JINX 猫強

 オリジナルとかパロ小説とかをやっている猫好きパワーストーン好きのブログです。
 猫小説とか色々書いています。
 

真夜中の怪談  5 (聖闘士学園へようこそss)

2014-04-15 18:45:00 | プチ・原稿
 この浴場は、学生が決められた時間に自由に入浴するという規則だが、偶々テスト前――氷河は浴場で一人きりになったことがあった。

 仕方なく入浴はしたが、身体を洗っているときに、背に冷たいものが滴り落ち、氷河は逃げるように浴場から抜け出し、二度と一人では入浴はしまいと心に決めていた。
 偶々水蒸気の雫が落ちただけだろう? という問も、戒めも、氷河の心には届かない、敵に対してはクールに徹し切る氷河も、心霊現象の前ではそうはいかないようであった。

「えっ…氷河、それって…」
 周囲に悟られぬよう言葉を濁す氷河の表情を、瞬はまじまじと見つめた。
 
 深夜、無断で浴場に入り込む者の調査を依頼されたのは、瞬と紫龍であった。
 一輝はつまらない調査などはしまいし、星矢なら面白がって、事態を拡大させかねない。そして、氷河は夏バテで、日常生活を送るのも辛そうであった。
 
 本当の霊なら祓うことになろうし、学生が無断でシャワーを使っているのなら、注意をすることになっていた。
 だが、生徒でないことは解っていた。

 浴場での噂がたつようになってから、鍵が丈夫な物に取り替えられていた。
 だが、その何者かは、合鍵でも持っているかのように、浴場への侵入を繰り返していた。

 物陰に隠れ、紫龍と瞬は噂の主を待った。
 
 消灯時間が過ぎ、どれほども待たずに、主は現れた。

 月明かりに照らされ、主は白く浮き出て見えた。

 主は鍵に手を当て暫く何かをしていたが、やがて鍵を解くと、何事もなかったように浴室に入っていった。

 紫龍と瞬は、薄く開かれた浴場の扉の前で、顔を見合わせた。
 錠には僅かにではあるが、氷の塊が付着していた。

 紫龍と瞬は、水音のする浴場を覗いた。

 噂の主は、気持良さ気にシャワーを浴びていた。
 普通の人間なら、何処に何があるのかも解りはしない、闇の中であった。

 もし、生徒がこの場に居合わせても、闇の中でシャワーが出ているとしか、判断できなかったに違いなかった。
 だが、月光が窓から差せば、仄白い物体の形を浮かび上がらせたかも知れなかった。

 噂の主は、氷河であった。

 但し、氷河は自分が寮則違反をしていたのは知らなかった。

 その年は、酷い猛暑が続いていた。

 極寒の地といわれる東シベリアで育った氷河は、完全にバテていた。

 夜も寝むれず、食も進まない日が続き、かろうじて授業には出ていてもノートを取ることもできずに毎日、朦朧状態が続いていた。

 一度、深夜の幽霊の噂を話してみたが、反応が鈍いどころか、怖がる仕草を見せた。

 紫龍と瞬はあの夜、見たものに付いては口を閉ざすことにした。
 気温が下がれば、氷河も己を失うことはなくなる。
 事実、そうなった。

 だが、そうなっても怪談話となって、ときに生徒たちの間で囁かれることがあった。
 
 その囁きが、本人である氷河の耳にも入ったらしかった。

「続く」

24 (30)  ~眠る鳥より~

2008-08-12 14:34:47 | プチ・原稿
「うッ…」
 氷河は喉の渇きで覚醒し、違和感に目を見張っていた。
 氷河が覚醒したのは、城戸邸の自室のベッドの上であった。
――最悪だ…。
 一晩中、一輝に犯される夢を見たのだと思い、上体を起こそうし、氷河は目眩に襲われていた。
「大丈夫か」
 風に揺らめく柳の枝のようにパタリと倒れた氷河に、一輝はスポーツ・ドリンクを差し出した。
「あぁ…すまない」
 氷河はペット・ボトルを受け取り、蓋を外そうとした。が、指に力が入らない。
「貸せ、氷河」
 一輝は蓋を外し、氷河にボトルを握らせた。
「ありがとう…」
 一輝の優しい気遣いに居心地の悪さを感じながら、氷河はボトルを口に運んだ。
「一輝…なんで、オレ…」
 氷河は不要な一言で一輝の不興を買い、またまた一輝に捻じ伏せられた。
 昨晩に引き続く濫行(らんこう)に、氷河は意識を失い、夢現(ゆめうつつ)の中で、一輝に攻められ続けた。
 抵抗する気力と体力を抜き取られた氷河の身体に、あらゆる体位を取らせ、一輝は氷河を攻め抜いた。
 尽きることのない欲棒を前に、氷河は死の縁を垣間見たような気がした。

