第７章 楽観しつつ... ６．

６．
　冷房の中にいると調子が悪くなる私は、真夏でも自宅ではほとんど冷房を入れない。冷たい物も摂り過ぎないようにはしているが、甘い物には目がないので、アイスクリームは食べてしまう。「冷えは万病のもと」とよく言われるし、冷えに関する本を読んでいて、精製した糖類が体を冷やすことを私は知ってもいたのだが、どうしてもやめられないでいたのだ。やめたら欲求不満になり、きっと禁断症状が出るだろう。そこで先生に尋ねてみた。「体を冷やすとわかってはいるんですが、冷たい物や甘い物を食べるのがやめられないんです。ストレスがたまっても、甘い物を食べない方がいいんでしょうか？」　すると、先生は笑いながら言った。「あなた、甘い物食べないとストレスがたまっちゃうの～？　まぁ、１日に１つアイスを食べるくらいはかまわないけど、冷房してる所で食べちゃだめよ」と。やっぱりそうよね…。

　次に、T先生は私を寝台に寝かせ、両手首の脈を取ってつぶやくように言った。「まぁ、こんなに脈が弱くなっちゃってる……」　それから、お腹をあちこち押して痛いところがないかどうかを訊き、舌の表と裏を診た。

　乳がんの主治医に八味地黄丸を処方してもらっていることを伝え、それが妥当かどうか尋ねると、「それはそれで飲み続けてかまいません」と言われる。思わず内心では快哉を上げた。自分の処方が当たっていたからだ。それから先生は、「もう１つ別のを出すから、それも飲んでみて…」と言った。効き方を見るので、とりあえず２週間分を出すと言う。後で処方箋を見たら、補中益気湯（ほちゅうえっきとう）*と書かれていた。虚弱体質や病後の衰弱時に使われる、免疫力を上げるのに効果がある薬だった。

　* 補中益気湯