沖縄県民大会に2500人
「命・尊厳守るために行動」
知事 基地ある不条理告発
沖縄県内で昨年12月に発生した米兵による少女暴行事件に抗議し、日米両政府に再発防止を求める沖縄県民大会が22日、沖縄市の沖縄市民会館大ホールで開かれました。女性団体を中心に、平和団体や労組なども加わる実行委員会の主催。女性の権利の象徴、ミモザのイエローカラーのストールなどを身に着けた参加者が会場とロビーいっぱいに約2500人(主催者発表)詰めかけ、命と尊厳を守るために行動していくことを誓い合いました。
実行委共同代表の伊良波純子・県女性団体連絡協議会(女団協)会長が主催者あいさつし、県議会が事件発覚直後の7月に全会一致で可決した意見書に言及。「求めているのは当たり前の安心安全な暮らしだ」と強調しました。大人世代には、被害者の少女を独りにせず、子どもたちに安全な日常を約束することなどの役割が課せられるとして、その責任を果たすためにも県議会意見書の実現を日米両政府に求めていこうと呼びかけました。
玉城デニー県知事も駆け付け、米軍基地あるがゆえに不条理を強いられ続ける沖縄の状況を国際社会に伝えていく意義を指摘。「私たちは小さな島の一県民ではあっても、国際社会と同じ規範が適用されることを求めているのだと訴えていこう」と力を込めました。
10月の国連女性差別撤廃委員会の審査に市民団体の代表として参加した親川裕子共同代表は、同委員会が初めて在沖米軍の性暴力に言及する勧告を日本政府に出したことについて報告。高良沙哉共同代表(沖縄大学教授)は、事件を半年間も県民に知らせなかった日本政府などの隠蔽(いんぺい)によって被害者の保護が図られなかった問題を糾弾しました。
若者の声を訴えるため中塚静樹さん、崎浜空音さんの大学生2人が登壇。沖縄高校生平和ゼミナールで活動する生徒たちのアピールもビデオ上映され、切なる訴えに、多くの参加者が涙ぐみながら大きな拍手を送りました。
被害者への謝罪とケア、補償や事件発生時の迅速な情報提供、日米地位協定の抜本的改定などを求めた大会決議文を神谷めぐみ共同代表が読み上げ、参加者の拍手で採択されました。
大会の進行はユーチューブで配信されたほか、名護、宮古島、石垣の各市でもサテライト会場が設けられ、中継されました。
日本共産党からは小池晃書記局長、赤嶺政賢衆院議員、白川よう子参院比例予定候補らが参加しました。
政府はなぜ子どもを守らない 私たちは人間だ 米軍は今すぐ出ていけ
参加者 あふれる憤り
「私たちはここに集い、人間の命と尊厳、平和と自由を守るために…共に手を取り合い闘うことを決意した」。「私たちの誓い」の唱和が流れ、万雷の拍手に包まれました。22日沖縄市で開かれた、米兵による少女暴行事件への抗議と再発防止を求める県民大会。会場は女性の権利擁護の連帯を示すミモザの花の黄色いモチーフを身に着けた参加者でいっぱいに。基地のない平和な沖縄へ心を一つにしました。
(写真)登壇者の発言に聞き入る県民大会に参加した人たち=22日、沖縄県沖縄市
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大会で登壇し、発言した学生2人と同年代の20代の参加者の姿がありました。3月まで高校教師をしていたという浦添市の女性(28)は、政府の少女暴行事件隠蔽を「非常に怒っている」と批判。「被害者は私たちが見ていた生徒たちと同じ年齢。その子たちを守る意味でも(県民大会に)来ないといけないと思った。政府はなぜ子どもたちを守ろうとしないのか」と憤りました。
このような大会に参加するのは初めてだという那覇市の男性(26)は「自分より若い人が発言するのを見て、若い人たちも関心があるんだと思った。基地の問題についてもっと学び、自分を含めた若者が真摯(しんし)に取り組み基地をなくしたい」と話しました。
小学1年生の子どもを連れた沖縄市のAさん(48)は、事件の被害者を含む女性、子ども、男性みんなに人権があるのに「当然の権利が守られていないことに怒りがある。私たちは人間だということを知らしめたい」とキッパリ。戦後80年近くたっても米軍基地が集中し、事件・事故が後を絶たない現状が変わらない中、戦争体験者の思いを「若い人に引き継いでいきたい」と述べました。
「沖縄県民は猛獣のおりのなかにいるようだ。羽がないから飛び出して逃げることもできない」。浦添市から参加した女性(79)は米軍犯罪がなくならない現実をこう表現しました。「これまでも女性が殺されたり傷つけられたりする事件が相次いできた。政府はなぜ目をつぶるのか。米軍は今すぐ出ていってほしい」
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は、大会参加者との交流で「こんなにたくさんの人が集まったのは、米軍の蛮行を許せないウチナンチュの気持ちの表れ」と発言。「全国で130カ所もミサイル弾薬庫が造られる計画に不安と抗議が広がり、基地反対のネットワークができつつある。全国の人も危ないと声を上げるきっかけになっていることも注目してほしい」
若者の声受け止めよ
沖縄県民大会 小池書記局長ら参加
(写真)県民大会に参加する(左から)赤嶺、小池、白川の各氏=22日、沖縄市
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日本共産党の小池晃書記局長は22日、「米兵による少女暴行事件に対する抗議と再発防止を求める沖縄県民大会」に参加しました。「オール沖縄」の共同代表や各党の議員、参加した市民らと交流。「頑張りましょう」と激励し、連帯の決意を表明しました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員や白川よう子参院比例予定候補も参加しました。
小池氏は、地元メディアの取材に答え、大会で表明された「(事件を)もう二度と繰り返してはならない」などの大学生や高校生の思いを「日本政府は受け止めなければいけない」と強調。事件を隠蔽(いんぺい)することで「犯罪を許し助長し、繰り返させてきたのは日本政府の責任だ」と批判しました。
石破茂首相に日米地位協定をただちに抜本改定するよう求め、基地のない平和な沖縄をつくれと迫ることに「国会でも全力をあげたい」と力を込めました。