モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

クリスマスローズの原種 ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger.L.)の花

2010-02-25 11:15:11 | その他のハーブ

(写真)クリスマスローズ、「ヘレボレス・ニゲル」の花


クリスマスローズの原種の一つ、「ヘレボレス・ニゲル」。
白色にピンクが部分的にかぶっていて、時間・年数とともにこの色合いがまして赤みがかっていくという。
葉は、レザーのような皮質感がある濃い緑色でクリスマスローズの中でも特色があり美しい。

クリスマスの頃に美しい白の花を咲かせるので、“クリスマスローズ(Christmas-Rose)”と呼ばれている。しかしこのクリスマスの日は、古いユリウス暦のカレンダーであり、現在のグレゴリオ暦では1月6日になるという。
クリスマスローズの中では、早咲きであり日本では1~2月に開花し、寒冷地の高地では6月頃まで咲くこともある。

「H.ニゲル」の原産地は中部ヨーロッパの高地のアルカリ質の斜面であり、基本的にはアルペン植物(alpine plant)つまり高山植物と同じ性質を持っている。
一面に覆われていた雪が解け、その雪解け水が流れ落ち乾燥し始めた頃いっせいに開花する。だから、高山でないところでは11月から6月の間に開花する可能性を秘めているという。

H.ニゲルの亜種
また、「H.ニゲル」は交配種の親となり様々なクリスマスローズの新種が作出されていて、英国王立園芸協会には42種もが登録されている。
この「H.ニゲル」には二つの亜種がある。
・ 「Helleborus niger subsp. Niger」
・ 「Helleborus niger subsp. Macranthus」

(写真)H.ニゲルの亜種「Helleborus niger subsp. Niger」


そのうちの一つであるピンクの色が入った美しい亜種「Helleborus niger subsp. Niger」は、スイス、最南端のドイツ、スロベニア、北イタリア、クロアチア、オーストリアのアルプス山脈の山麓に生息し、イギリスの女性園芸家であるストラングマン・エリザベス(Elizabeth Strangman)が北ユーゴスラビアのブレッド湖周辺でこの亜種を採取した。

彼女は、「The Gardener's Guide to Growing Hellebores」の著者であり、ワッシュフィールド・ナーセリー(Washfield Nursery)に勤務し、数多くのクリスマスローズの交雑種を作出したハイブリッダーとしてもこの世界の第一人者でもあった。

1971年には、モンテネグロ(旧ユーゴスラビア)で、「H.トルカータス」の八重咲き変異種「イーニアス(Aeneas)」と「ダイドー(Dido)」を発見した。後に、イギリスの育種家ブラックソン・ナーセリー(Blackthorn Nursery)のロビン・ホワイト(Robin White)がこの「ダイドー」を交配種につかって、小輪多花性の八重咲き系統「パーティドレス・グループ(Party Dress Group)」を作出した。

H.ニゲルの逸話
この「H.ニゲル」はキリストの生誕日頃に咲くのでキリスト教徒では祝福された花でもあるが、古代ギリシャ時代には、悪魔よけの魔力がある植物と思われていた。
根には薬効があったので、これらのハーブを採取する薬剤師的な草根採取人“リゾトモス(rhizotomos)”は、ニゲルを採取する前に剣でこの植物の周りに円を描き、医学の神アポロンに祈りをささげる儀式を長々やってから採取したという。それだけ魔力を恐れていたようだ。

