メキシコのサルビアとプラントハンターの物語 No20
プリングルは、数多くのサルビアを採取しているが詳細がよくわからないものも多い。可能な限りフォローしてみることにする。
7.Salvia concolor Lamb. ex Benth. (1833). サルビア・コンカラー
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(出典)Robin’s Salvias
8月から10月まで素晴らしい濃いブルーの花を咲かせるサルビア・コンカラー。草丈・幅200㎝と大柄な潅木を形成し、耐寒性があるサルビア。
命名者の一人ランバート(Lambert, Aylmer Bourke 1761-1842)は、英国の植物学者でマツ属の権威。最初のコレクターは、Campbellまではわかるがそれ以上はわからない。
プリングルは、1901年9月2日にメキシコで採取する。
8.Salvia elegans Vahl (1804). サルビア・エレガンス(パイナップルセージ)
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(出典)モノトーンでのときめき
秋咲きのサルビア・エレガンス。緋色の花、明るい緑色のパイナップルの香りがする葉と、その美しい姿は日本でも大分普及している。
しかし我が庭のエレガンスは、3-4年で株を更新しなかったことも影響しているためかこの夏の暑さで全滅してしまった。カッティングで殖やしておくべきだったと悔やんでも後の祭りだった。
このサルビア・エレガンスは、1804年に、デンマーク・ノルウェーの植物・動物学者でウプサラ大学でリンネに学んだバール(Vahl, Martin (Henrichsen) 1749-1804)によって命名されているので、誰が最初に採取したかわかっていないがフンボルト探検隊以前に採取されていたのだろう。
プリングルは何度かこのサルビア・エレガンスを採取しているが、彼が最初に採取したのは1891年12月22日メキシコ、ミチョアカン州だった。
ヨーロッパといっても英国の庭に導入されたのは1870年代といわれている。しかし、英国での呼び方であるパイナップルセージ(pineapple sage)では、「Salvia rutilans Carrière(1873)」という新たな名前で100年以上も呼ばれていた。
9.Salvia flaccidifolia Fernald (1907).
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(出典) senteurs du quercy
草丈60㎝で直立する花序に青紫の花が咲き耐寒性が弱い。
プリングルがこのサルビアの最初の発見者で、1906年9月6日にメキシコ、イダルゴ州でbarrancaで採取した。
10.Salvia fluviatilis Fernald (1900). サルビア・フルビアティリス
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(出典)Robin’s Salvias
プリングルが最初に発見したサルビアで、1898年5月16日にメキシコ、モレーロス州の州都クエルナバカにある小川付近で発見・採取した。この年の9月29日には米国人のコレクター、ホルウエイ(Holway, Edward Willet Dorland 1853-1923)が同じ地域で採取しているので4ヶ月ほど早かった。
このホルウエイは、アイオワの銀行員で休日には植物・菌類を採取した趣味人だった。19世紀末には植物学の教育を受けていない趣味のコレクターが登場し始めたことには注目しておきたい。
このサルビアは、ライムライトで知られるサルビア・メキシカーナに似ているようだが、青紫の花は小さく、小川付近で発見されたということもあり乾燥した土壌を嫌うようだ。
11.Salvia henryi A. Gray(1870). サルビア・ヘンリー
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(出典) Western New Mexico University Department of Natural Sciences & the Dale A. Zimmerman Herbarium
真っ赤な花冠とマロウのような切れ込みがある葉に特色があるサルビアで、崖や岩が多い峡谷に生育する。
プリングルは、1884年5月25日に米国アリゾナでこのサルビアを採取しているので、メキシコのサルビアとは言いにくいが、誰が最初にこのサルビアを採取したのかわからないが、記録に残る最初の採取者は、1881年8月ニューメキシコ州でラズビー(Rusby, Henry Hurd 1855-1940)が採取していた。
