牧カオリが図書館で読書好きの30代男のイサオと出会ったのが、
一昨年のこと。
イサオは活字中毒で、
1日1冊本を読破しないと気が治まらない。
そして、
当然ながら物知りやった。
そんなイサオと牧カオリが仲良くなるのに時間はかからなかった。
2人は、
大正文学の白樺派(しらかばは)が物珍しさだけを売りにした安っぽい作風で、
アフリカの川辺のカバの群れに白カバがいて目立つ程度だと酷評するところに一致点を見出した。
(白樺派とは、理想主義と人道主義を追求する作風を放った作家達のこと)
牧カオリとイサオは二人で古書店巡りをして、
アンドレイ・タルコフスキーやテオ・アンゲロプロスの映画にハマり、
熱く強く、
様々な思想を語った。
そんな中で、
二人が男と女である以上、
恋心が芽生えないはずがなかった。
ある日、
牧カオリとイサオが公園のベンチに座って読書しているとレフティが『ONE PIECE』のコミックを持ってきた。
そして牧カオリに、
「牧先輩の大好きなロロノワ・ゾロが大活躍してますよ」と言った。
イサオは怪訝そうに🤨牧カオリに、
「あなたはこんなもん読んでるんですか?」と尋ねたので、
牧カオリはレフティに、
「お下品な!私が『ONE PIECE』のような底辺漫画を読むとお思い⁉️」と食ってかかったので、
レフティは、
「変ですよ牧先輩!ロロノワ・ゾロに体を捧げると言ったじゃないですか⁉️」と言い返した!
するとイサオが、
「漫画ばかり読まないでたまには小説を読め!」と言って、
自分が読んでた、三島由紀夫の「禁色」を渡した。
レフティは怪訝そうに🤨
「ナニが書いてあるんですか?この分厚いメモ帳」と言ったので、
イサオはガチギレして😡
「こんなことや❗️」と叫んで、
レフティを抱きしめた!
レフティはポケットから護身用防犯ブザーを出して鳴らした!
しばらくして、
イサオは警察署へと連行された。
牧カオリは電車に乗って、
遠くまで行き、
大きな湖へと歩いた。
その際、
「イサオ無き我は地を踏みあてなく癒し求めたもう湖に我ゆく」と呟き涙した😢
そして、
大きな湖を眺めながら、
「イサオ無き我をかくまでも慌てず癒しあやしたもう湖に我ゆく」と呟き、
湖の微風を受けて、
次第に笑顔を取り戻した。
イサオとの出会いと様々な思い出。
これを見えない詩小説として、
牧カオリはこの湖に捧げた。