JINX 猫強

 オリジナルとかパロ小説とかをやっている猫好きパワーストーン好きのブログです。
 猫小説とか色々書いています。
 

24 (33) ~眠る鳥より~

2008-08-20 23:28:46 | ノンジャンル
 一度は諦めた命であった。
 外見だけは白鳥星座の聖闘士・氷河を生み出した技術と行為に、憎しみを覚えすらしたときもあった。
 だが、氷河は細胞の一つ一つに受け継いだ記憶を呼び覚まし、一輝の傍らにいる。
 氷河はナイフとフォークを置き、溜息を吐いた。
 目覚めたときの空腹が、今では満腹に変わっている。それでも、ワゴンに並べられた朝食は半分も減ってはいない。
 氷河は当惑顔で一輝を見た。
「もう、いいのか?」
 一輝の言葉に氷河は頷いた。
「そうか」
 一輝は氷河のフキンを外し、ワゴンを押しやった。
 普段は食事を残すとうるさい一輝の引き際のよさに、氷河は拍子抜けしていた。
「なら、もう少し休め。起きたら第2ラウンドだ」
 そう口にし唇を吊り上げた一輝に、1度はベッドに横たわった氷河はシーツを跳ね上げ、上体を起こした。
「なッ、な…」
 あれだ犯ってまだ足りないのかと、氷河は頬を硬直させた。
「バカ、なにを考えている。宿題だ、宿題」
 氷河の反応に、一輝は呆れたような声をだしていた。
「これともまだ足りんというなら、相手をしてやる」
 一輝は氷河の顎を掴み上げた。
「やめろッ! この…」
「この?」
 ジジイという言葉を、氷河は辛うじて呑みこんだ。
「性欲魔人ッ!」
 氷河は一輝の腕を振り払った。
「人を節操なしのように言うな」
 一輝はパジャマ姿の氷河を抱き締め、お前にだけだと囁いた。
「バッ、バカ…」
 耳元で発せられた声の振動に身体が跳ね上がり、その反応に驚いたように、氷河は一輝を突き飛ばした。
「オレは休むから、お前は出て行けッ」
 火照った頬を隠すため、シーツを頭から被り、氷河は口を開いた。
「解った、そうしよう」
 一輝はワゴンを押し、歩き始めた。
「後で来るから、それまで身体を休めておけ」
 言い終え、一輝は部屋を出て行った。
――バカ一輝ッ!
 シーツを被ったまま心中、氷河は毒づいた。
 あの一輝に宿題を心配され、食事の世話まで受けてしまった。
 これでは、まるで保護者であった。
 人間、変われば変わるものであった。
――だが、しかし…。
 とりあえず、一輝をジジイ呼ばわりするのだけはやめようと思いながら、氷河は瞼を閉じていた。

END

 ウッ、本当は24にかけて24回で終わらせようと思ったのに…。
 もつと、欲を言うと引越しまでに終わらせたかったのに…。
 半ば放置状態のssにお付き合いいただいてありがとうございます。
 また、何か思いついたらssをさせていただこうと思います。
 ご意見、ご感想、リクエストなどございましたら気軽にカキコしてやってください☆

24 (32) ~眠る鳥~ より

2008-08-18 21:26:49 | ノンジャンル
「なんのマネだ」
 氷河はベッドの際までワゴンを押してきた一輝に、不振気に眉を寄せた。
「食事だ」
 一輝は食事を覆っている銀の蓋を開いた。
 コンソメスープとベーコン・エッグに、焼きたてのロールパン、サラダとフルーツ、そして、絞りたてのミックス・ジュースに、氷河は喉を鳴らした。
 考えて見れば、1昼夜以上、スポーツ・ドリンク以外、口にしていたい。
「さあ、食え…今日は特別に、ベッドで食事をすることを許してやる」
 一輝はスプーンを差し出した。
「なんだ、気味の悪い…」
 氷河は上半身を起こし、ベッドの端に腰を下ろし、スプーンを受け取りながら声を漏らした。
 一輝から受け取り握ろうとしたスプーンを、氷河は取り落としていた。
「あッ…ごめん」
  スプーンを拾おうとした氷河の身体が傾き、そのまま氷河はベッドに倒れこんでいた。
「いい」
 一輝は氷河を制し、スプーンを拾った。
「ほら、起きろ…今日はオレが食わせてやる」
 一輝は力の入らない氷河を引き起こし、その横に腰を下ろし、氷河の身体を凭れさせた。
「いい、自分で…」
「また、スプーンを落とすつもりか」
 諭され、氷河は一輝から顔を背けた。
「お前は疲れておるのだ、無理はするな」
 一輝は布巾を氷河の首にかけ、予備のスプーンに掬ったスープを、氷河の口許に運んだ。
――くッ!
 一輝の機嫌のよさに、氷河は唇を噛み締めた。
 一輝は昨日の行為の余韻と疲労で身動きのままならない氷河の姿に満足し、愉しんでいる。
 たかが「ジジイ」の一言で剥きになるのは、一輝自身が寄る年波を気にしている証なのだ。
 だが、そのジジイの行為に氷河は前後不覚に追い込まれ、翌日も身動きがままならないでいる。
 その事実が、氷河には腹立たしいことこの上ない。
「どうした氷河、食べられないなら口移し――」
 皆まで言わせず、唇につけられたスプーンのスープを氷河は口にした。温かなスープが喉許を通り過ぎ、身体に染み渡ってゆく。
「そう…上手だ、氷河」
 一輝は氷河の唇を拭い、スープを掬う。
「もう、スープはいい」
 氷河は艶やかなロールパンに手を伸ばした。
 一輝はバターを塗ったパンを口に運ぶ氷河の姿に目を細めた。

