JINX 猫強

 オリジナルとかパロ小説とかをやっている猫好きパワーストーン好きのブログです。
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聖闘士学園へようこそ 【番外編】 (5)

2013-01-27 22:35:00 | 聖闘士星矢
「なにが『バカ』だ、実の兄に向かって」
 一輝がまた、鈴木の身体を揺さぶった。
「止めろ、一輝――」
「オォーすげぇ、ハリウットだハリウット」
 鈴木の悲鳴と、それを追う氷河の疾走を目にし、何事かと屋上に登ってきた複数の生徒の一人が、氷河の言葉を遮った。
 その言葉に、美女を片手にビルを登った何かの動物の映画があったのを、氷河は思い出していた。
 なにか、大きな動物だった。
「すげぇ、片腕だぜ、片腕――」
 別の生徒が興奮した声を放った。
「アレ、城戸だろう? 只者じゃあないと思ったが、すげー」
 生徒の言葉に氷河は我に返り、周囲を見回し、数十人に登る野次馬に吐息を漏らした。
 これだけ目撃者がいれば、この珍事が沙織の耳に入ることは明らかであった。
「止めろといっているだろう、一輝」
 できることなら、高速の拳で一輝をフェンスから叩き落としたかった。
 だがそれをすれば、鈴木が巻き添えになる。
「獅子は子を、千仞(せんじん)の滝から落とすというぞ」
「お前は鈴木の父親かッ」
 無茶苦茶な理論に氷河は肚を立てた。
「おい、こっちも城戸だぞ」
 喚く氷河に気づいた生徒が口を開いた。
「城戸・兄が抱えているのは、1年の鈴木だぜ」
 悲鳴を放ち続ける鈴木に目を止めた生徒が、誰にともなく呟いた。
「じゃぁ、兄弟で取り合ってるのか――」
「誰が、誰を取り合う? 人を物のようにいうのや止めろ」
 鈴木は玩具ではないのだと、氷河は肚を立てた。
「黙れ、大体キサマが悪いのだ」
 一輝は掴んでいたフェンスを離し、氷河に指を突きつけた。
「バカ、止めろッ。バランスを崩したらどうする? ――それに、なぜ、オレが悪い?」
 このぐらいのことで一輝がバランスを崩すわけはないが、周囲の目がある。それに、鈴木をいきなり攫い、無体な真似をしているのは誰でもない、一輝であった。
「朝から晩までコヤツと行動を共にしおって」
 今や、恐怖で凍り付いている鈴木を振りかざした。
「それになんの不都合がある?」
 鈴木は氷河を慕っている。幼いころ一輝を慕い、傍らに寄り添っていた瞬と変わりがない。
「バカ者ッ、なんでこの一輝が、こんな辺鄙な場所に来たと思う」
 一輝が自身の胸を叩いた。
「沙織さんに命じられたから、だろう?」
 大体、氷河が以前の学校で体育館を破壊してしまった責任は、万事一輝にある。
 大体の災厄は、このバカが運んでくる。
「バカ者ッ、そんなことでこの一輝が動くと思っているのか」
 氷河は富士で風穴での闘い以来、何度か一輝に螺子伏せられた事があった。
 それを、思い出した。
「――なにをバカなッ! そんな邪悪な考えで編入してきたというのかッ」
 数々の出来事を思い出し、氷河は赤面した。
「そうとも、お前は一生オレのモノだ」
 バカの考えなしの言葉に、周囲の野次馬がどよめいた。
「すげぇー、プロポーズみた――」
「誰が、誰にだ」
 氷河の剣呑な視線と声に、生徒は目を逸らし黙った。
「とにかく鈴木を降ろしてやれ、可哀想だろう」
 一輝は鈴木のベルトと、僅かな衣服を掴んでいるだけだ。そんな乱暴な持ち方ではベルトが腹部に食い込んでしまう。鈴木は聖闘士ではなく、一般の生徒だ、それがこの獣には解らない。
「フッ、降ろせといわれ、オレが素直に従うと思うのか?」
 一輝が口の端を吊り上げた。
「キサマ、それは暴力行為だぞ、キサマ、それでもセ――」
 聖闘士か、という言葉を、氷河は辛うじて呑み込んだ。
「『セ』が、どうした?」
 聖闘士とは神話の時代から、地上に悪が蔓延(はびこ)るとき、悪に対峙する女神のために闘う存在であった。
 こんな場所で、その存在を口にできるはずがあるまいと、一輝は嗤った。
 その事実に、氷河は奥歯を噛み締めた。
 なぜ、こんな外道が瞬の兄なのかと、氷河は思う。
 氷河はいかに、この外道をフェンスから叩き落とし、鈴木を無事に取り戻そうかと、思案を巡らせた。
 それも、この野次馬の視線を掻い潜りながら、だ――。
 光速の拳、これは問題はない。
 氷河の腕の一振りで、事はなる。