(写真) クリスマスローズ、H.ニゲルの後からの立ち姿


クリスマスローズ「ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger.L.)」
・ キンポウゲ科クリスマスローズ属の耐寒性がある常緑の多年草。
・ 学名は「ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger.L.)」。
・ 属名Helleborusの語源は、ギリシャ語で「殺す」を意味するHeleinと「食べ物」を意味するboraからなる。食べると危ない毒草であることを意味しており、根には強心剤・利尿剤の効果がある成分が含まれている。種小名のnigerは、「黒」を意味し、根が黒いことに由来する。
・ 英名でクリスマス・ローズ(Christmas-Rose)と呼ばれるのは、白花の原種「H.ニゲル」のこと。他にはウインターローズとも呼ばれる。和名は待雪草でスノードロップの和名も同じ。
・ ヘレボルスの原種の原産地は、ヨーロッパ、地中海沿岸、カスピ海沿岸、中国四川省までの北緯40~50度の地域に生育。原種は20種あり石灰質の土壌に生息する。
・ 「H.ニゲル」種は、イタリア、スロベニア、クロアチア、ドイツ、スイス、オーストリアなどのアルプス山脈の山麓の草原に自生する。基本的には高山植物と同じ。
・ 草丈15-20cmで、根元から手のような暗緑色の葉が生え、のこぎり状の切れ込みが縁にあり痛い。
・ 「H.ニゲル」の開花期は、クリスマスの頃12月下旬から4月で、2月頃が最盛期。日本では1―2月に開花する。花は下向きでなく横向きに開花するので結構目立つ。
・ 花茎は単一で先端に1~2輪のピンクの入った白い花をつける。花粉が落ちる頃には徐々にピンク・赤味が入る。
・ 花のように見える5枚の花弁は、花を保護する萼(がく)で、本来の花弁は退化して蜜を出す蜜腺となっている。
・ 葉は常緑・肉厚で全体的に丸みを帯びる。
・ 他の原種と異なり不思議なことに笣葉がない。
・ 受粉の仕組みは、先に雌しべが成熟しその後で雄しべが花粉を放出する。雌しべが受粉して種が出来るのが5月頃。
・ アルカリ性の土壌を好むので石灰を入れて酸性を中和する。また肥沃な土壌を好む。
・ 夏場は半日陰で育てる。
・ 「H.ニゲル」は過湿に弱く根ぐされしやすいので乾燥気味にし、乾いたらたっぷりと水をあげる。
・ 繁殖は株分けをする。種からの場合は発芽後1~2年後に開花。
・ 毒性があるので食しない。

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クリスマスローズの原種、アグティフォリウス(H.argutifolius)の花

2010-02-21 13:19:02 | その他のハーブ
(写真)クリスマスローズ、アグティフォリウスの花


緑の花(正確には花を保護する萼‘がく’。)と、濃緑色の縁にギザギザのある葉が美しいクリスマスローズの原種「アグティフォリウス」。
この原種を育てることによって、クリスマスローズを見直すきっかけとなり、原種を中心に栽培してみようという意欲が掻き立てられた。

この植物「アグティフォリウス」の原産地は、地中海コルシカ島及びサルジニア島で、100㎝を超えるほど大きく成長し、多くの植物同様に茎の先に葉と花がつく有茎種の仲間だ。

ちなみに、クリスマスローズのタイプ分類として、“有茎種”、“無茎種(葉がつく茎と花がつく茎が異なる)”、“その中間の種”という区別があるが、原種20種のうち有茎種は3種しかなく、「アグティフォリウス」、地中海にあるマジョルカ島原産の「リビダス(H.lividus)」、スペイン・フランス原産の「フェチダス(H.foetidus)」がこれに該当する。

※「リビダス」に関してはこちら。

(地図)クリスマスローズの原産地、地中海の島々 by google


有茎種の3原種はこの地図の範囲が原産地であり、ほかでは発見されていないという。

さらにミステリアスなのは、「アグティフォリウス」は、コルシカ島・サルジニア島だけに限られ、コルシカ島ではどこに行っても野生種が見つけられるのに、この島から45㎞しか離れていないイタリア・フランスの本土では発見されていないという。

一方で、「アグティフォリウス」と最も近い関係にある原種「リビダス(H.lividus)」の原産地マジョルカ島は、コルシカ島から320㎞も離れている。

大陸移動による地中海の島々の形成が関係しているのか、氷河期による植物の大移動という気候の変化、或いは、地質が関係しているのかミステリアスな興味を感じる。

(写真)クリスマスローズ、アグティフォリウスの葉


クリスマスローズの原種、アグティフォリウス(H.argutifolius)
・ キンポウゲ科クリスマスローズ属の耐寒性が弱い常緑の多年草。
・ 学名はヘレボルス・アグティフォリウス(Helleborus argutifolius Viv.)。種小名の‘argutifolius’は、“鋭い葉を持つ”という意味であり葉に特色がある。英名はコルシカンローズ(Corsican rose)、ヒイラギのような葉を持ったクリスマスローズ(holly-leaved hellebore)。
・ 約20種あるクリスマスローズの原種の一つで、原産地は、地中海のコルシカ島及びサルジニア島。
・ 草丈100cmを超える大株に育つが、鉢植えの場合は大きくならない。
・ 灰緑色の葉で3葉からなり、縁に鋭い鋸状の歯がある。
・ 開花期は、2月下旬から3月で、淡い緑色のカップ型の花が多数咲く。
・ 関東地方以西では戸外で越冬できるようだが、耐寒性は弱いので防寒する方が良い。
・ 過湿には弱いので水はけが良いアルカリ性の土壌が適する。また夏場は半日陰で育てる。


