天津ドーナツ

みんなで力を合わせて、天津の日本語教育を楽しく、元気にしましょう。ご意見・ご要望は左下の「メッセージ」からどうぞ。

企業での通訳に必要だと思われること…いろいろな日本人と接触したほうがいいと思います

2012-06-25 11:53:57 | 日本語学習法
1.基本的な日本語力

(1)能力試験N1レベルの内容を、読み・書き・聞き・話すことができる能力

(2)日常、目にすることができる日本語を理解できる能力:ドラマ・アニメ・ドキュメント・映画・ニュース番組

2.職場を理解すること

 (1)その職場・部門の専門用語

 (2)会社全体・自分の部門の仕事の流れ

 (3)その会社における会議の基本パターン

 (4)その時々の会議の流れを予想し、必要な言葉を準備しておく。

⇒(4)ができるためには、(1)~(3)の力が必要です。



3.相手(自分の上司など)を理解する

 (1)話し方の特徴・発音

 (2)その人がしている仕事

 (3)その人の考え方・性格

 (4)方言を話す人であれば、その方言



4.日本および中国の一般常識

 (1)地理

 (2)歴史

 (3)文化

 (4)政治

 (5)習慣・マナー・タブー(禁じられていること)

 (6)伝統行事・祝日

 (7)宗教

 (8)産業

 (9)経済

 (10)価値観



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私は日本人教師ですが、上記のことを全て教えることは不可能です。



ですので、できるかぎり、いろいろな人に接触してほしいと思いますし、

テキスト以外の勉強も、自分で進めていってほしいですね。

中国人従業員に挨拶もしない日本人幹部たち 隠れた「チャイナリスク」とは…MSN産経ニュースから

2012-06-18 10:20:31 | 顧問・アドバイザーから
対中進出した日系企業が訴えるトラブルは、ヒト、モノ、カネのあらゆる面にわたる。そんな「チャイナリスク」の中でも急増中なのが「盗難リスク」という。被害に遭って通報はしても、失敗例として社外に公表することなど、なかなかできない。そこで、いくつか実例をご紹介しよう。(フジサンケイビジネスアイ)

 中国で20年近く警備や防犯業務を手がけている上海セコムの山口忠広最高顧問は「警備員リスク」を指摘する。ある日系企業の工場内から盗まれた重さ数百キロの金属素材は、堂々と正門からトラックで持ち出されていた。警備員が窃盗犯を手引きしたのは明白だが、こうしたケース以外にも、工場内の鍵を複製して窃盗犯に売る、企業秘密の書類を深夜にコピーして売りさばくなど警備員が犯罪に手を染めるケースが多い。

 「性善説」で考える日本人は、純朴そうな地方農村出身の警備員がまさか、自ら犯罪に走るとは想定していないらしい。

 警備員に限らず、中国での企業被害の多くは「内部犯行」にあるという。「営業職の採用面接をすると、以前の勤務先では企業秘密に属する顧客リストをそっくり“手土産”として持参する応募者が少なくない」と山口氏はいう。わずかな賃金アップであっても転職を決断することに何のためらいもない。

手土産持参の社員を雇用すればいずれ、その内部犯行の被害に遭うのは自分たちだ。高度な技術やノウハウの詰まった設計図を持ち出した退職者が、別に会社を作って同じ製品を売り出すといった事例も枚挙にいとまがない。「外部から侵入した形跡のない内部犯行の被害の場合、中国の警察はなかなか取り合ってくれず、盗難保険も対象外」(山口氏)なのも困る。

 盗難も金銭で解決できる範囲なら損害もまだ限定的だが、取引先、顧客のリスト、個人情報や企業秘密を記録したパソコンが盗まれると、企業存続の問題にかかわる。最悪の場合、撤退要因にもなりうる。

 内部犯行に限らず、天井裏に仕切りがないオフィスが大半というビルの構造も問題だ。同じフロアの別のオフィスから天井裏づたいに別の企業に深夜、侵入する「下がりグモ」と呼ばれる手口が横行しているのだ。天井裏からパソコンや高価な製品の詰まった段ボールを引っ張り上げて盗むという。