 だが、鈴木を取り戻すべくフェンスを駆け上れば、人間離れした動きを見咎められてしまう。鈴木の身体が、光速には耐え切れないからだ。
「どうした、氷河? 跪(ひざまづ)いて懇願するのなら、おまえの可愛い『弟』を、開放してやらぬでもない」
 鈴木と野次馬を気にかけ、身動きできない氷河に、バカが勝ち誇った。
 一瞬、殴り倒そうと思ったが、止めた。
 このような場所で、このようなバカを相手にすれば、沙織になにをいわれるかは、明々白々であった。
 氷河は後の報復を誓いながらも、膝を折った。
「キサマ…それほどまでに」
 膝を折る前より険悪な顔で、一輝が呻いた。
「うるさい――『跪け』といったのは…」
 ふと見上げた一輝の行動に、氷河は呼吸を止めた。
 一輝が鈴木を放り投げたのを目にし、氷河はフェンスを駆け登るべく立ち上がった。
 もう、人目がどうのと、考えている場合ではなかった。
「――なッ」
 鈴木を助けるべく地を蹴った氷河と、鈴木の身体が空間で交差した。それで、一輝がフェンスの向こう側ではなく、こちら側に鈴木を放り投げたのだと気づいた。
 だが、気づいたときには、臀部に衝撃を受けた。
 外道のバカに臀部を蹴られたのだと思い至ったのは、フェンスから落下しながらだった。
 氷河なら校舎の凸(とつ)部に足を掛け、駆け上れないわけではなかったが、そんなことをすれば沙織の口にする『人間離れ』した行動となってしまう。
 落ちるしかなかった。
 空間に踊り出、落下しながら、鈴木は暗黒四天王の一人、暗黒白鳥星座・スワンに抱きかかえられるのを、氷河は目にしていた
 3階建ての校舎の屋上から落下しながら、脇に伸びていた木の枝に腕をかけた。
 だが、とっさの出来事に、氷河は枝の太さと強度をを見誤ってしまった。
 掴むと同時に折れた木の枝ごと、氷河は地面に落下していた。
――クッ、一輝ッ。
 この怨みをどう晴らそうかと思いながら、氷河は瞼を閉じ、周囲の様子を伺った。
 黄金聖闘士の光速の拳を受け、大理石をも砕いた青銅聖闘士の身体であった。校舎から落ちるぐらい、どうということはなかった。
 だが、校舎の屋上から落下し、即、立ちがるのは『人間離れ』した行動に入る。
――転校したい。
 切に、氷河はそう思った。
 だが、あのバカは氷河を付け回すためにこの辺鄙な場所の学園に転入してきた、と口にした。
 一輝は現実離れしたことばかり口にするが、冗談はいわない男であった。
 現に、氷河の通う学校へは、どこへでも現れた。
 ギリシャに行こう――、と思った氷河は、聖戦に赴いた青銅聖闘士は女神の名の許、聖域に立ち入り禁止なことを思い出していた。
 それに、一輝のバカから逃げるようにギリシャに向かうのも、どうかと思う。
 周囲に人垣のできはじめた気配に、氷河は瞼を開いた。
 途端、目の前に広がる花畑に、氷河は目を見張った。
 打ちどころが悪く、どうにかなってしまったのかと思った。
「大丈夫? 城戸くん」
 見慣れた生徒に声を掛けられ、氷河は上体を起こした。
 身体の下で無残に潰された花々を目にし、氷河は顔面から花壇に落下したことを悟り、なるべく花々を傷つけないよう、そこから出、木の枝を取り除いた。
「どうしたの? なにか辛いことでもあるの? 教室に行きたくないのなら、ボクと保健室に行こうよ」
 遠慮がちに声をかけてくる生徒から、氷河は視線を逸らした。
 いきなり頭上から落下してきたのでは、自殺を疑われても仕方がなかった。
「遊びなの? 遊びでそんなことをしたら、危ないよ――」
 自分に注がれる視線に、氷河は当惑した。
 どう答えたらいいのか解らない。
「――それとも、地面が花壇だから大丈夫だと思って、わざと飛び降りたの?」
 追い打ちを掛けられ、氷河は無残に散った花々を見た。
 落下した先が花壇だと知っていれば、空中で軌道を逸すことぐらいはできたものをと、氷河は悔やんだ。
「こめん――でも、わざとじゃあないんだ」
 氷河も心を癒していくれる花に愛情を感じていた。
 とくに、母の好んだバラは愛おしいと思う。
「じゃあ、花壇の手入れ、手伝ってくれる?」
 名も知らぬ生徒の提案に、氷河は一も二もなく頷いた。
「勿論――」
 園芸部の佐々木と名乗った生徒に握手を求めるべく、腕を差し出した氷河の動きが凍りついた。
 佐々木の背後に、憤怒の形相を浮かべた一輝の姿を見出したからであった。