「続く」

24 (31) ~眠る鳥より~

2008-08-14 16:24:04 | ノンジャンル
 もう2度と一輝に「ジジイ」という言葉を使うまいと思いながら、最後に時計を見たとき、その針は20:00を指していた。
――24時間…。
 途中、氷河は意識を失いはしたが、その間ずっと、一輝は氷河を攻め続けていたことになる。
――化け物だ…!
 不死鳥は死の淵から何度を甦り、その性欲も果てしなく甦るのだということを、氷河は身を持って思い知らされていた。
「お前が締りなくシーツを汚したから、オレが部屋まで運んでやったのだ」
 あれだけいたしておいて、小柄とはいえ、よく意識を失くした人間をこの部屋まで運べたものだと、氷河はその体力に畏怖すら覚えた。
「身体を拭いてやっても、着替えさせて抱き上げてもお前は眠り呆けたままだった」
 24時間ブッ通しで犯され続け、正気を保っていられる人間はいない。
 そう思いはしたが、氷河は口に出しては何も言わなかった。
 口は災いの元であることが、今の氷河には見に沁みて解っていた。
「世話になったな」
 氷河は苦い気持ちと共に、手にしたペット・ボトルを半分飲み干した。それで思っていたより喉が渇いていたことを認識した。
「氷河、腹は減っておらんか」
 一輝の問いに氷河は目を見張り、それから空腹なのにも気づかされた。
「そうか、それなら用意させよう」
 胃を押さえ、難しい顔をする氷河に一輝はインターフォンに手を伸ばした。
 氷河は部屋に食事を運ばせようとする一輝を、思議なものを見るような瞳で見つめていた。
 以前、城戸邸にやってきた一輝に反発し、一輝を避けるために食事を部屋に運ばせようとした氷河は、一輝に「何様のつもりだッ!」と説教をされたのを思い出していた。
 あまりの剣幕に以来、氷河は食堂で食事を摂ることにしていた。
「今日は、特別だ」
 思いもかけない一輝の言葉と口調に、氷河は瞠目した。
 この男にも特別があるのか、と思いながら、氷河は瞼を閉じていた。
 空腹と疲労が、体内で拮抗している。
 ベッドに身を横たえていても、小型のボートに乗っているように揺らめいている。
 昨日の行為で臓腑が溶け、今にも身体がふわりと浮き上がりそうな気がする。
 なにかの気配に氷河は重たげに瞼を開いた。
 瞼を開いたのと、扉がノックされたのは、ほぼ同時であった。
 返事をし、扉を開くためベッドを出ようとした氷河を一輝が押し留め、自ら扉に向かった。
 氷河はメイドからワゴンを受け取り、ボーイのように自分の許に押してくる一輝に不気味なものを見るような眼差しをむけていた。

「続く」

24 (30)  ~眠る鳥より~

2008-08-12 14:34:47 | プチ・原稿
「うッ…」
 氷河は喉の渇きで覚醒し、違和感に目を見張っていた。
 氷河が覚醒したのは、城戸邸の自室のベッドの上であった。
――最悪だ…。
 一晩中、一輝に犯される夢を見たのだと思い、上体を起こそうし、氷河は目眩に襲われていた。
「大丈夫か」
 風に揺らめく柳の枝のようにパタリと倒れた氷河に、一輝はスポーツ・ドリンクを差し出した。
「あぁ…すまない」
 氷河はペット・ボトルを受け取り、蓋を外そうとした。が、指に力が入らない。
「貸せ、氷河」
 一輝は蓋を外し、氷河にボトルを握らせた。
「ありがとう…」
 一輝の優しい気遣いに居心地の悪さを感じながら、氷河はボトルを口に運んだ。
「一輝…なんで、オレ…」
 氷河は不要な一言で一輝の不興を買い、またまた一輝に捻じ伏せられた。
 昨晩に引き続く濫行(らんこう)に、氷河は意識を失い、夢現(ゆめうつつ)の中で、一輝に攻められ続けた。
 抵抗する気力と体力を抜き取られた氷河の身体に、あらゆる体位を取らせ、一輝は氷河を攻め抜いた。
 尽きることのない欲棒を前に、氷河は死の縁を垣間見たような気がした。

「続く」

 あまり更新できなくてすみません。
 でも一輝の誕生日までには終わらせたいと思います(本当は企画でなにかしなければいけないのでしょうが…)
 更新を滞らせながら、オリジナルssも日記で微妙にやっております。
 オリジナルでもしょうがねぇ、読んでやるか…。というご奇特な方は
http://blog.goo.ne.jp/jinxx001/
 まで、遊びに来てやってください。
 あと、こちらでも、あちらでもご意見リクエストなどあればお待ちしております☆