 とはいえ、上海の経営コンサルティング会社、拓知管理諮詢では「日本人幹部が工場の現場などで中国人従業員に対し、どれだけ日常的に親身に接しているか。それによって内部犯行のほとんどは防止できる」とみている。日中間の人の心に開きができるほど隙もできる。

 工場の警備員や作業員に見向きもせず、あいさつもしない日本人幹部が実は、内部犯行を誘発する遠因を作っている。対中ビジネスの“落とし穴”は中国側だけにあるのではないようだ。(産経新聞上海支局長 河崎真澄)

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日本語科の4年間が、信頼関係の構築につながるのか、ぜひ先生方(特に日本人の先生方)に考えてほしいと思います。

『日本語能力試験公式問題集』…国際交流基金からのお知らせです

2012-06-16 02:42:27 | 能力試験対策
2010年の改定後の日本語能力試験についての初めての公式問題集『日本語能力試験公式問題集』が、公式サイトからダウンロードできるようになりました。

http://www.jlpt.jp/

http://www.jlpt.jp/samples/sample12.html



『日本語能力試験公式問題集』には、2010年と2011年に実際に出題された試験問題の中から、各レベルとも試験1回分に相当する数の問題が載っています。



解答用紙サンプルもありますので、模擬試験として使うこともできます。



是非ご活用ください。

『効果10倍の教育技術』を元に日本語の教え方を考える その1:「つながりのない教え方」

2012-06-11 18:23:07 | 日本語学習法
日本語の授業は、どうして「読む」「聞く」「話す」「書く」をバラバラに行うのでしょうか。「精読」の授業で扱った内容を、「聴解」の授業で聴くことはありませんし、「聴解」の授業で扱った内容を、「会話」の授業で話してみることもありません。「会話」の授業で話したことを、「作文」の授業で書いてみることもありません。

   これがどれだけ効率の悪い勉強方法か、ということは、一度でも学生が受けている授業を一巡してみると良く分かります。あるいは、学生が持っている教科書を見せてもらうといいかもしれません。

   また、自分が受け持っている教科の各単元も、有機的に繋がっているかどうか、確認する必要があるように思います。

   東京都で初任者研修を担当している先生にお聞きしたのですが、物事は関連付けられた方が憶えやすいということです。例えば、前の学期で「スピーチの仕方・ポイント」について話をしてあったのなら、新学期の最初の「冬休みにしたこと」のスピーチへのフィードバックに、先学期のポイントを使うことは必要ですし、社会の時間に習った大豆のことを、国語の時間の豆を扱った文章を読むときに思い出してもらうと、記憶がより鮮明になるということです。

   タレントのタモリさんの記憶力は抜群で、まったく関連のないように見えるいくつかの言葉をきちんと覚えることができます。その秘密も同じ事で、「そのキーワードを使い、自分で勝手にストーリを作る」のだそうです。

   それぞれの科目間も、科目内の各単元同士、毎回の授業もバラバラの状態では、学生が教えるそばから忘れていっても、仕方が無いのではないでしょうか。中には自分で関連性を見つけることができる学生もいますが、昨日学習したことと、今学習していることは関係がなく、明日学習することもまた今日学習した内容とつながっていかない、これで全てを憶えていることを期待するのは無理なのではないでしょうか。



   そして、このバラバラには、学生同士(学生と教師も?)の関係も含まれます。話し合ったり、協力し合う事は極力抑えられて、競争させられる場面が普通かもしれません。あるいは、ペアを組む相手がいつも同じで、他の学生との関係が薄いということも含まれるかもしれません。

   わたしがびっくりしたのは、同じクラスで勉強している学生同士でも、名前がとっさに出てこない学生がいるということです。みんなが寮生活をし、ほとんど同じカリキュラムで勉強していて、人数も20人足らずにも関わらずです。また、他の学年の学生と一緒になると、横を向いて口も利かないということも目にします。これも、普段の教育の成果であるといったら、皮肉に過ぎますでしょうか。

  