 
■ 終わり ■



 思いの外、長くなってしまいすみませんでした(お付き合い下さり、ありがとうございますッ)
 拍手をくれた方、ありがとうございます。
 人が見てくれていると思うと、やる気が出ますね(ペコリ)
 

聖闘士学園へようこそ 【番外編】 (4)

2013-01-25 23:29:00 | 一輝・氷河ss
 借りた本を本棚に戻し終えたとき、小宇宙の片鱗を感じた氷河は背後を振り返った。
 そこに、黒い影を見出し、氷河は眉を寄せた。
 黒い影は悲鳴を上げる鈴木を小脇に抱え、図書室を出ようとしていた。
 黒い影とは一輝であった。
「ま、待てッ」
 氷河は階段を駆け上がる一輝を追いながら叫んだ。
 学園に編入する青銅聖闘士たちはアテナである城戸沙織に『くれぐれも人間離れした行動は慎むように』といわれていた。
 それが、コレであった。
 いくら小柄とはいえ、自分とそう年の変わらない少年一人を小脇に抱えたまま階段を駆け上がるとは、常軌を逸した暴挙としかいいようがなかった。
「な、なにを――」
 屋上のフェンスに駆け上った一輝の姿に、氷河は瞠目した。
 一輝はその腕に、暴れ足掻く鈴木のベルトを掴み、高々と掲げていたからだ。
「た、助けてッーお兄様ッ」
 自分を追ってきた氷河の姿を見出し、鈴木は悲鳴を上げた。
「なにが『お兄様』だ、この惰弱者が」
 一輝がベルトを持った腕を振った。
「止めろッ一輝、泣いているじゃあないか」
 自分に向い腕を伸ばし涙を流す鈴木の姿に、氷河は訴えた。
「美しい兄弟愛、というわけか」
 一輝が嗤った。
「なにを、バカな――」
 鈴木が氷河を兄と呼んだからといって、本当の兄弟になるわけではない。
 氷河は日本へ向かう途中、船舶事故で母を失った。
 母を失い、言葉も、習慣も解らない異国の地で、氷河は心細い生活を余儀なくされた。
 鈴木もそうだ。
 これまで裕福な家庭で、肉親の愛情を一身に受け生活していた鈴木が、慣れない寮生活を強いられ、学園を辞めたいと漏らしていたのを、氷河は知っていた。
 その鈴木に『お兄様になって下さい』と請われ、断れる筈がなかった。


