天津ドーナツ

みんなで力を合わせて、天津の日本語教育を楽しく、元気にしましょう。ご意見・ご要望は左下の「メッセージ」からどうぞ。

国際交流基金によるスピーチコンテスト審査基準

2012-04-30 20:09:54 | 日本語学習法
Ⅰ.審査基準:以下の3つの部門です。(  )内は(最高点―最低点)です。
 1.言語力部門
  (1)発音(5-1)
    ①母音・子音の発音
    ②アクセント・イントネーション
    ③話す速さ・間の取り方
  (2)文法・語彙(5-1)
    ①正しい文法や語彙の使用
    ②スピーチに相応しい表現や語彙
    ③さまざまな表現が使えているか(意図的に同じ語彙を繰り返す場合は除く)
2.内容
 (1)聞き手への意識(5-1)
   ①聞き手の興味を引く内容か
   ②構成・展開的に分かりやすいか
   ③聞き手の背景知識を考慮しているか
 (2)内容の深さ・説得力(5-1)
   ①主張がはっきりしているか
   ②主張の根拠が明確かつ十分か
   ③大学生らしい視野の広さや思考の深さが感じられるか
3.運用力・表現部門
 (1)プレゼンテーション力(5-1)
   ①態度(姿勢・視線・顔の表情・声の大きさなど)は適切か
   ②視覚および聴覚的にアピール力があるか(絵・歌やダンスは不可)
 (2)質疑応答(5-1)
   ①正しく適切な日本語を用いているか
   ②質問に対する回答として十分かつ相応しい内容か
   ③積極的に理解してもらおうとしているか
   ④日本的な常識から外れることなく、友好的かつ自然な対話を成立させることに貢献しているか(会場を沸かせたかどうかは、考慮しない)
    →例えば、質問が聞き取れなかった場合・意味が分からなかった場合は、質問を繰り返すように要求してもいいし、繰り返しを要求したこと減点の対象とはしない。ただし、そのときの文言や態度は採点の対象とする、などです。

体“ことば”最終回  目・眼・瞳 その2…もとNHKアナウンサー塚越恒爾さんのブログから

2012-04-29 06:44:21 | 日本語学習法
 初めは“柳腰”答弁から、ふらりと出発しましたが、どうやら日本語の市井の“ことば”は、体“ことば”なしでは成り立ちませんね。日本語の中枢にしっかり組み込まれています。それが実感です。
 まだ、鍋底についた汁を舐めるなら、続けることも出来るのですが、これで一応の区切りといたします。次回からは、日本語の音の持つイメージやら、オノマトペやら、愉快な用法を拾ってみることにいたしましょう。では、最後の「目・眼・瞳」です。
 いつものように、◎印は、日本語初心者向けです。

 ◎ 衆目の耳目(ジモク)を集めて、目がくらみ。目新しいことには目を疑って、人目につくな目立つでないぞ。目と鼻の先で、目が会えば近目になるし、目を転じれば目が届く、目を遊ばせて目を覚ませ、目に付いたなら目を通せ、目を奪われたら目が曇る、目を凝らしたら目にしみる。目に角たてれば目付きが悪い、目を丸くして目を回せ、目の色変えて目は点になる。

* 目を皿にした目利きの目明かし、見附の辺りを見詰める目付き、目こぼしないかと目をこらす。この目障りな目の上のタンコブに、眼(ガン)をつけたは賊の頭目、縄目の恥はかくまいと、人目を盗んだつもりでも、壁に耳あり障子に目あり、隣の窓には覗き眼鏡のレンズがキラリ、双眼鏡か天眼鏡か、複眼・単眼・乱視の遠視、目を光らせる監視カメラは疑いの眼差しか。

* 金の切れ目が縁(エニシ)の切れ目、そこが付け目だ百年目、お目見え奉公目付きが悪い、薄目を開けて横目で見れば、“アッカンベ”して一目散、金目(カネメ)の象眼(ゾウガン)持って逃げ。
  ーーー註;“アッカンベ”  拒否 からかい 下瞼の赤い裏をみせてーーー

◎ 夜目遠目、寄り目にひが目にひんがら目、素人目にはドングリ眼、贔屓目にみても二枚目とは言われまい、眉目秀麗(ビモクシュウレイ)見目うるわしき人にあこがれて、逆上せ目(ノボセメ)高じて色目を使う、眼科に通って目尻を上げて、節目を撰んで伏し目がち。

* 青眼に構えた浪人・目の付け所、心眼・正眼・目にモノ言わす。相手の家臣は目一杯、勝ち目はないと殿に目配せ、「勝負はこれまで。仕官は叶った目通り許す」と危ない目をば救われる。

* 諸国大名は弓矢で殺す。糸屋の娘は目で殺す。殺して貰えぬ町の若衆白眼視、娘は睫毛パチパチ目が早い、焦眉の急と目頭熱く、柳眉逆立て眉ひそめ、人目引こうと目玉商品、大売り出し!

