐らく麦刈りが済んだ後なのだろう。日本よりも随分大規模農業の様に思える。

 この皿の絵の様なやりかたはかなり小規模か一昔前なのかも知れない。
 でもこの半月型の鎌は今でも農家の必需品らしく、露店市でもたくさん売られているし、買い求める人も多い。MUZ

©2018 MUZVIT

 


K.036. 17世紀模様丸型蓋物 caixa guarda

2018-11-08 | 飾り棚

直径11cm

 この柄の陶器は今までにもいくつか登場している。
 中心の絵柄が鳥であったり、鹿であったり…。
 深くて四角い蓋付きのはアクセサリーを入れている。
 浅い方はペットシュガー入れとして使っている。
 もう一つはパソコンの横で名刺入れになっている。
 この丸いのも今までに色んな物を入れて使ってきたが、今はなんとなくお菓子を入れるものになった。
 頂きものの小さな落雁が入っている。
 「二人静」という名前のお菓子で、その名のとおり、蓋が開けられるのをひっそりと静かに待っているようだ。

MUZ

©2018 MUZVIT


K.035. 花瓶 Vaso

2018-11-07 | 飾り棚

高さ25.5cm

 セトゥーバルに住み始めて最初の年に買い求めた花瓶。
 雨が降り始めてスケッチに出られなくなった時にVITは家の中で花でも描こうかと云って買った物だが、風景のスケッチが描ききれないほどたまって、花まではなかなか手が回らないでいた。
 作家ものなのか、サインなどがしっかりと入っていて当時としては値段も相当した。
 今は乾燥させた野生のラベンダーを挿して玄関の飾りとして定着している。
 14年も私たちと一緒に居つづけているわけで生活空間の一部となっている。

MUZ

©2018 MUZVIT

 


K.034. 二番目に素朴なオリーヴいれ Azeitoneira

2018-11-06 | 飾り棚

直径14.5cm

 素朴で焼きは甘いけれど、気に入っているオリーヴいれ。
 このような角度で見るとまるで風鈴の様に涼やかな音が聞こえてきそうである。
 真上からの撮影なので残念乍ら側面は写っていないが、その釉薬の掛かり具合がまた面白い。
 これがもし博物館に展示されていたとすれば、「10世紀前の発掘品だ」と言われても信用してしまうだろう。…というのはジョークです。MUZ

©2018 MUZVIT


K.033. 片手徳利 Cantaro

2018-11-05 | 飾り棚

高さ17cm

 勝手に「片手徳利」と名前を付けてみた。
 底が平らで見るからに安定感がある。
 ポルトガル北部バルセロスの陶器。

 焼酎やお酒を入れて燗をつけるには良い形だが 650ml が入ってしまう。
 ワインならボトル一本が 750ml だから、少し入りきらない。
 余った分はグラスに注いで、じゃまだからひと足先に飲んでしまおうかな…。

 取っ手のねじった形がポルトガル的。

 古い教会の内部にもこれとそっくりの、ねじれた柱が使われていたりする。
 セトゥーバルのイエスの教会 Igreja de jesus(1491年建立)の内部の柱も、アラビダ大理石で作られた、ねじれた柱(マニュエル様式)で有名である。
 キリスト教の三位一体を表わしているという。

 このカンタロのねじれた取っ手のデザインの基はそのあたりからきているかもしれない。MUZ

©2018 MUZVIT


K.032. 呉須絵小皿 Prato

2018-11-04 | 飾り棚

直径12.5cm

 我家で毎日使うお手軽小皿。
 柄違いがもう一枚あるが甲乙つけがたくどちらも気に入っている。
 同じ大きさで色の違うのもあるが、この呉須色はどんな料理にも合うので出番が多い。
 ほうれん草などの菜っ葉のおひたし。ちょっとした煮付け。卵焼き。フルーツをちょこっととか、アゼイタオンのケーキにも使う。

 こうした小皿は私たちには用途が多くて重宝しているが、さて、ポルトガルでは何に使うのだろうか?