■ 続く■

 
 
 

聖闘士学園へようこそ 【番外編】 (3)

2013-01-20 00:40:00 | ノンジャンル
 氷河は鈴木と共に宿題と予習に勤しんでいた。
 聖闘士になるとき、教養として様々な学問を、氷河はカミュから学んだ。
 言語も、ロシア語・ラテン語・日本語・英語・フランス語などを学んでいたが、氷河の予期していない学問が、日本にはあった。

 古文。

 馴染みのない学問に、氷河は注意を払わなかった。
 以前の学校は、授業は選択制だった。
 氷河は「古文」なるものを選択から除外してしまった。
 この学園で、初めて古文なるものの授業を受け、氷河は愕然とした。
 同じ日本語だとは思えなかったからだ。
 このわけの分からぬ言語に、氷河は頭を痛めていた。
 かといって、解らない、などと口にすれば、一輝に何を言われるか解ったものではない。
 瞬や紫龍に相談すれば、一輝の耳に確実に入る。
 氷河はこの難解な学問に、独学で挑むことに決めた。
 幸い、鈴木といれば学園の見回りなどの雑務からは開放され、他の生徒たちの干渉を受けることはない。
 傍目から見れば、氷河が鈴木に勉強を教えているように見える。
 実際、古文以外の教科では聖闘士たちは優秀であった。
「お兄様は、大学はどちらへ?」
 問われ、氷河は瞼を見開いた。
 これまでの生活で「大学」など、考えたことがなかったからだ。
「さあ、これから考えないとな」
 氷河は力なく呟いた。
 城戸沙織はギリシャの女神アテナの化身――。
 一企業にいつまでも携わっているわけにはいかない。
 沙織は大恩のある城戸光政の実子たちにグラード財団を引き渡したいと考えている。
 そのための学生生活であろうとは氷河は思う。
 だが、氷河は聖闘士だ。
 会社勤めなど、果たして自分にできるのかと思う。
「ボク、お兄様と同じ大学に行きたい」
 鈴木が氷河の制服を握りしめた。
「そうだな、一緒に勉強をしていこう」
 まだ先の話だと、氷河は鈴木に微笑みかけた。
 不意に背に悪寒が駆け抜け、氷河は周囲を見回した。
「どうかなさいましたか?」
 不安げに問われ、氷河は鈴木の頭を撫でた。
 鈴木は中学で不登校になっている、ある日、登校を拒むにはそれなりの理由があるはずであった。
 実際、氷河は素行の悪い生徒が、鈴木にわざとぶつかり言いがかりをつけているところに何度か出くわした事があった。
「いいや、なんでもない、それよりもう時間だ」
 氷河は参考書をまとめはじめながら口を開いた。
「今から行けば、食堂は空いているからゆっくり食事ができる」
「なら、お風呂もゆっくり入れますね」
「ああ、そうだな」
 そうは言っても、氷河はシャワー組だった。
「お兄様、今日は一緒にお風呂にはりましょうよ?」
 図書館で借りた本と、自身の本とを分けながら鈴木が口を開い。
「あぁ、たまにはな」
 氷河は嘆息を噛み殺した。
 ロシア人の母の血が混ざる氷河の裸身は目立つ。
 風呂場では視線を集めてします自分の容姿に、氷河は辟易ごしていた。
 だが、鈴木が入浴をしたいというのなら仕方がなかった。
 
 なんといっても、氷河は鈴木の兄なのだ。
 
 ■ 続く ■

 
 

聖闘士学園へようこそ 【番外編】 (2)

2013-01-18 02:05:00 | 一輝・氷河ss
 鈴木は氷河を「お兄様」と慕い、どこへ行くのにも氷河に付き纏った。
 部屋も、クラスも違うというのに、よく続くものだと氷河は感心していた。
 鈴木は円(つぶら)な瞳で氷河を見つめる。その姿は幼い瞬が、よく一輝の後を追い回していたことを。彷彿させた。
 氷河には兄弟愛というのが解らない。
 兄弟子はいたが、鈴木にはきつい言葉を言う気にはならない。
 氷河の兄は一輝しかいないが、あの男に兄弟愛というものを求めることは出来ない。
 一輝はあくまでも瞬の兄なのだ。

