えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...ありのままに、ユーモラスに......♪

季節の花と和菓子 ~手作り体験講座(7月)~

2014年07月11日 | お菓子作り

 スウィーツ大好きな私ですが、圧倒的に洋菓子が好き、和菓子は「あればいただくけれど、なくても平気」なんです(^_^; その私が、なぜか初めて和菓子の手作り体験をしてきました。しかも、白餡が好きではないので滅多に食すことのない練り切りが中心だったのです。

 これは、「多摩市立グリーンライブセンター」で月に一度開かれている「花と和菓子講座」というプログラムで、「多摩市グリーンボランティア連絡会」が主催しています。講師の指導のもと、季節の和菓子数種類を手作りし、それにちなんだ自然や植物についての講話を聴くことができるというものです。

 くだんのサイトには、こうあります:
   「和菓子は日本の自然が生んだ恵みの文化です。
   季節の自然風景や植物を題材に育まれてきた和菓子は、
   美しいお菓子の芸術作品ともいえます」

 私が参加した理由はまさにこれ...食すのは好きではないのですが、日本の風土が生み、育ててきた美しい食文化である練り切りに、以前からとても興味を持っていたのです。モチーフにする風物の持ち味をシンプルに凝縮して表現し、それを愛でつつ、さらには自然の恵みに感謝しつつ、いただく......映画を観ながらポップコーンを頬張るどこぞの国では、決して生まれ得ない食文化だと、私は思っております(^_^;

 それはともかく、プログラム全体(全11回)は4月から始まっており、今月はすでに4回目。私は5月に訪れたときに初めて知り、部分参加も可能(受講料¥1,500/回)なので、早速申し込んだ次第です。

 今月の「季節の和菓子」は水饅頭(ミズマンジュウ)。練り切りは、涼風(スズカゼ)・撫子(ナデシコ)・露草(ツユクサ)です。旬を先取りして教えてくれるのです。
 指導者は皆川和夫さん、TV東京のかつての番組 「テレビチャンピオン」の和菓子部門初代名人です。 

 

  それでは、講座の様子を、順を追ってご紹介しましょう。 
 
        
 この日の参加者は、3分の1が小学生でした。センターの温室に面した、吹き抜けの明るい部屋(トップ画像↑)で受講します。
 
 
水饅頭の作り方
 
<材料> (直径5cm?のセルクル20個分)

水まんじゅうの素*富澤商店などで市販されている) 100g
グラニュー糖(極細粒)                    350g
水                                 800cc
   * わらび粉(40g)・葛粉(60g)・「かんてんぱぱ(伊那食品工業)」の寒天系ゲル粉などでもOK(「イナゲル露草」と教わりましたが、くだんのページには該当品は見つけられませんでした。楽天やAmazonなどでは手に入るようです)。
 
<作り方>  
 
 

1.セルクルの内側を水で濡らし、バットに並べておく。

   
 
 

2.鍋に水まんじゅうの素とグラニュー糖を入れて混ぜ合わせる。水を2~3回に分けながら加える(ダマにならないように)。

3.強火にかけ、軽く沸騰するまで泡立て器で混ぜ続ける。重たく、半透明になり、泡がボコボコとできるようになって(左画像)から1~1分半ほど混ぜ、火を止める。

   
 
 

 4.3.をスプーンやお玉ですくい、セルクルの高さの半分ほどまで流し入れる(セルクルに底がないので、外へ流れ出すのを防ぐ目的も兼ねている)。

    
 
 

5.直径3cmほどに丸めたこし餡の餡玉を3.に入れる。

   
 
 

6.セルクルの8分目まで3.を流し入れる。冷蔵庫で冷やし固める。

    
 
 

7.型から抜き出し、底が上になるようにひっくり返して熊笹の葉などの上に乗せて、できあがり!

 
 
 次に練り切りの3種を作ります。
 材料は予め先生が用意してくださっています。外側用の練り餡(白餡に求肥(ぎゅうひ)を混ぜ、それぞれの色に着色してあります)と、中に入れる小豆のこし餡の餡玉です。
 
撫子の作り方
 
 

1.小さめのピンポン玉ほどの桃色の練り餡を平たくする。白餡少量(小指の先ほど)をのせ、薄~く伸ばしながらなじませていく。

★練り餡と白餡の混ざり具合は均一である必要はなく、むしろ、グラデーションが出た方が自然な風合いが出せます(でも、これがなかなかむずかしい(^_^;)。

  
 
 

2.1.の上下をひっくり返し、こし餡の餡玉をのせ、丸める。

   
 
 

3.白餡をのせた方を上にして、掌で平らに少し押しつぶし、画像のような道具で十文字の切り込みを浅く入れる。

  
 
 

4.4等分した部分を花びらに見立てるため、親指で中心から外側に向けて押し広げるようにする。

  
 
 

5.花びらの縁に道具を縦に押し当て、短く細かい線を入れてギザギザ感を出す。

(ピンボケですm(__)m)

  
 
 

6.黄色い練り餡少量を網目に押し当て、花芯を作る。

  
 
 

7.中央に花芯をのせてできあがり!