アメリカ南部からメキシコ北部が原産地なので収録することにした。
なお、採取者のラズビーは、テキサス・ニューメキシコ・南米で植物探索をしたコレクターで、1891年に設立されたニューヨーク植物園の設立メンバーの一人でもある。
12.Salvia iodantha Fernald(1900). サルビア・イオダンタ
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(出典)Robin’s Salvias
プリングルは、このサルビアの最初の発見・採取者で、1899年2月5日にメキシコ、モレーロス州の気候温暖な古都クエルナバカの707メートルの山中で採取した。
成長が早く草丈200㎝で横にも広がるので広い庭に向いているが、剪定をしたほうが良いようだ。気候温暖なところで生育しているので耐寒性は強くない。
花は、パーマが採取したサルビアで紹介した“Salvia purpurea Cav.(1793)”と似ているが、紫色ではなく深い紅色なので区別しやすい。
13. Salvia lasiantha Benth. (1833). サルビア・ラシアンサ
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(出典)Robin’s Salvias
プリングルは、このサルビアを1894年9月4日にメキシコ、オアハカ州の2000mの山中で採取するが、最初の採取者は、スペインの医者・植物学者で1780年に軍医としてメキシコに赴任したセッセ(Sessé y Lacasta, Martín 1751-1808)とその同僚Mociño, José Mariano (1757-1820)で、1786年に、時のスペイン国王チャールズ三世(1716 -1788)にスペインの新大陸植民地での大規模な植物・動物などの資源を調査する提案を行い、その中心メンバーとして探検で活躍したので、1786年前後のことなのだろう。
「サルビア・ラシアンサ」は、冬に開花するサルビアで温室で育てる必要がありそうだが、赤紫の萼とオレンジの花のコンビネーションが見事な花だ。それにしても美しいサルビアだ。
なお、このシリーズのNo8で、ガレオッティが1840年頃採取した「Salvia chrysantha」は類似のサルビアだが、先に命名されたサルビア・ラシアンサが優先される。
(続く)
プリングルは、数多くのサルビアを採取しているが詳細がよくわからないものも多い。可能な限りフォローしてみることにする。
7.Salvia concolor Lamb. ex Benth. (1833). サルビア・コンカラー
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(出典)Robin’s Salvias
8月から10月まで素晴らしい濃いブルーの花を咲かせるサルビア・コンカラー。草丈・幅200㎝と大柄な潅木を形成し、耐寒性があるサルビア。
命名者の一人ランバート(Lambert, Aylmer Bourke 1761-1842)は、英国の植物学者でマツ属の権威。最初のコレクターは、Campbellまではわかるがそれ以上はわからない。
プリングルは、1901年9月2日にメキシコで採取する。
8.Salvia elegans Vahl (1804). サルビア・エレガンス(パイナップルセージ)
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(出典)モノトーンでのときめき
秋咲きのサルビア・エレガンス。緋色の花、明るい緑色のパイナップルの香りがする葉と、その美しい姿は日本でも大分普及している。
しかし我が庭のエレガンスは、3-4年で株を更新しなかったことも影響しているためかこの夏の暑さで全滅してしまった。カッティングで殖やしておくべきだったと悔やんでも後の祭りだった。
このサルビア・エレガンスは、1804年に、デンマーク・ノルウェーの植物・動物学者でウプサラ大学でリンネに学んだバール(Vahl, Martin (Henrichsen) 1749-1804)によって命名されているので、誰が最初に採取したかわかっていないがフンボルト探検隊以前に採取されていたのだろう。
プリングルは何度かこのサルビア・エレガンスを採取しているが、彼が最初に採取したのは1891年12月22日メキシコ、ミチョアカン州だった。
ヨーロッパといっても英国の庭に導入されたのは1870年代といわれている。しかし、英国での呼び方であるパイナップルセージ(pineapple sage)では、「Salvia rutilans Carrière(1873)」という新たな名前で100年以上も呼ばれていた。
9.Salvia flaccidifolia Fernald (1907).