* “目ン無い千鳥”は目隠し鬼の、亡き盲目の妻を想う、目と目で交わしたあの日の出会い、月に映した面影目をかすめ、曲目見るたび、目に浮かぶ。

* 目から火が出るガチンコ相撲、出来た目の上タンコブ二つ、右の目の隈・眼帯付けて、脇目も振らずにフンドシの結び目掴むや、目にも止まらぬ早業めざまし、目にモノ見せたぞ目の敵(カタキ)、目の肥えた客の目をも楽しませ。

* 三度目の正直、潮目が変わった、賽の目には注目しろ、ぞろ目が出たら押し目で買えよ、勝ち目がないときゃ斜眼に構え、目を楽しませれば出目がくる、面目・要目・不面目、死に目にあったら題目唱えて、瞑目・徳目・目を閉じろ。

* 生真面目(キマジメ)な目上の小言はいつでも堅目、あんなの目じゃあない尻目にかけろ、二言目には「目一杯」にと、破れ目・曲がり目・病み目に着目、冬の流行目(ハヤリメ)気をつけろ、口はともかく目は届く、目に一丁字もないのが引け目となって、裏目にでたのは負い目ゆえ、視線を伏せて目を覆う、大目に見たのが運の尽き。

* 頭の後ろに目はないが、目籠(メカゴ)は目だらけ荒目の作り、編み目に網の目・境目見えぬ、裂け目に要心・厚目の竹をあぶるは百目ロウソク、目を逸らせるな瞳を凝らせ。

* 三草二目は法華経、俳諧式目連歌の目次、ウオの目つらいぞ憂き目にあって、焦げ目をつけるは五目飯、品目・天目・審美眼、落ち目の跡目に反目あって、弱り目・祟り目・三白眼、まなじり決して一目散、台風の目は鬼の目か・・・これで“体ことば”一巻目の終わりでございます。

ーーーーー
 ・・・川柳 ・・・ 
   “嫁の顔 眼鏡の外で じろりと見”・・・・姑の眼鏡にかなう嫁はなし。

♪♪ーーー 夫婦げんか 謝りそびれて目と目が冴えて、
       二人でみている蛇の目傘、言いたいことも聞きたさも、
        目と目が曇る千万無量ーーー

イベントの見た目の成功≠学生の成長

2012-04-22 07:20:55 | 顧問・アドバイザーから
今日の日記の結論は、「一時的な成功≠成長」です。

もっと簡単に言えば、「成功=成長ではない」です。


4月21日(土)、第3回ドーナツ杯天津市外国語カラオケ大会が行われました。

中国人教師は1人も来場せず、また、観客は多くても15人ぐらいでスタッフと選手・審査員のほうが遥かに多く、

会長からも「大問題です。観客が来ません」という連絡が入ったぐらいです。

さらに、今大会の予算は、わずか200元。

マイクとスピーカーのレンタル料だけで300元というのですから、予算が足りなくなり、

結局は学生達自身に負担してもらいました。



「大会費用を負担し、スタッフとして働く。しかも、観客はスタッフより少ない」というコンテスト、

みなさんだったら「大失敗だ」と思いますか?

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私も、昨年までだったら、「大失敗のイベントだった」ということで頭が一杯だったでしょう。

事実、「コンテストを開催するときは、観客の数を記録しておくように。それが成功の一つの基準です」といい続けていましたし、会場でも「今日は何人来たかな」ということを気にしていました。



また、企業の方など、外部の方も「コンテストには何人ぐらい集まるのか」ということを、

真っ先に聞きます。そして、「270人ぐらい集まったこともあります」というと、

「それはすごい。」と感心してくれました。



でも、私はやっぱり「何かが違う」と感じていたのですが、その理由がようやく分かりました。

(こういう大事なことが分かる時というのは、本当に瞬間的なことで、しかも、偶然のように思える出来事が重なるのですね)

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やはり、「成功」と「成長」は違うものです。



ある人は、成功したことが理由で成長が止まります。

ある人は、失敗したことが理由で成長し始めます。

ある人は、成功したことが理由でさらに成長します。

ある人は、失敗したことが理由で成長が止まります。



私がドーナツで大切にしたいのは、「成長」であって「成功」ではありません。

例えば、運営資金について言えば、ドーナツが設立された瞬間から、いくつかの「人材紹介会社」や「日本語学校」から資金提供と合作の申し出がありました。北京の会社からもありました。おそらく中国で一番大きい語学学校からも、お話がありました。

しかし、それは天津の学生を「ビジネスの競争」に巻き込むことが確実だったので、全て、お断りしました。

そういうところと提携すれば「一時的な成功」を収めることはできたと思いますが、それは、学生の成長とは無縁だと私は考えたからです。

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現在、アジアで行われている「アジアサッカーチャンピオンリーグ」で、広州恒大というチームが躍進しています。