命名者:Viviani, Domenico (1772-1840)
イタリアの植物学者ドメニコ・ヴィヴィアーニ。彼は、医学を学んだあとに植物学に専念し、アルペン山脈の植物の研究を中心に行い、1803年にジェノバ大学の植物学教授となる。
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クリスマスローズ、オリエンタリス・ハイブリット・ブラックの花

2010-02-18 08:53:02 | その他のハーブ
朝起きてびっくり、久々に雪が積もっている。しかもまだ降っているので雪だるまが出来るぐらい積もりそうだ。
雪の中でのクリスマスローズの花をお愉しみください。

(写真)オリエンタリス・ハイブリッド・ブラックの花


2008年の春に苗で購入した「ヘレボルス・オリエンタリス・ハイブリッド・ブラック」の花が咲いた。
ちょうど3年目の春の開花であり忘れる頃にシックなブラックというかダークパープルの花が咲いた。

蕾みもついているので、しばらく楽しめそうだ。

しかし、氏素性が良くわからない。片親は「ヘレボレス・オリエンタリス」であることは確かだが、もう一つの片親がわからない。
これから「クリスマスローズ」の季節にもなるので、ここで「クリスマスローズ」の整理しておくことにする。

「クリスマスローズ」 と 原種「H.オリエンタリス」
キンポウゲ科クリスマスローズ属に属する原種は、世界に約20種があり、ヨーロッパ、地中海沿岸、カスピ海沿岸、中国四川省までの北緯40~50度の地域に生育する。
英名でクリスマス・ローズ(Christmas-Rose)と呼ばれるのは、白花の原種「ヘレボルス・ニゲル(Helleborus.niger)」のことをさし、日本にはこの「H.ニゲル」が早く入ってきたので、ヘレボルス属の植物を「クリスマスローズ」と総称するようになっている。流通では「H.ニゲル」を「H.ノイガー」「H.ニガー」とも呼ばれているので別種と思い違いしないで欲しい。

属名の“Helleborus”の語源は、ギリシャ語で“殺す”を意味する‘Helein’と“食べ物”を意味する‘bora’からなり、食べると危ない毒草であることを意味している。根には強心剤・利尿剤の効果がある成分が含まれていて、毒は使い方により薬にもなるということを地でいっている。
この薬効が発見されたのは、紀元前1400年頃でありメランプス(Melampus)という羊飼いが発見したというので、この植物をメランポーデ(melampode)ともいう。

クリスマスローズの品種開発の中心になっているのが約20種ある原種の一つでもある「H.オリエンタリス(Helleborus. orientalis)」だが、英国王立園芸協会に登録されているだけで141種もある。

この「H.オリエンタリス」は、イギリスでは四旬節(Lent)に咲くので「レンテンローズ(Lenten rose)」とも呼ばれ、和名は、花の形が祭りでかぶる花笠に似るので「八つ手花笠」とも言われる。

「クリスマスローズ」の簡単なガーデニングの歴史は、1600年代に入って薬草から園芸植物として貴族階級での鑑賞の対象となり、1800年代後半になって品種改良が始まる。ドイツ・イギリスの育種家が「H.オリエンタリス」を用いた交配をする。
第一次大戦前には全ヨーロッパに普及し冬のガーデンを飾る主要な植物となる。しかしどんな花なのか現在ではよくわかっていないという。
日本に導入されたのは明治初期の「H.ニゲル」が最初といわれている。記録では、明治17年に「黒黎蘆根(こくれいろこん)」という名で薬草として入ってきたという。

この「H.オリエンタリス」には、植物学的に認められている3つの亜種がある。

(1) Helleborus orientalis subsp. Orientalis (亜種オリエンタリス)
(2) Helleborus orientalis subsp. Abchasicus (亜種アブチャシクス)
(3) Helleborus orientalis Lamarck. subsp. Guttatus (亜種グッタータス)