「続く」

 あまり更新できなくてすみません。
 でも一輝の誕生日までには終わらせたいと思います(本当は企画でなにかしなければいけないのでしょうが…)
 更新を滞らせながら、オリジナルssも日記で微妙にやっております。
 オリジナルでもしょうがねぇ、読んでやるか…。というご奇特な方は
http://blog.goo.ne.jp/jinxx001/
 まで、遊びに来てやってください。
 あと、こちらでも、あちらでもご意見リクエストなどあればお待ちしております☆

24 (29) ~眠る鳥より~

2008-07-21 21:00:48 | プチ・原稿
 明るい陽光のもとで氷河は覚醒し、溜息を吐いた。
 目の前に、眠り呆けた淫獣の顔がある。
 氷河は明るい陽射しに照らされる一輝の、空腹を満たしたライオンのような顔を見つめていた。
 無防備な一輝の寝顔を、氷河は初めて見るような気がする。
 昼は体内に宿したものから醸し出される気迫でそうは感じないが、やはり一輝は老けた。
 よく見れば頬や眉間には深い皺が刻まれ、眠っているせいか、躯には張りがない。
 少年期から、無理に無理を重ねてきた躯であった。
 こうして見ると、一輝の体躯には額の傷をはじめ、様々な傷痕ががある。
 その傷がどこで、どのような闘いで受けたものなのか、氷河は知っている。
 かつてはその闘いの中に身を置いていた氷河であった。
 だが、今の氷河の身体には傷一つない。
 傷も思い出も病魔に蝕まれ、燃え尽きてしまった。
 今の氷河は、白鳥星座の聖闘士の培養品に過ぎない。
 不意に鋭利な刃物で突き刺されたような痛みが胸に走り、氷河は身じろいだ。
「氷河…」
 一輝は腕を伸ばし、氷河の柔らかな髪に指を絡めた。
「よく眠っていたな」
 一輝の掌が、氷河の頬を辿ってゆく。
「お前もな…以前はオレに寝顔など見せたこともなかったのに、お前も年を――」
 そこまで口にし、不穏な空気に氷河は言葉を途切れさせた。
「お前は、学習せんヤツだな」
 一輝に腕を摑まれ、氷河は身を強張らせた。
 だが、氷河はすぐ平静を取り戻した。
 昨夜、一晩――一輝は氷河の身体を捻じ伏せている。
 昨夜のようなことはないはずであった。
「なんだ、本当のことだろう」
――ろう、といったときには、氷河はベッドに押し倒されていた。
「なにを…」
 覆い被さってくる一輝に氷河は瞼を見開いた。
――まさか…!
 と思った時には、氷河は圧し掛かってくる一輝に両手腕を押さえ込まれ、口付けられていた。
 