昨日は、日本のチャンピオンである柏レイソルを3-1で破りました。サッカーの専門家たちも、「広州恒大は、アジアの中でも上位に入るだろう」と言っています。つまり、「大成功するだろう」ということです。



でも、同時に、「広州恒大の成功=中国サッカーの成長」ではないという人もいて、私もその通りだと思います。

なぜなら、恒大の成功は、潤沢な資金を利用して外国人選手を集め、試合に勝ったらたくさんのボーナスを出す、というやり方が支えているからです。事実、昨日の3つの得点は、全て「3人の外国人選手」から生まれたものでした。



また、試合に勝つことでたくさんのお金を手にすることができる、というやり方は、

現在の選手のモチベーションを高めることには成功するかもしれませんが、若手の成長にはつながりません。

それは、「日本人みたいだな」という表現が「サッカーが下手な人」という意味だった頃の日本と同じで、

小さいときからサッカーに親しむ環境が整わないからです。

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ドーナツという天津市の日本語学習サークルを設立してから、もうすぐ3年になります。

その間、外部の人たちから「すばらしい」と言われるようなイベントも、何度か開催しました。

清華大学の有名な先生や国際交流基金の先生を天津に呼ぶことにも、「成功」しました。



でも、その間、ずっと「これが、天津の学生にとって一番良いことなんだろうか」という疑問が

消えませんでした。

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昨日のカラオケコンテストには、観客はほとんど集まらず、「失敗だった」と考える人のほうが一般的だということは、私にも分かります。

しかし、その会場にいるスタッフ・選手・選手の友達・審査員の方々が、「成長したのかどうか」ということを基準にするとしたら、私は、「成功だ」と言っていいと思います。

それは、「緊急ではないけれど重要なこと」を積み重ねてきた結果ですし、もし、同じスタッフ・同じ選手が、

来年度にもう一度カラオケコンテストを実施したら、ということを想像してみればすぐに分かります。

おそらく、今回の審査員の方々の殆どが、「このメンバーでもう一度やったら、もっと良い大会になる」と言ってくれるでしょう。

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ドーナツは、これからも「世間でもてはやされる成功」と「学生の成長」は違うということを、徹底して追及していきたいと思います。

英語ペラペラ、頭の中も薄っぺら…元NHKアナウンサー塚越恒爾さんのブログから

2012-04-18 20:59:34 | 日本語学習法
最近、ある企業の採用担当者から悩みを聞いた。
 昔、メディア研修で教えたことのある50代のエリートだ。
 このところ、“しっかりした通訳が出来る人間”を探すのに苦労をしているという。
 「今時の若者だから、英語ペラペラなんてのは、そこら中に転がってるでしょう」
 「そうですね。英語ペラペラだけなら、掃いて捨てるほどいますねえ。でもね、一昔前ですと、英語でもフランス語でも外国語が堪能であれば、ある程度、知的レベルとか視野の広さも備わっていた。最近は、そうはいかないんです」
 という。
 「外国語ペラペラ、頭の中はウスッペラですか」
 「ま、一概には言えませんが、その手が増えてきましたねえ」
 「外資系の企業なんか・・・ま、御社もそうだけど、いまでも帰国子女を探して、手を回したりしてるんでしょう」
 「一頃はね、でも、近頃は、かなり事情が違ってきましたね」
 「帰国子女でも、英語が出来るとは限らない」
 「英語が話せるということと、通訳が出来ると言うことは、別ですよね。どうも、そこのところが、今の若い人や、英語教育の関係者は、ゴチャゴチャになっているんじゃないでしょうか。
 フランス語がネイティブで、TOEICが何ぼで、なんて言うので、会ってみると、頭の中がね・・・頭抱えちゃいます。どうなってるんでしょう」
 「ネイティブって言葉を・・・その人たちは勘違いしてるのかな」
 「そうだと思いますね」
 「日本人として日本で生まれ育ったら、ネイティブは日本語しかないよね」
 「そんなの目指したって無理というか、無駄でしょ。でも、特訓で何とかなるかも・・・なんてね」
 「多分。私は、今の日本人の通訳に欠けているのは、日本語力だと思うよ」
 「はあ、そうですね。言葉を理解したり、意味通りに使えたりすることは出来ても、頭の中が空っぽじゃ駄目ですよね。外国語は外国語、セカンドランゲージとして学べばいいんで、『“おかしなネイティブ”を目標にして』ひたすらペラペラ話せばいいと思ってる『勘違い人間』が、沢山できちまったんですねえ、国籍不明の」
 「昔ね。NHKで、石田武さんて、いい先輩がいてね・・・今のタレントの、ほら素足で靴を履いてる、あの人のお父さんだけどね・・・私が渡米するとき、こんなことを教えてくれたな『エレベータが目の前で通り過ぎちゃった。そのとき“ちきしょう”とか、“ああー”と思うのではなくて、“ガッシュ!”って思うのがネイティブなんだな』って。『恒さんは、そんな風に思う必要はないんだよ。念のためね』ってね」
 「と言うことは、『ネイティブになんかならなくっていいのだ』ということでしょ。英語ができても、知的なレベルっていうか、思考力とか、反応の早さとか、発想力とか、要するに我が社の仕事をこなしてゆくのに必要な能力・・・手っ取り早く言えば、総合的な知的能力が欲しいんですがねえ」
・・・・嗚呼! 日本の教育よ まだ目が醒めないのかねえ。