 レストランではこのサイズの皿にケージョフレスカ(生チーズ)か、または強烈な匂いのオヴェイリャ(羊)のチーズのスライスを入れて出てきたりする。そんな時は思わず顔をそむけて、「引っ込めて~」と言ってしまう。
 するとウェイターは、「何でこんなに美味いものをそんなに言うのかな…」という顔で、
しぶしぶと持って行くのです。MUZ

©2018 MUZVIT


K.031. ティーカップ Pires e Chávena Chá

2018-11-03 | 飾り棚

受け皿の直径15.7cm

 パルメラ城アズレージョ(絵タイル)工房のティーカップ。
 アズレージョに描かれているのと同じ模様が描かれている。

 ポルトガル人は紅茶よりもコーヒーをよく飲む。
 フランス人はコーヒー党でイギリス人は紅茶党と言われている。
 元々の植民地の関係でそうなっている様だが、時代と共にそういったことも薄れてきている。
 ポルトガルはブラジルやインドネシアを統治した時代があったから、当然コーヒー党ということになる。
 でも意外にも、かつての統治国モサンビ-クは紅茶の産地として有名らしい。

 ポルトガルにはあらゆるお茶やコーヒーが売られている。
 我家にはアフリカのモサンビーク、コンゴ、それにアルゼンチンのマテ茶などがある。

 このカップにたっぷりのコーヒーを注ぐのも悪くないと思う。

 今、毎日飲んでいるのは、インドネシアから最近独立したティモールのコーヒー。
 ティモールはインドネシアから支配される前は、ポルトガルの植民地だった。
 年配の人々はポルトガル語も喋り、若い人たちはインドネシア語しか話せないという。
 でも独立後はなぜか、ポルトガル語が公用語に採用された。
 これからポルトガルとティモールの結びつきはますます強くなるのだろう。

 ティモールコーヒーはなかなかこくがあって、香りも高い。
 次はニューギニアのコーヒーを飲んでみようと、もう買ってきてある。
 どんな味だろうか?
 楽しみ! MUZ

©2018 MUZVIT

 

 


K.030. 鉋(かんな) Cepilho

2018-11-02 | 飾り棚

長さ23.5cm

 「ところかわればしなかわる。」と言うけれど大工道具もその一つ。
 ノコギリは日本ではだいたい引いて切るけれど欧米では押して切るのが一般的。
 慣れないうちは少し戸惑うけれど、これも一応理に叶っている。
 自然、形としては手元が幅広くなる。
 時々は楽器としても使われる訳である。

 鉋(かんな)も同じ。日本では引くけれど、欧米では押す。
 これは慣れてないせいもあって使い勝手が悪い。
 最近は鋸(ノコ)にしても鉋(カンナ)にしても電動が身近になって「ところ変わっても品変わらず」になりつつある。

MUZ

©2018 MUZVIT


K.029. 黒豚絵柄オリーヴ入れ Azeitoneira

2018-10-31 | 飾り棚

直径14cm

 このオリーヴ入れを見つけた時はおもわず笑ってしまった。
 黒豚の絵柄も珍しいけど、灼熱の太陽にさらされながら野原をさまよう黒豚の姿。
 それを見て思い出した。

 アルフレッドの農場に行った時のこと、その年に生まれた子羊ばかりが入っている畜舎を見学した。
 その畜舎の隅で二頭の黒豚の子供が戯れていた。
 たぶん親豚の目を盗んで出歩き、ふらふらとここへ迷いこんできたのだろう。
 それを見つけた牧羊犬が突然血相をかえてその子豚に突進を開始した。
 2頭の子豚はびっくり仰天して、凄まじい悲鳴と共に表にすっ飛んで行った。
 牧羊犬は子豚を親豚の所に戻そうと使命感に燃えて、その後をどこまでも追っかけて行った。
 アルフレッドと奥さんのアンナ、私たちは大笑い。
 牧羊犬の恐怖はあるとは言えこの農場の黒豚たちは実に自由に暮らしている。

