私の父親は左手がありません。
私から見ると、靴ひもを結べないことや、手袋の片方が無駄になる事などを除けば普通に生活しています。
この本が書かれたのは1998年。いまから24年前です。
同時父親がこの本を読んで、この本に共感できないと言っていたのを覚えています。
その事があるので何となく読みたいと思っていましたが買うまでは至らず機会を伺っていました。
最近、妻の実家にある事が分かり、前に義母が家に来た時に持ってきてもらいました。
本の内容は題名が“五体不満足”とインパクトがありますが、あまり障がいがメインになっている印象はありません。
乙武さんの人生の出来事を面白おかしく書いてあります。
メッセージは“障がいの有無はあまり大きな意味をなさない”という風に私は捉えました。
父親が何故共感出来なかったのかは、何となく分かるような気がします。
私の父親は自分に自信がありモテた事もよく自慢しているようなタイプの人です。
乙武さんも同じタイプですが、父親と比べると、当然乙武さんの方が華々しい活躍をされています。
きっと嫉妬心から共感できないと私に言ったのだと思います。
それともう一つ。この本は乙武さんの性格や環境もあるのでしょうが、障がいによるネガティブな内容がほぼ書かれていません。
共感を得るにはネガティブな内容も書いた方が良かったのかもしれません。
きっと乙武さんは同じ障がい者だけに向けてではなく、子どもを含め多くの人に読んでもらいたかったのでしょう。
ネガティブな面を文章で伝えるのではなく、ポジティブな面を書き、生き様を見せることで心のバリアフリー(文中で使われていた言葉です)を進めたかったのだと思います。
障がいがあってもパワフルに素敵に生活をしている乙武さんと父親は私にとっては尊敬できる人生の先輩です。
きっと2人は障がいがなくても同じように人生を謳歌したことでしょう。