いずれ順次紹介していくが、「グッタータス」に関してはここを参照。
『クリスマスローズ・オリエンタリス・グッタータス系の花』

(写真)オリエンタリス・ハイブリッド・ブラックの葉と花
        

クリスマスローズ、オリエンタリス・ハイブリッド・ブラック
・ キンポウゲ科クリスマスローズ属の耐寒性がある常緑の多年草。
・ 学名はヘレボルス・オリエンタリス・ハイブリッド(Helleborus orientalis Lam.)。
・ イギリスでは、オリエンタリスを四旬節(Lent)に咲くのでレンテンローズ(Lenten rose)とも言う。
・ 和名は花の形が、祭りでかぶる花笠に似るので八つ手花笠とも言われる。
・ オリエンタリス(h.orientalis)種には三つの亜種があり、原産地はロシア、コーカサス地方、トルコ、黒海沿岸の石灰質の土壌に生育する。
・ 園芸品種の交配種の片親となる重要な原種。
・ 草丈20-40cmの常緑の多年草で花弁状の萼(がく)の色は黄緑色で縁は紫色を帯びる。
・ 開花期は、クリスマスローズよりも遅く2月頃から咲く。「ハルザキクリスマスローズ」とも呼ばれる。
・ 花茎は単一で先端に一輪または分岐して二輪の花をつける。
・ 花のように見える5枚の花弁は、花を保護する萼(がく)で、本来の花弁は退化して蜜を出す蜜腺となっている。
・ 受粉の仕組みは、先に雌しべが成熟しその後で雄しべが花粉を放出する。雌しべが受粉して種が出来るのが5月頃。
・ アルカリ性の土壌を好むので石灰を入れて酸性を中和する。また肥沃な土壌を好む。
・ 高温多湿には弱いので夏場は半日陰で育てる。
・ 乾燥気味がよいので、乾いたらたっぷりと水をあげる。
・ 繁殖は株分けをする。

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春は近い。クロッカス・クリサントゥス(Crocus chrysanthus)の花

2010-02-16 12:28:47 | その他のハーブ
夜半には雨が雪に変わるという天気予報だが、
こんな寒空でも春を告げる代表的な花、黄色系のクロッカスが咲き始めた。

この黄色系のクロッカスは、和名では「寒咲きクロッカス」とも呼ばれ、他のクロッカスに先駆けて春を告げる花ともいえよう。

(写真) クロッカス・クリサントゥスの花





黄色系のクロッカス・クリサントゥス(Crocus chrysanthus)
・ アヤメ科クロッカス属の耐寒性がある多年性の球根。
・ 黄色系原種の学名は、Crocus chrysanthus Herb.。クロッカスの総称は、Crocus L. (1753)、英名がCrocus、和名は寒咲きクロッカスとも言われる。
・ クロッカスは総称としての呼び方で、和名は、晩秋に咲くサフランに対して、春に咲くので「春サフラン」、或いは、花を楽しむ園芸品種なので「花サフラン」とも呼ばれる。
・ 白・紫系の品種の原種は、クロッカス・ヴェルヌス(C. vernus)であり、本来は別種。
・ 原産地は地中海から小アジア・西南中国と広い範囲にわたる。
・ 球根は、9-11月に植え付け2-3月に開花する。
・ 黄金色の花が先に咲き葉はその後に茂る。葉が黄色くなり枯れたならば、球根を堀上乾燥保存するが、そのままにし陽の当たらない軒下で保存したが問題なく開花した。
・ 水はけが良い、日当たりの良い場所が適地。
・ 花が終わると葉が茂るが、これを切らないで球根に栄養を与えるようにする。また花のお礼の肥料を与える。
・ 花言葉は、「青春の喜び」「信頼」
・ 同じ属にあるサフランは秋咲きで、香辛料・薬用として使われ、グラム単価が非常に高価なものだ。

Crocus(クロッカス)は、ギリシャ語の「Krokos(糸の)」からきており、めしべが糸状に長く伸びることに由来する。また、神話上の青年の名前に由来するとの説もある。
種小名のchrysanthusは、“黄金色の”を意味する。

命名者は、Herbert, William (1778-1847)で、1843年にに命名された。
ハーバートは、英国の植物学者・詩人・聖職者で、The International Bulb Societyが球根植物学に貢献した人物に与えるハーバート賞として記念されている。

この種を採取したのは、英国の植物学者・海洋生物学者・軍医のThompson, John Vaughan (1779-1847)であり、1837年にギリシャで採取された。
トンプソンは、医学を学んだ生れ故郷のベリックの植物に興味を持ちこのカタログを10代のときに作成するが発表は彼が28才の1807年となる。
彼は英国植民地の軍医として1799-1809年の間は西インド諸島、1812-1816年はモーリシャス、マダガスカルに勤務し、816年からはシドニーで勤務しここで死亡する。終生植物と海洋生物に関心を持ち、英国のみならず植民地の植物・海洋生物の採取と研究を行った。
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