一度は諦めた命であった。
外見だけは白鳥星座の聖闘士・氷河を生み出した技術と行為に、憎しみを覚えすらしたときもあった。
だが、氷河は細胞の一つ一つに受け継いだ記憶を呼び覚まし、一輝の傍らにいる。
氷河はナイフとフォークを置き、溜息を吐いた。
目覚めたときの空腹が、今では満腹に変わっている。それでも、ワゴンに並べられた朝食は半分も減ってはいない。
氷河は当惑顔で一輝を見た。
「もう、いいのか?」
一輝の言葉に氷河は頷いた。
「そうか」
一輝は氷河のフキンを外し、ワゴンを押しやった。
普段は食事を残すとうるさい一輝の引き際のよさに、氷河は拍子抜けしていた。
「なら、もう少し休め。起きたら第2ラウンドだ」
そう口にし唇を吊り上げた一輝に、1度はベッドに横たわった氷河はシーツを跳ね上げ、上体を起こした。
「なッ、な…」
あれだ犯ってまだ足りないのかと、氷河は頬を硬直させた。
「バカ、なにを考えている。宿題だ、宿題」
氷河の反応に、一輝は呆れたような声をだしていた。
「これともまだ足りんというなら、相手をしてやる」
一輝は氷河の顎を掴み上げた。
「やめろッ! この…」
「この?」
ジジイという言葉を、氷河は辛うじて呑みこんだ。
「性欲魔人ッ!」
氷河は一輝の腕を振り払った。
「人を節操なしのように言うな」
一輝はパジャマ姿の氷河を抱き締め、お前にだけだと囁いた。
「バッ、バカ…」
耳元で発せられた声の振動に身体が跳ね上がり、その反応に驚いたように、氷河は一輝を突き飛ばした。
「オレは休むから、お前は出て行けッ」
火照った頬を隠すため、シーツを頭から被り、氷河は口を開いた。
「解った、そうしよう」
一輝はワゴンを押し、歩き始めた。
「後で来るから、それまで身体を休めておけ」
言い終え、一輝は部屋を出て行った。
――バカ一輝ッ!
シーツを被ったまま心中、氷河は毒づいた。
あの一輝に宿題を心配され、食事の世話まで受けてしまった。
これでは、まるで保護者であった。
人間、変われば変わるものであった。
――だが、しかし…。
とりあえず、一輝をジジイ呼ばわりするのだけはやめようと思いながら、氷河は瞼を閉じていた。
END
ウッ、本当は24にかけて24回で終わらせようと思ったのに…。
もつと、欲を言うと引越しまでに終わらせたかったのに…。
半ば放置状態のssにお付き合いいただいてありがとうございます。
また、何か思いついたらssをさせていただこうと思います。
ご意見、ご感想、リクエストなどございましたら気軽にカキコしてやってください☆
外見だけは白鳥星座の聖闘士・氷河を生み出した技術と行為に、憎しみを覚えすらしたときもあった。
だが、氷河は細胞の一つ一つに受け継いだ記憶を呼び覚まし、一輝の傍らにいる。
氷河はナイフとフォークを置き、溜息を吐いた。
目覚めたときの空腹が、今では満腹に変わっている。それでも、ワゴンに並べられた朝食は半分も減ってはいない。
氷河は当惑顔で一輝を見た。
「もう、いいのか?」
一輝の言葉に氷河は頷いた。
「そうか」
一輝は氷河のフキンを外し、ワゴンを押しやった。
普段は食事を残すとうるさい一輝の引き際のよさに、氷河は拍子抜けしていた。
「なら、もう少し休め。起きたら第2ラウンドだ」
そう口にし唇を吊り上げた一輝に、1度はベッドに横たわった氷河はシーツを跳ね上げ、上体を起こした。
「なッ、な…」
あれだ犯ってまだ足りないのかと、氷河は頬を硬直させた。
「バカ、なにを考えている。宿題だ、宿題」
氷河の反応に、一輝は呆れたような声をだしていた。
「これともまだ足りんというなら、相手をしてやる」
一輝は氷河の顎を掴み上げた。
「やめろッ! この…」
「この?」
ジジイという言葉を、氷河は辛うじて呑みこんだ。
「性欲魔人ッ!」
氷河は一輝の腕を振り払った。
「人を節操なしのように言うな」
一輝はパジャマ姿の氷河を抱き締め、お前にだけだと囁いた。
「バッ、バカ…」
耳元で発せられた声の振動に身体が跳ね上がり、その反応に驚いたように、氷河は一輝を突き飛ばした。
「オレは休むから、お前は出て行けッ」
火照った頬を隠すため、シーツを頭から被り、氷河は口を開いた。
「解った、そうしよう」
一輝はワゴンを押し、歩き始めた。
「後で来るから、それまで身体を休めておけ」
言い終え、一輝は部屋を出て行った。
――バカ一輝ッ!
シーツを被ったまま心中、氷河は毒づいた。
あの一輝に宿題を心配され、食事の世話まで受けてしまった。
これでは、まるで保護者であった。
人間、変われば変わるものであった。
――だが、しかし…。
とりあえず、一輝をジジイ呼ばわりするのだけはやめようと思いながら、氷河は瞼を閉じていた。
END
ウッ、本当は24にかけて24回で終わらせようと思ったのに…。
もつと、欲を言うと引越しまでに終わらせたかったのに…。
半ば放置状態のssにお付き合いいただいてありがとうございます。
また、何か思いついたらssをさせていただこうと思います。
ご意見、ご感想、リクエストなどございましたら気軽にカキコしてやってください☆