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日本語ぺらぺら、頭の中も薄っぺら、という人間を育てていないか、反省せざるを得ません。

顔と運と人生の法則…「顔」を見れば、その人の脳力・思考・感情の傾向が分かるそうです

2012-04-18 11:14:17 | ドーナツの宝
人生は運であり、運は顔が支配し、
 顔は脳が育てる――。
 
 達磨大師が説いたこの「観相学」を研究して、
 もう六十年近くになります。
 
 多くの徳人や悪人、成功者たちの顔を見てきて、
 私はようやく最近大師の教えに
 ゆるぎない確信を持つようになりました。

 人は誰でも、表と裏の面を併せ持っています。
 日のあたらないところにこそ多くのドラマがあり、
 味がある。
 
 それが如実に表れるのが、顔なのです。

     (中略)

 達磨大師(だるまたいし)は、

「肉体は脳の影、現象は心の所見」

 といっています。
 
 脳には「脳相」があり、
 これが「顔相」になって現れるのです。

 これを受けて嘉祥大師は、

「人生を左右するものは『運』であり、
その運を支配するのは顔である。

そしてその顔を作り上げるのは『脳』である」

 という理論を打ち立てました。
 
 現在、私の主宰する「嘉祥流観相学」は、
 この理論を基に脳と顔と運の因果関係を科学的に解明し、
 観相学を占いのような統計学ではなく、
 自然科学の学問として方程式化したものなのです。

 人の顔や体は、遺伝子によって土台が作られますが、
 脳はおよそ二十年かけて完成します。
 
 その人物がどういう環境に育ったか、
 どういうことを学んだか、どういうことを考えたかによって、
 およそ二十年かけて相を形成し、
 これが顔相に影響を与えるのです。

 例えば、小さい頃から
 「聞こう、聞こう」と脳が意識する機会が多いと、
 耳の血流が増え、次第に耳が大きくなっていきます。
 
 地獄耳といわれた松下さんの耳は当然大きかったし、
 幼少期に「人質に出されるのでは」と
 おびえていた徳川家康の耳が大きかったのも、
 大人の話に耳をそば立てていたからといえます。

 自己主張が必要な環境に置かれ続ければ、
 多く言葉を発しようとして口が発達します。
 
 勉強や仕事など、何かに一所懸命打ち込むと、
 前頭葉が活性化しエネルギーが発生するので、
 額に汗をかき毛根にダメージを与え、
 結果、額が広くなります。
 
 目や鼻、眉の細部に至るまで、
 脳の指令が働いていないところはありません。
 
 つまり顔を見れば、その人物のルーツから
 性格や育った環境、それまでの歩み、
 そして今後の運など、すべてがわかるのです。

     ☆  ☆

 私は松下さんをはじめ、井深さんや本田宗一郎さんなど、
 日本を世界に名立たる経済大国にまで成長させた
 多くの偉大な人たちの表の顔や横顔、
 裏の顔に至るまでを垣間見てきました。
 
 顔のプロとして見るならば、
 彼らの顔は、大きく二種に分類できます。

 一つは「牛顔」です。
 
 えらがクッと張り顎が発達した四角い顔。
 松下さんも井深さんも、この類に属します。

 そしてもう一つが「馬顔」。
 
 小泉純一郎首相やアメリカのブッシュ大統領のように、
 えらが発達していない顔です。
 
 このタイプは、論理的で、イデオロギーを盾に
 ガンガン前に突き進んでいきますが、
 気がつくと誰もついてきていない、
 ということが間々あります。
 
 参謀なら大成功を収めますが、
 リーダーになるとさまざまな問題が生じてしまいます。

 また私は常々、
 「お嫁さんにするならえらの張った女性」といいます。
 
 強い意志を持って男を支え、
 ときに叱咤激励しながら男の心を燃え上がらせる
 「はげまし顔」の女性。
 
 人の心をつかみ、勇気や希望を与える、
 いわゆる人徳者は、多くが牛顔をしているのです。

(『致知』ホームページからの転載です)