「お兄様、今日のお夕食のメインは、お肉になさいます? お魚になさいますか?」
 授業が終わり、日課のように教室にやってきた鈴木に問われ、氷河は戸惑った。
 基本、聖闘士には好き嫌いはない。
「ボクはなんでもいいから、きみのオススメを一緒に食べよう」
 そう口にした途端、氷河は背後から突き刺さるような殺気を感じ、首を巡らせた。
 巡らせた先に一輝の姿を見出し、氷河は鈴木を促し、これも日課になっている図書室にむかった。
 一輝などと関わると、ろくなことがないからだ

■ 続く ■

聖闘士学園へようこそ 【番外編】

2013-01-15 23:23:00 | 一輝・氷河ss
――何がいけなかったのか…。
 氷河は吐息を漏らした。

 先日、ある生徒に「お兄さんになって下さい」と、言われた。
 鈴木という、一見線の細いその少年は、どこかの会社の社長の息子で、何人かいる兄弟の末の息子ということで、肉親に甘やかされ気味に育ち、小さなことが原因で不登校になってしまったらしかった。
 不登校&ひきこもりを案じた親族が、この「聖闘士学園」「へ編入を進めたらしかった。


――聖闘士学園。

 現・グラード財団総帥となった城戸沙織が創設した学園であった。

 
 聖戦を終え、激闘に明け暮れた青銅聖闘士を聖闘士としてではなく、年相応の学生生活を送らせるべく、城戸沙織は青銅聖闘士たちをそれぞれ高校に送り込んだ。
 だが、青銅聖闘士たちはその有り余る力で公共の建築物を壊しまくり、その賠償額は城戸沙織の予想金額を遥かに超えた。
 特に白鳥星座の聖闘士と、不死鳥星座の聖闘士に関わる請求書は群を抜いた。


 ある日、学校をサボりながらも暇を持て余した不死鳥の聖闘士・一輝は、真面目に学校生活を送っているであろう、白鳥星座の聖闘士・氷河をからかおうと、氷河の在籍する高校へ出向いた。
 そのとき、たまたま氷河はヤクザの息子と揉めていた。
 氷河はロシア人の母の血を色濃く継いたハーフであった。
 その金色の髪と、サファイアのような蒼い瞳は人目を引いた。
 その髪を染めろと強要され、氷河は無視した。
 ヤクザの息子の要求を物ともしない氷河の態度に苛立った生徒は、仲間を集め氷河の襲撃に出た。
 氷河は向かってきた相手を、適度に叩きのめした。
 自身も武道を嗜み、腕に自身のあった生徒は、氷河にプライドを傷付られ、カツアゲをするべく因縁をつけ、逆に叩きのめされた一輝に生意気な生徒を叩きのめすべく助っ人を頼んだ。
 相手が氷河だと知って、一輝は一も二もなく引き受けた。
 一輝の挑発を受け、氷河は小宇宙を発動させ、周囲の建築物を瓦礫と化させてしまった。
 その知らせを受け、城戸沙織は肚を立てた。
 これなら自分で学校を創設したほうが安く上がるではないかと思った沙織は、即座に学校を創設してしまった。
 一輝を始め、氷河たち青銅聖闘士は「聖闘士学園」に放り込まれた。
「聖闘士学園」は国の許可を得、富士の樹海の一部を切り開いた全寮制の学園であった。
 品行方正・学力向上を唄い、入学生・編入生を募った。
 勿論、学園施設・教師は全世界から優秀な人材を揃えた。
 全国の問題児達も、快く引き受けた。
 生徒に聖闘士も混ざっているのだから、イジメも問題行動もない。
 そのぐらいの配慮はするようにとの、沙織の無言の圧力をうけ、氷河たちは学園生活を送っていた。

 

■続く■