清水公園のハーブ園では、秋の花に毒々しいほどの色鮮やかで不思議な蝶が舞っていた。
沖縄の蝶がきていると教えられ、先日の台風に乗って飛来したのかと思ったが
写真を撮り調べてみたら、意外なことがわかった。
ツマグロヒョウモンのメス メスグロヒョウモンのオス
これらの蝶は、赤褐色の地に黒紋があり、
これが豹に似た文様なので、“〇〇ヒョウモン(〇〇豹紋)”という種であることがわかった。
結構多くの種があり、特色をつき合わせていくと
写真左は、“ツマグロヒョウモンのメス”。
写真右は、“メスグロヒョウモンのオス”と思われる。
動物・蝶の世界でも、色鮮やかな衣装をまとうのはオスで、
メスは目立たない・働き者というのが多いそうです。
この2種は例外のようで、オスとメスは別種のように大きく異なり
メスの方がはでに化粧をしている。
人間社会にちかくて大変結構だと思うが・・・・
意外に厳しい現実もわかってしまった。
最初は、
この2匹は、“ツマグロヒョウモン”のツガイが、台風の風に乗り、
沖縄からやってきたかとロマンチックにとらえたが、
そうでもなさそうだ。
一見してわかるのは、羽が破れていずきれいであり、
沖縄から台風の風に乗りやってくれば、羽は、ボロボロになっているはずだ。
近場で生まれた可能性が大であり、生態系が大きく変化しているようだ。
これを調べてみると、こんなことがわかってきた。
“ツマグロヒョウモン”蝶は、
着物のすその両端を褄(つま)というが、ここが黒いから褄黒(つまぐろ)といい、
熱帯から温帯に生息し、日本では、沖縄・南西諸島・九州などに分布する。
全体的に毒々しいほどの色鮮やかで、警戒色を発信している。
毒をもっているかと思ったらそうでもなく、
“擬態(ぎたい)”であることがわかった。
誰に似せているかといえば、“
カバマダラ”蝶であり、
体内に毒をもっているので、天敵の鳥などに食べられない。
奄美・沖縄などで生息し、
この“カバマダラ”そっくりなのが“ツマグロヒョウモンのメス”だ。
ツマグロヒョウモンのメス
“ツマグロヒョウモン”のオスは、メスとはまったく異なり、擬態となっていない。
メスを生存させるために、
鳥などの天敵に食べられても致し方ない使い捨ての存在なのかもわからない。
しかしながら、守るのは子孫であると思う。
“ツマグロヒョウモン”のオスは、写真右の“メスグロヒョウモン”のオスと似ている。褄が黒いのが“ツマグロヒョウモン”のオスであり、
写真の蝶は、褄が黒くないので、残念ながら“メスグロヒョウモン”のオスとなる。
この二匹の関係はどんな関係なのだろうかと想像したが読めなかった。
まさか~ いやいやまさか?
“ツマグロヒョウモン”の生息地は、
かつては“カバマダラ”と同じであったが、1980年代あたりから北上を開始し、
2006年には、北関東でも観察されているようだ。
寒いところへの北上はどんな動機なのだろうか?
考えられる要因は、
1.寒くなくなってきた。(温暖化)
2.寒さに耐えられるようになってきた。
3.北上しても食料が豊富。
などが考えられる。
最大のポイントは、天敵に食べられない“カバマダラ”のテリトリーがいいか、
このテリトリーを離れ、危険だが子孫を増殖できる食料豊富なところが良いかの
生存戦略で、後者が勝っているということかもわからない。
“ツマグロヒョウモン”の好物は、スミレ・パンジー・ビオラであり、
スミレ科の花は、冬場の園芸に欠かせない。
雪も降らなくなり、好物があることが北上化を促進し、
天敵に狙われるよりも、個体の生存ではなく子孫の増殖に適しているという
適者生存のルールが働いている感がある。
“メスグロヒョウモン”についても軽く触れておくと、
生息地は、森林などの木立があるところであり、
都市化とともに減少している地盤で生活し、かつ、年1回しか世代交代しない。
一方の、“ツマグロヒョウモン”は、
スミレ系の植物がある庭でも生息でき、年4回も世代交代(子供)するので、
この蝶の適応能力は潜在的に高い。
環境の変化により、潜在的な適応能力が引き出されて、
“メスグロヒョウモン”のテリトリーを侵食しているのが“ツマグロヒョウモン”のようだ。