「続く」

24(26) ~眠る鳥より~

2008-07-06 00:05:46 | プチ・原稿
 氷河は寝苦しさで覚醒した。 
 全身がだるい。
 氷河は水を飲むために起き上がろうとして、瞼を見開いた。
 氷河は背後から、何者かに抱き締められていた。
――なッ。
 抱き締められていると思ったときには、記憶が甦っていた。
「目が醒めたか?」
 首筋に鼻先を埋められ、氷河の全身が怖気たった。
「やめろ」
 氷河は一輝から逃れようとし、その感触に目を見張った。
「やめて欲しければ、態度を改めると誓え」
 一輝は内部に留めたままのそれを僅かに引き、そして突き立てた。
「やめッ、変態ッ!」
 自身が意識を失っている間も、一輝は欲に凝り固まった肉塊を収めることなく、氷河の体内に留まらせていた。
 その執念深さと持続力に、氷河は半ば呆れ、半ばで恐怖した。
「オレは、与えられた屈辱は忘れん男だ」
 一輝は氷河の身体を抱き締める腕に力を込め、言葉を続けた。
「ジジィを取り消して、素直に言うことを聞け、ん?」
 そう口にし、一輝は氷河の項(うなじ)に息を吹きかけた。
「やめろ、一輝」
 一輝が内部のものを僅かに動かし、耳元で囁きかけただけで、全身に細波(さざなみ)が走り、下腹部に痺れが凝縮する。
「ん? 嬉しいか、氷河…また、こんなにして…」
 一輝が下腹部に腕を回し、力を取り戻しつつある果実を握り締めた。
「よせってッ」
 氷河は一輝を押し退けようとし、手首の戒めが解かれているのに気づいた。
「よせではあるまい、こんなにして」
 一輝は果実と根元の膨らみを擦り、撫で、刺激する。
「嬉しくないッ、お前がこんなことをするからだろうッ!」
 未成熟だろうが、氷河も男だ。
 然るべきところに然るべき刺激をされれば、肉体もそれなりに変化すると、氷河は自身の不可解な身体の変化を、そう結論づけた。
「なんだ、氷河…居直る気か」
 一輝が果実を一定の間隔で扱き初めている。
「よせと言っているだろ」
 氷河は一輝の脛を蹴飛ばし、押し退けようようとした。
「お前…それが年上のものに対する態度か?」
 一輝が嘆きながらも腰を押し進めた。新たなる感覚に氷河は背を仰け反らせた。
「氷河…お前、オレにこれをされて、何回イッた?」
 一輝が先走りの液体を滲ませる窪みを親指で撫で回しながら口を開いた。
「うるさいッ、知るかッ!」
 氷河は一輝から逃れようとして、腰を押さえ付けられ呻いた。
「だいたいお前はなんだ、さっきからうるさいだのやめろだの、こんなに気持ちよくさせてもらっておきながら、恩義というものがないのか」
「バカかお前…嫌がっているのが解らないのか」
 氷河は硬く割れた腹筋に肘を叩き込み、自身の痛みに呻いた。
「なんだ、それは?」
 一輝が嗤い、続けた。
「オレにダメージを与えたければ、拳銃でも持ってこい」
 一輝の得意顔に、氷河はムカッ肚を立てた。

「続く」


24 (23)  ~眠る鳥より~

2008-04-21 23:32:22 | プチ・原稿
「どうだ、気持ち好いか…」
 一輝の、ふくらはぎをを舐めながらの問いに、氷河は首を打ち振った。
「いいぞ、氷河…その調子だ」
 今から詫びられても、一輝にも自身を制御する気はない、またできもしない。
 一輝は氷河の脚を極限まで開かせ、その間に腰を入れ、更に結合を深めてゆく。
「あッ、あぁ…やめ――」
 最奥を執拗に突かれ、氷河の瞳から流れ落ちた涙が頬を流れ伝った。
「や、やめ…」
 氷河は身を捩り、手首に食い込むロープに歯を立てた。
 ロープを噛み切るためではない。なにかに縋らなければ、一輝にもたらされる感覚に、精神も肉体も埋没しそうな怯えに氷河は駆られていた。
「どうだ、氷河?」
 一輝は最奥まで挿入した欲望で内部を掻き回す。
「イヤ…いっ、きッ!」
 このまま内部に居座り、傍若無人に暴れられたら、氷河は自身がどうなってしまうか解らない。
「なら、降参か…氷河」
 一輝は激しい勢いで突きながら口を開いた。
「イヤ…」
 氷河は弱々しく首を振った。一輝に降参など、死んでもしたくはなかった。
「そうか、それではしかたがないな」
 一輝は氷河の片足を解放し、ベッドに落ちた氷河の脚の間に身体を割り込ませ、斜めに傾いだ氷河の身体を引き寄せる。
「あッ、あッ、あッ」
 未知なる領域を犯される感覚に、氷河の蒼い瞳が大きく見開かれていた。
「氷河…お前はオレのものだ、この強情な精神も、感度のいい身体も、だ…」
「違う、一輝ッ!」
 氷河は激しく身を捻った。
 氷河は、氷河自身のものだ。
 共に肩を並べ、闘うことができなくなってしまった以上、一輝と氷河を繋ぎ止めるのは、この役にも立たない記憶だけだ。
 それなのに、一輝にもたらされる快楽に我を失くそうとしている浅ましい自身の身体を、氷河は持て余していた。

「続く」