その9 :『植物と社会との出会い』① パースペクティブ
ヒトにとって重要なものは活用され、石・粘土・紙等の何らかのメディアに“記録”される。
植物は、Herb・本草・食料など様々な言い方があるが、
“ヒトに役立つ雑草”がヒトの歴史の中で
どのような出会いと記録があったかを追いかけてみようとしている。
植物と人間の出会いに、ヒト社会の考え方の変遷があるはずで
農閑期のテーマとしてアプローチしている。
その1~その3では、1600年頃の絵画という切り口でこれを見た。
その4~その8では、大航海時代のアメリカ大陸原産のジャガイモ・サツマイモが
世界に伝わっていくプロセスを追いかけてみた。
これからしばらくは、“植物学”に至る科学という切り口から
「植物と社会の出会い」をのぞいてみることにする。
16世紀から17世紀は、歴史的なターニングポイント期であったようだ。
前の時代である中世は、
政治・経済よりも宗教が上位にあったがために、
いまでは考えられないロジックでモノゴトが決まり、動いていた。
この時代の西欧の科学は停滞しており、
ギリシャ・ローマの文化を引継ぎ育てたのは、イスラムの世界であった。
しかも、インドから導入した数字(のちにアラビヤ数字)・ゼロの概念・十進法を
イスラムが発展させた代数学・幾何学は
西欧社会の近代科学を芽生えさせる土台となった。
16世紀・17世紀は
ベーコン(英・1561-1626)、デカルト(仏・1596-1650)の科学的な思考方法を基礎に、
物理・数学・化学・医学そして、私のテーマでもある植物学などの自然科学が
科学として確立していく“科学革命”が進んだ時代でもあった。
科学が未来を照らす“光”とすると、
未来を予測できない不安が闇を作り、“差別”“蔑視”“排除”などに“暴力”が結びつき
ユダヤ人、ハンセン病患者、ジプシーなどが差別を受け、排除される危害を受けた。
“魔女狩り”は、中世末期に始まり18世紀に終わったが、
ピーク期がなんと、16世紀、17世紀であるから驚きだ。
近代科学が誕生するその時期に、ぬぐいきれない汚辱が同時進行していた。
変革期につきもののようであるが、
変革の山が高ければ高いほど、闇の谷は深く、人間の英知という光が届かない。
別立てテーマで触れることになると思うが、
“魔女”の中には、ハーブと薬効を熟知していた、今でいうとナチュラリストもいたようだ。
差別された階層で“知りすぎている”ことは、差別している暗愚な階層にとって
面白いはずがない。
科学と非科学が同時期に進行した16~17世紀。
それは、ルネッサンス・大航海時代が用意した舞台でもあるようだ。
大航海時代がもたらした珍しいものを集積する『植物園』が出来たのもこの時代だ。
ナチュラリストの流れ
・古代文明(中国・インド・エジプト)
・アリストテレス(紀元前384-322)『動物誌』ギリシャ
・テオプラストス(紀元前384-322)『植物誌』植物学の父 ギリシャ
・プリニウス(紀元23-79)『自然誌』ローマ
・ディオスコリデス(紀元1世紀頃)『薬物誌』西洋本草書の出発点、ローマ
・イスラムの世界へ
・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)イタリア
・レオンハルト・フックス(1501-1566)『植物誌』本草書の手本で引用多い、ドイツ
・李時珍(りじちん 1518-1583)『本草網目』日本への影響大、中国
ヒトにとって重要なものは活用され、石・粘土・紙等の何らかのメディアに“記録”される。
植物は、Herb・本草・食料など様々な言い方があるが、
“ヒトに役立つ雑草”がヒトの歴史の中で
どのような出会いと記録があったかを追いかけてみようとしている。
植物と人間の出会いに、ヒト社会の考え方の変遷があるはずで
農閑期のテーマとしてアプローチしている。
その1~その3では、1600年頃の絵画という切り口でこれを見た。
その4~その8では、大航海時代のアメリカ大陸原産のジャガイモ・サツマイモが
世界に伝わっていくプロセスを追いかけてみた。
これからしばらくは、“植物学”に至る科学という切り口から
「植物と社会の出会い」をのぞいてみることにする。
16世紀から17世紀は、歴史的なターニングポイント期であったようだ。
前の時代である中世は、
政治・経済よりも宗教が上位にあったがために、
いまでは考えられないロジックでモノゴトが決まり、動いていた。
この時代の西欧の科学は停滞しており、
ギリシャ・ローマの文化を引継ぎ育てたのは、イスラムの世界であった。
しかも、インドから導入した数字(のちにアラビヤ数字)・ゼロの概念・十進法を
イスラムが発展させた代数学・幾何学は
西欧社会の近代科学を芽生えさせる土台となった。
16世紀・17世紀は
ベーコン(英・1561-1626)、デカルト(仏・1596-1650)の科学的な思考方法を基礎に、
物理・数学・化学・医学そして、私のテーマでもある植物学などの自然科学が
科学として確立していく“科学革命”が進んだ時代でもあった。
科学が未来を照らす“光”とすると、
未来を予測できない不安が闇を作り、“差別”“蔑視”“排除”などに“暴力”が結びつき
ユダヤ人、ハンセン病患者、ジプシーなどが差別を受け、排除される危害を受けた。
“魔女狩り”は、中世末期に始まり18世紀に終わったが、
ピーク期がなんと、16世紀、17世紀であるから驚きだ。
近代科学が誕生するその時期に、ぬぐいきれない汚辱が同時進行していた。
変革期につきもののようであるが、
変革の山が高ければ高いほど、闇の谷は深く、人間の英知という光が届かない。
別立てテーマで触れることになると思うが、
“魔女”の中には、ハーブと薬効を熟知していた、今でいうとナチュラリストもいたようだ。
差別された階層で“知りすぎている”ことは、差別している暗愚な階層にとって
面白いはずがない。
科学と非科学が同時期に進行した16~17世紀。
それは、ルネッサンス・大航海時代が用意した舞台でもあるようだ。
大航海時代がもたらした珍しいものを集積する『植物園』が出来たのもこの時代だ。
ナチュラリストの流れ
・古代文明(中国・インド・エジプト)
・アリストテレス(紀元前384-322)『動物誌』ギリシャ
・テオプラストス(紀元前384-322)『植物誌』植物学の父 ギリシャ
・プリニウス(紀元23-79)『自然誌』ローマ
・ディオスコリデス(紀元1世紀頃)『薬物誌』西洋本草書の出発点、ローマ
・イスラムの世界へ
・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)イタリア
・レオンハルト・フックス(1501-1566)『植物誌』本草書の手本で引用多い、ドイツ
・李時珍(りじちん 1518-1583)『本草網目』日本への影響大、中国