 「行動主義」の考えに基づいた教え方

  さて、このような、関連付けも無く、自分の適性や好みとも関係が無いことを、他の人と一律に詰め込まれる勉強が楽しいはずはありません。残る手段は、「テストと成績」で無理やりやらせるということですが、そういう勉強は、テストが終わって数日で忘れてしまうということは、私たちはみんな経験していることではないでしょうか。

  テストが終わるたびに忘れていく、それを4年間繰り返すことでいったい何が残るのか、想像に難くありません。

  ある学生は、日本語以外の単位が必要ということで、数学の授業も選択しました。授業が重なっているため出席はできず、試験直前の授業で発表される試験の内容を丸暗記するのが、通常の単位の取り方だそうです。つまり、登録したら一番最後の授業に出て、一夜漬けで単位を取っていくということです。

そんなことで大丈夫かと思っていましたら、案の定、単位を落としてしまったそうです。「そんなやり方で、数学の力は伸びるのですか」と聞くと、「それは難しいです、普段は勉強しませんから、試験が終わったら忘れます」とのこと。

「そもそも、それだったら、はじめから授業を1回だけにして、そこで範囲を発表すればいいじゃないですか」と言ってしまいましたが、試験だけが目的になった勉強というのは、どれほどモチベーションに影響を与えるのか、私たち教師は知っておく必要があるのではないでしょうか。

 一度そういう考え方で授業に臨むようになると、授業がとてもつまらなくなる理由は、この考え方がどこから出てきたのかを知ると、よく分かります。「行動主義」の教育法は、「ネズミやサルやハトなどの動物実験」で培われたノウハウを、人間に応用している教育学なのです。

 越えてはいけない線に触れると電気が流れるというのは、「教師の言うこと聞かないと成績を下げる」といったことに繋がりますし、ある行動をとると美味しいジュースが流れるというのは、「賞品で行動を促す」という発想に繋がります。それを無意識に感じた学生が、拒否反応を示すのではないでしょうか。

カナ音のイメージ 2…もとNHKアナウンサー塚越恒爾さんのブログから

2012-06-09 14:46:39 | 日本語学習法
先月、物集高見さんの「音(コエ)のイメージ」一覧をご紹介した。多くの方から、反響を頂きました。御礼を申し上げます。
 まず、一覧を眺めて目立つのは、母音のイメージですね。



 感想の前半 「嘆くと驚くとによぶ音(コエ)にて、・・・」
とあるのは、あ行・な行・ま行・や行・わ行 と五つの行に共通しているのですが、その内のあ行・や行・わ行の三行は
 あ行は「広く大きなるものをいふにかなふ。」と続き、
 や行は「優なるものの美はしきものをいふにかなふ。」
 わ行は「撓みまがれるものをいふにかなふ。」
と続きます。

 このブログでも取り上げましたが、「あ行」は素直な母音の行であるのに対して、「や行」の音のイメージは、優しく・上品に・やんわりと、といったイメージを、物集さんは感じた。
 また、「わ行」のイメージは「あ行」の「素直さ」より「歪んでいる」、あるいは「どこか曲がっている」という印象を受けたのでしょう。
 いずれも、素直な(直音)の変化したものと、捉えているところが面白いと思いますね。
昨年も述べましたが、私は「や」「わ」の二行は、“「あ」行を基本とする、連母音の音”だと思っていますので、我が意を得ている所です。
 
 実際に音を出す場合を考えますと、
 「アイウエオ」の音を出す直前に、「イ」の口構えをすれば、音は<イア→ヤ。イウ→ユ、イヨ→ヨ>と、自然に「ヤユヨ」の音になりますね。当然、<イイ→イ>ですし、現在の日本語に<イエ>に相当する音はないとされています。ま、これから先は出現するかも知れませんがね。
 また同様に、「アイウエオ」の音を出す直前に、「ウ」の口構えをすれば、自然に「ワヰウヱヲ」の音になるのですから、物集さんの「歪んだ」というイメージは、まっとうなのでしょう。

 次回からは、50音のイメージをネタに、日本語の音のイメージを順次、探ってゆくことにしましょう。
 来月初めには、まず「あ」という音のイメージを考えます。
 どうぞ、ご感想などをお寄せください。