えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...
ありのままに、ユーモラスに......♪

第2章 怒涛の日々 20.

2007年04月29日 | 乳がん闘病記
20.
 ただ一つ、自分でも「やっぱり…」と腑に落ちたのは、左のお乳だったということだ。肩こりがひどいと感じるのはたいてい左だし、その原因であるかもしれない目の不調や疲れも左であることが多かった。左目の方が近視が強いからだろうと思う。遊走腎も左の方がひどい。とにかく、いつも不調を訴えるのは左だったのだ。

 病気の原因について、残念ながら私は明確な答えに当たらなかったが、その日の朝の花粉情報は大当たりだった。飛散量が多いという予報どおり、K大学から帰りの電車の中で鼻がぐずぐずになった。夜、床に入ってからも、鼻が詰まって寝られない。

 ろくろく眠れないまま起きることになった翌朝、布団からなかなか出られず、ぐずぐずしていた。当たり前のことだが、睡眠とは大事なものだ。本来なら、寝ている間にも自律神経が仕事をしてくれていて、翌日には体がリセットされているのだろう。
 ―また1日が始まる…現実に向かわなくちゃ…おとうさんがインドネシアに行くことになるかもしれないから、しっかりしなくちゃ…― そんなふうに思ったときだった。急に動悸が始まり、どんどん激しくなった。さらに、動悸が正体不明の不安を呼び寄せ、竜巻のごとく体の中を駆け抜けた。

 何が起こったのかよくわからないが、とにかく先に起きていた夫を呼び、手を握ってもらう。なぜか心細くて心細くて、後から後から涙が出てくる。夫は何も言わずしばらくそばにいてくれた。布団を頭からかぶって泣く私の横で、彼が手で顔をぬぐう気配をふと感じた。声には出さずとも彼も一緒に泣いているに違いないと思った。
 私は夫の涙らしき涙を見たことがない。目頭が熱くなっているようなときはあるけれど、泣く姿はいまだかつて見たことがないのだ。でも、その彼が、きっと今、一緒に泣いている……そう思うと、なおさら涙は止まらなかった。―こんな思いをさせて、ごめんね…ほんとにごめん………―

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2 コメント

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気がつけば連載もう20回 (せんぱいA)
2007-04-30 10:49:21
会報からやっと<解放>されて、2ヶ月ぶり?にブログを訪問しました。私が、2月8日に「乳がん宣告」受けた日、病院から戻って一番最初にお電話して、いろいろアドバイスを頂きました。励ましも頂きました。ほんとうにありがとうございました。その言葉に背中を押されて、検査の日々も過ごせました。結果は、無罪放免とまではいかず、執行猶予付きシロでしたが、とにかく弥生の空のまぶしさをありがたく見上げたことを思い出しています。たった2ヶ月ほど前のことでも、思い出すなどという言葉で表現するのですから、きちんと私も書きとめておかねばと戒めています。
やっと時間が取れそうになったので、闘病記1回目からきちんと読みます。そして、投稿させてください。とりあえず、今朝、
20回だけ読み終えての、不肖せんぱいでした。
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頼りになるせんぱいAさんへ (takuetsu@管理人)
2007-04-30 15:05:14
せんぱいAさま~、一気に読んでくださったのですね&再訪ありがとうございます! 深謝しております。

会報のお仕事、本当にお疲れ様でした。もうすぐ拝読できるのですね。楽しみです。
ここ何年も発送作業をお手伝いしてまいりましたが、今年は日本からずらかる(なんて言葉でしょう!)ためお手伝いできません。ごめんなさい。

「執行猶予つき」でも「シロ」で本当によかったですね。
お荷物を抱えている気分かもしれませんが、「私にはがんなんか関係ない」と思って検診しないで過ごすよりも、きっと何事にも対処が早期ですむと思います。

たいしてお役には立ちませんでしたが、私を思い出してすぐに声をかけてくださったこと、本当に感謝しております。

近いうちにお会いできるとよいですね。良い連休を!
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