★こちらは、黄色い練り餡をそのまま丸くしてのせ、竹串でぷつぷつと穴を開けています。

 
 
 
涼風の作り方
 
 

1.撫子と同様にして、こし餡の餡玉を包み込む。

   
 
 

2.掌で押えて少し平らにしてから、渦巻き模様の切り込みが入った木型の上にのせて掌で押さえつけ、模様をつける。

  
 
 

3.黄緑色の練り餡少々を竹串2本ですくい取り、笹の葉に見立てて2.の上に飾る。

(ピンボケですm(__)m)

  
 
 

できあがり!

 
 
 
露草の作り方
 
 

1.分量の水に粉寒天を入れ、混ぜながら弱火で熱し、寒天を煮溶かす。粗熱がとれたら、冷蔵庫で冷やし固める。

★最後にのせる飾り用です。

   
 
 

2.黄緑色の練り餡を、荒目の網に掌で押し当ててこし、そぼろ状にする。

   
 
 

3.2cmほどのこし餡の餡玉を2.の上で軽く転がすようにしてそぼろをまとわりつかせ、手に取る。

 
 
 

4.竹串2本で2.を挟み取り、つぶさないようにしながら3.にのせ、丸く形を整える。

   
 
 

5.1.の寒天を数ミリ角のさいのめ状に切り、上に散らしてできあがり! (先生、寒天がちゃんと切れてないですぅ...(^_^;)

 
 
 
      
 [左] 先生のお手本が揃いました!(形はここで紹介するものがすべてではありません。)              
 [右] 私の作品。撫子は先生のと全然違う!w(☆o◎)w 実は、花びらをもっと外に引っ張り出したかったのですが、中の黒い餡が見えてしまうため、できなかったのです。最初にピンクの餡を薄く延ばし過ぎたのでしょうね(^_^; 
 それでもって...「露草」がなぜかピンク色にw(☆o◎)w 実は、先生の作ってきた餡玉が大き過ぎて(本来は2cmほどのところ、他の練り切りのと同じ大きさだった)、黄緑の練り餡が足りなくなってしまったのです。お子さんを優先させていたので、最後に残った私ともうひと方だけ、撫子の余りの練り餡で作ったというわけで...ピンクなので紫陽花に見立て、葉っぱもつけてみました(^_^;
 
 
      
 失敗だらけなので、せめて食卓を演出しようと、あれこれやってみました(#^.^#)
 紫陽花やキョウチクトウ系の葉は有毒だと講座で教わったので、直接練り切りを置かずに、ガラスの皿の下に敷いてみました。水饅頭を置いたのは、100均で買ったおしぼり受けです(^_^; ミニのカエルの置物は友人の手作り品。葉っぱはゼラニウムです。
  
 皆川先生の練り切りは、白餡がお豆(白いんげん)でできていることがよくわかる味でした(*^_^*) あ、お断りしておきますが、まさかいっぺんに4つは食べませんでしたよ(^_^; 
 かつて「テレビチャンピオン」に輝いた皆川先生も、今は老練の職人さん...ベテラン主婦に囲まれ、講話担当の先生も手や口を貸し、誰が先生か生徒かよくわからないような微笑ましい場面もありましたが、それがこの講座の魅力だと私は感じました。可能な限り、今後も参加するつもりです。
 
 
                        
 
 和菓子作りに先立って聴いた峰岸久雄さんの講話をまとめておきます。峰岸さんは「みどりと暮らし設計工房」代表(ランドスケープアーキテクト・環境カウンセラー)です。この日の和菓子にちなんだテーマで、いろいろなトピックを展開してくださいました。
 
            
 
 
涼 風
 
 ・涼風:温帯に位置し、豊かな自然環境に恵まれた日本列島だからこそ味わえる特有の風。
  温帯モンスーン気候では森林褐色土壌となり、それがいろいろな植物の繁栄をもたらす。
  一方、ヨーロッパの乾燥土壌は、ブドウの栽培に向く。
 
 ・里山:satoyamaという国際用語にもなっている。
      雑木林と密接な関わりがあり、生物の多様性が高いので、季節の多彩な変化が見られる。 
 
 ・雑木林:萌芽更新などの手入れをして再生を図る循環型の森林。 例) 青森の三内(さんだい)丸山遺跡 
 
  <雑木林の構造> (こちらよりお借りしました)
 