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(出典) senteurs du quercy
草丈60㎝で直立する花序に青紫の花が咲き耐寒性が弱い。
プリングルがこのサルビアの最初の発見者で、1906年9月6日にメキシコ、イダルゴ州でbarrancaで採取した。
10.Salvia fluviatilis Fernald (1900). サルビア・フルビアティリス
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(出典)Robin’s Salvias
プリングルが最初に発見したサルビアで、1898年5月16日にメキシコ、モレーロス州の州都クエルナバカにある小川付近で発見・採取した。この年の9月29日には米国人のコレクター、ホルウエイ(Holway, Edward Willet Dorland 1853-1923)が同じ地域で採取しているので4ヶ月ほど早かった。
このホルウエイは、アイオワの銀行員で休日には植物・菌類を採取した趣味人だった。19世紀末には植物学の教育を受けていない趣味のコレクターが登場し始めたことには注目しておきたい。
このサルビアは、ライムライトで知られるサルビア・メキシカーナに似ているようだが、青紫の花は小さく、小川付近で発見されたということもあり乾燥した土壌を嫌うようだ。
11.Salvia henryi A. Gray(1870). サルビア・ヘンリー
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(出典) Western New Mexico University Department of Natural Sciences & the Dale A. Zimmerman Herbarium
真っ赤な花冠とマロウのような切れ込みがある葉に特色があるサルビアで、崖や岩が多い峡谷に生育する。
プリングルは、1884年5月25日に米国アリゾナでこのサルビアを採取しているので、メキシコのサルビアとは言いにくいが、誰が最初にこのサルビアを採取したのかわからないが、記録に残る最初の採取者は、1881年8月ニューメキシコ州でラズビー(Rusby, Henry Hurd 1855-1940)が採取していた。
アメリカ南部からメキシコ北部が原産地なので収録することにした。
なお、採取者のラズビーは、テキサス・ニューメキシコ・南米で植物探索をしたコレクターで、1891年に設立されたニューヨーク植物園の設立メンバーの一人でもある。
12.Salvia iodantha Fernald(1900). サルビア・イオダンタ
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(出典)Robin’s Salvias
プリングルは、このサルビアの最初の発見・採取者で、1899年2月5日にメキシコ、モレーロス州の気候温暖な古都クエルナバカの707メートルの山中で採取した。
成長が早く草丈200㎝で横にも広がるので広い庭に向いているが、剪定をしたほうが良いようだ。気候温暖なところで生育しているので耐寒性は強くない。
花は、パーマが採取したサルビアで紹介した“Salvia purpurea Cav.(1793)”と似ているが、紫色ではなく深い紅色なので区別しやすい。
13. Salvia lasiantha Benth. (1833). サルビア・ラシアンサ
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(出典)Robin’s Salvias
プリングルは、このサルビアを1894年9月4日にメキシコ、オアハカ州の2000mの山中で採取するが、最初の採取者は、スペインの医者・植物学者で1780年に軍医としてメキシコに赴任したセッセ(Sessé y Lacasta, Martín 1751-1808)とその同僚Mociño, José Mariano (1757-1820)で、1786年に、時のスペイン国王チャールズ三世(1716 -1788)にスペインの新大陸植民地での大規模な植物・動物などの資源を調査する提案を行い、その中心メンバーとして探検で活躍したので、1786年前後のことなのだろう。
「サルビア・ラシアンサ」は、冬に開花するサルビアで温室で育てる必要がありそうだが、赤紫の萼とオレンジの花のコンビネーションが見事な花だ。それにしても美しいサルビアだ。
なお、このシリーズのNo8で、ガレオッティが1840年頃採取した「Salvia chrysantha」は類似のサルビアだが、先に命名されたサルビア・ラシアンサが優先される。
(続く)
いまさかりのブルーのサルビアは、ブラジルが原産のサルビア・ガラニチカというものですが、
花の形は、パイナップルセージと同じです。
以下のアドレスをコピーして、ブラウザーのアドレス欄に(最上部)ペーストしてください。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuo_shiga/e/d27d581e54ba60fbf5b3d6d7bec05071
エレガンス、ダメになってしまったのは我が家だけではなかったのですね。2年間見事に大株になって咲いていたのですが、今年は、ぱたっと枯れたようです。暑さで乾燥したせいもあるかな~と思ってます。
鉢に入れて育てているサルビアでは、結構花が見れないものも多く、きっとサルビア類は大きく育たないと花が見れない種が多いのだろうと、(鉢管理では無理なものが多いのだと)あきらめています。
ボッグセージだけは、ひょろりと高く伸び、たくさん花を咲かせました。地面に根が張ったのかも・・。
エレガンスだめになりましたか。残念ですね。カッティングで新しい株を作る必要がありそうですね。
我が家では、種類を増やすためにほとんど鉢で育てていますが、春先成長前の鉢がえと、置き場所(半日陰が適したものは日陰になど)水遣り、シーズン終わりの枯れ枝のカットなどで結構咲いていますよ。