 アレンテージョ地方のバランコス一帯は黒豚の産地として有名だ。
 その辺りをクルマでドライブすると時たま黒豚の遊牧に出会う。
 まるで羊飼いの様に一人の老人が一匹の犬を連れて4~50頭の黒豚を遊牧している。
 餌はコルク樫のどんぐりやオリーヴの落ちた実などなのだろう。MUZ

©2018 MUZVIT

 


K.028. 素焼き水差し Jarra

2018-10-30 | 飾り棚

高さ 28cm

 セトゥーバルの夏の風物、サンチャゴ祭の陶器市で見つけた。
 以前に登場したふたつき土鍋と同じ窯元、北の町バルセロスの産。
 ポルトガル各地に伝わるレース編み模様の様な柄とどっしりと安定感のある形が気に入っている。
 たっぷりの水を入れると重くて片手では持ちきれない。
 我家では花瓶として使っているが、薔薇をたくさん生けたり、大きな向日葵とか百合を生けるにはちょうどよい。MUZ

©2018 MUZVIT


K.027. 花柄大皿 Prato Pintura Flor

2018-10-29 | 飾り棚

直径 28cm

 ルドンドはフローサ工房の大皿。
 このコーナー第2回に登場した果実柄大皿の次に使用頻度の多い皿。
 果実柄と同じサイズ。
 なぜ果実柄の方が使用頻度が多いのかを考えてみると、それはきっと色合いの違いだろうと思う。
 この皿はどちらかといえば肉料理向き。

 我家では魚料理に比べて肉料理はわりと少ない。

 近頃、狂牛病に続いて鶏のインフルエンザとか豚コレラとか騒がしい。
 つい数日前も、牧畜の盛んなアソ-レス島で狂牛病の牛が見つかった。
 とにかく肉は問題が多い。

 だから魚。といっても、それも問題。
 この頃は養殖魚が多いので何を飼料に与えているのか判らない。
 大海を泳いでいる魚でも海洋汚染問題もあるし…。
 穀物といえど同じ。
 遺伝子組み替え問題とか。
 野菜に至っても化学肥料…。
 有機でも畜肥には抗生物質が残留しているというし。

 いったい何を食べればいいのか解らなくなる。

 せめてもの対策として、スーパーの野菜はなるべく買わないようにしている。
 メルカドで売っている野菜の方が新鮮だし、なんといっても虫喰い野菜が多い。
 時にはカラコイス(かたつむり)まで付いていることがある。
 虫やカラコイスが付いているということは、農薬残留がほとんど無いと…思って安心して買っている。

 魚も、鯛やヒラメなどの高級魚はポルトガルでも養殖物が出回りだした。
 イワシやアジ、鯖などの安い魚は天然物だから、もっぱらこればっかり食べている。
 青魚は身体に良いというし、経済的だし、言うことない。

 これではますますこのお皿の出番が少なくなる。
 飾り棚に大事に仕舞っておこう。MUZ

©2018 MUZVIT


K.026. 17世紀柄マグカップ Caneca de secⅩⅦ

2018-10-28 | 飾り棚

高さ 8.5cm

 毎朝カフェ・コン・レーチェ(珈琲牛乳)を入れて愛用している大型のマグカップ。
 もう何年も使っているけど、いたって丈夫。
 取っ手の握り具合もよいし、そのうえ軽くて手に馴染む。
 アルコバッサあたりで作られているらしいが、一度窯元を訪れてみたいもの。
 17世紀のポルトガルの伝統的な図柄を現代に応用した物。
 手描きだが形成は型。

 このところ数年前から朝はパン食になってしまった。
 パンが美味しいのだ。
 それにカスピ海ヨーグルトとカフェ・コン・レーチェ。
 カフェ・コン・レーチェといっても、コーヒーは20%しか入っていない。
 「モカンボ」という銘柄だが、80%は麦の一種から作られる物だから、いたって健康食的で、これがまた旨い。
 たっぷりの「モカンボ」を飲むことから1日が始まる。MUZ
©2018 MUZVIT