――おッ。
フッと気がつくと、氷河が寝息を立てていた。
不満顔の猫を抱いたままの氷河の無防備な寝顔に、一輝は唇を綻ばせた。
そのうちに、一輝は有ることに気づいた。
「オイ、猫め――」
一輝は氷河の腕に囚われた猫の髭を引っ張った。
「どうだ、氷河の胸の寝心地は?」
代わりたいと思いながら、一輝はもう一方の髭も引っ張った。
普段から間抜けな顔が、更に間抜けに見える。
「なんだ、その反抗的な顔は」
牙が見えるほど髭で頬を引っ張られ、抗議の視線を向けている猫の額の毛を、一輝は指で逆さに撫でた。
「どんな顔をしようと、この一輝様にかかっては、こうなるのだ」
一輝は身動きの叶わない猫の鼻を上向きに押した。
すると、猫の顔の間抜けさ加減が増した。普段は捕まえようとしても捕まらない猫であるが、今の顔と有り様には、愛嬌さえ感じられた。
「ホレホレ、悔しかったら反撃をしてみろ、まぁ、無駄だろうがな」
ぬいぐるみのように、しっかりと抱きしめられた猫に向かい、一輝は唇を吊り上げた。
だが、猫のふてぶてしい性格を一輝は侮っていた。
「あッ、キサマ――」
耳を引っ張られた猫が、ローブの上から氷河に爪を立てたのを目にし、一輝は慌てた。
「続く」
フッと気がつくと、氷河が寝息を立てていた。
不満顔の猫を抱いたままの氷河の無防備な寝顔に、一輝は唇を綻ばせた。
そのうちに、一輝は有ることに気づいた。
「オイ、猫め――」
一輝は氷河の腕に囚われた猫の髭を引っ張った。
「どうだ、氷河の胸の寝心地は?」
代わりたいと思いながら、一輝はもう一方の髭も引っ張った。
普段から間抜けな顔が、更に間抜けに見える。
「なんだ、その反抗的な顔は」
牙が見えるほど髭で頬を引っ張られ、抗議の視線を向けている猫の額の毛を、一輝は指で逆さに撫でた。
「どんな顔をしようと、この一輝様にかかっては、こうなるのだ」
一輝は身動きの叶わない猫の鼻を上向きに押した。
すると、猫の顔の間抜けさ加減が増した。普段は捕まえようとしても捕まらない猫であるが、今の顔と有り様には、愛嬌さえ感じられた。
「ホレホレ、悔しかったら反撃をしてみろ、まぁ、無駄だろうがな」
ぬいぐるみのように、しっかりと抱きしめられた猫に向かい、一輝は唇を吊り上げた。
だが、猫のふてぶてしい性格を一輝は侮っていた。
「あッ、キサマ――」
耳を引っ張られた猫が、ローブの上から氷河に爪を立てたのを目にし、一輝は慌てた。
「続く」