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  高木層…………エゾマツ、トドマツ、ミズナラ、シナノキ、ハンノキ、センノキ、カンバ類など
  亜高木層………ナナカマド、アオダモ、イヌエンジュ、イタヤ、ヤマモミジなど
  低木層…………エゾニワトコ、ノリウツギ、オオカメノキ、ヤマウルシなど
  草本類…………ハンゴンソウ、ヒヨドリバナなど
  マント群落……ヤマブドウ、コクワ、マタタビ、クズなど (林縁の低木・つる植物から成る群落を総称したもの) 
  ソデ群落………ハンゴンゾウ、ヒヨドリバナなど (路傍植生ともいわれ、道路から1~2mまでの草本性の群落) 
 
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 ・落葉樹(夏緑広葉樹):葉の寿命は半年
  常緑樹         :葉の寿命は2~3年    →照葉樹林(ブナ・カシ・ツバキなど)
 ・林床(林の下の地面):木陰で日が当たらない  →林床植物(カタクリなど)
       ※カタクリは春に2週間しか光合成ができないので、球根に栄養を蓄えるのに時間がかかり、花が咲くまで10年近くかかる。  
 ・林縁(林の端):     木漏れ日が当たる    →マント群落
 ・林縁のさらに外側:   1日中日照がある    →ソデ群落 路傍植生(ナデシコ・ツユクサなど) 
                                          踏草群落(オオバコなど)
 
    
撫 子 
 
 ・ソデ群落に生育する路傍植生
 ・地球上には約300種あり、ヒメハマナデシコ・シナノナデシコ(ミヤマナデシコ)は日本の固有種。
 ・花の愛らしさを子供に見立てて、可愛い子供を撫でるような花ということから、『撫でし子』と呼ばれるようになった。
 ・秋の七草のひとつ。春の七草が食べる植物であるのに対し、秋の七草は花を愛でる植物・薬用にもなる植物。
 ・花言葉:純愛・無邪気・思慕・貞節・お見舞い・才能・大胆・快活など。
 
 ここからは、レジュメにはない脱線話だったのですが、興味深かったので記しておきます。
 帰化植物は自生種・固有種の生態を脅かしてしまうので、小笠原諸島では、島内に入るときに靴底を洗うようにしている。
 小笠原近海では、かつては捕鯨が盛んだった。日本では鯨を全身使い尽くしたのに対し、欧米では鯨油を採るだけだった。鯨油は低温でも凍らないため、宇宙では必需品、宇宙開発・軍事には重要。
 
 
露 草
 
 ・撫子同様、ソデ群落に生育する路傍植生
 
    
 
 ・一日花(いちにちばな)だが、2つにたたまれた苞葉の中、花のすぐ下に複数の蕾が控えており(↑)、同じ苞葉に次々に花が咲くというユニークな植物。
 ・花弁は2枚しか目立たないが、隠れた花弁があり、計6枚である。雄しべも、2本の長いものと、変形した短い仮雄しべが4本ある。
 ・花弁の汁を布にこすりつけて染める → 昔は「着草」(ツキクサ)と呼ばれた。
  朝露を受けて咲き出す → 露を帯びた草「露草」と呼ばれるようになった。
 ・かつては染色に使われたが、光や水に弱く、中国から藍染め技術が入ってからは衰退してしまった。
 ・春の幼葉は、ゆでておひたし・味噌和えなどで食べられる。
 ・全草を乾燥させたものは鴨跖草(オキセキソウ)と呼ばれ、煎じて、解熱・下痢止め・喉の腫れの消炎に用いられる。浴湯料として使うと、あせも・かぶれに効く。利尿・虫刺されの治療にも使われる。
 ・花言葉:敬われぬ愛(←朝日に当たると消えてしまう露のように儚い夢)
       恋の心変わり(←染めても、色が褪せやすい)
       小夜曲(セレナーデ)(←夜の暗いうちから月光を浴びて咲くことから呼ばれる「月草」(ツキクサ))
       尊敬・わずかな楽しみ・なつかしい関係・豊潤など。
 
 
                                        
 
 
 この日のセンターのガーデンの様子をコラージュ編集しました。
 
        
 
 
 
 
 
                                              
 
 ちょっと関係のあるおまけ...(^_^;
    
 [左] 3年前の初夏に神戸で求めた練り切り  [中央] 先々月衝動買いした動物まんじゅう  [右] いただきものの煎餅
 
 
 
 自分のメモを兼ねた参考情報です。
 
 創作和菓子研究家の鳥居満智栄氏のHP 「アンネルネ マチエル」 &ブログ 「和菓子日和」 
 くだんの「かんてんぱぱ(伊那食品工業)」には、「かんてんぱぱガーデン」という観光複合施設(園内マップ)があるのですね。
 
 
 峰岸先生は、日本の気候特有の涼風がいつまでも感じられる気候であってほしいと、おっしゃっていました。まさに同感です。長々とおつき合いくださり、ありがとうございましたm(__)m
 

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