天津ドーナツ

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日本語で考える基礎ゼミナール参考事例の案 (翻訳:天津商業大学 王永ヤク)

2011-12-30 13:44:40 | 日本語学習法
研讨小组实施参考方案 翻译 王永钥(天津商业大学)

一、 基本形式(请参考)

1. 根据选定的图书来进行研讨。(适合基础学习)

2. 现决定总题目,再根据各位的情况制定相应的方案。(适合基础研究的训练)

3. 有各位成员自由选题,再汇总制定总主题。(适合更高程度的研究训练)


二、具体示例参考(具体实施还请根据各校情况而定)

1.研究生每人一课题
条件:1.在大三第二学期实行2.在第一学期已完成梗概。3.考虑毕业论文的内容
内容:1.研究生自行决定研究主题。2.研究生作为主题完成查询资料等工作。3.将完成调查报告作为目标4.作为较高水平的研究小组。

2.共通主题研究小组(1)
条件:1.在大三第二学期实行2.在第一学期已完成梗概。3.暂不考虑考虑毕业论文的内容
内容:1.共同讨论,得出主题。2.通过调查研究,由老师分配题目。3.将完成调查报告作为目标。

3.共通主题研究小组(2)
条件:1.在大三第二学期实行2.在第一学期已完成梗概。3.暂不考虑考虑毕业论文的内容
内容:1.共同讨论,得出主题。2.通过调查研究,各位成员制定个人题目。3.将完成调查报告作为目标。

4. 读书会型研究小组(1)
条件:1.二年级的学生2.按照成员意愿决定书目
内容:1.为每位成员各指定一至三册必读书目2.决定每章的负责任人,并由负责人整理各章的要点和意见3.通过成员的交流达到读完书的目的并迸发新的智慧。

5.读书会型研究小组(2)
条件:1.二年级的学生2.有读书的意愿
内容:1每人一至三册书,决定想要读的、应该读的书目2.根据情况,选择每本书中自己感兴趣的读3.综合意
见制成梗概

6.高层次读书会型研究小组
条件:三年级的学生
内容:1.指定一本成员们共同拥有的教科书2.决定每章的负责人3.负责人除了整理要点,还要查询其他文献进行验证并发表观点。4.如果如此施行,不仅是读了共通的一本教科书,还阅读了各自查询的书目,例如成员有5人,那么将有一共读了6本书的好结果。

7.活用教科书研究小组(根据川端老师的经验)
利用《日语会话》、《日语精读》等书目。将成员们感兴趣的各处汇集、讨论。
条件:1.二年级的学生
内容:1.重温教科书2.因为以身边的事件相关,适用于初级的研究活动3.易于制作简单的报告

8.实地调查性研究小组
通过访问日企进行调查。或通过联系留学生等形式进行采访考察。
条件:1二年级到三年的学生
内容:1.具备相关指导能力的老师2.集合调查过程中的见闻并综合个人意见3.如果是三年级的学生,为确保调查结果的认可性,最好查询文献。

9.事件纪念型研讨小组
以“中日邦交正常化40周年”之类的具备集纪念意义的事件为对象进行研究。
条件:二年级或三年级的学生
内容:1.取材自热门话题2.进行多方情报的整理3.可以现场发表讨论4.整理各方观点并进行发表

10.特定书目读书会研究小组
多领域的读书研讨小组
内容:1.古典书籍阅读小组2.专业书籍阅读小组3.经济数据统计分析研究小组

11.每月一主题研究小组

12.日本名人传记阅读研讨小组

13.外文书籍阅读研讨小组

天津ドーナツ「日本語で考える基礎ゼミナール」——ゼミナールの参考例

2011-12-29 21:35:39 | 日本語学習法
ゼミナールの参考例

作成者:興津正信(天津商業大学)

作成日:2011年12月28日



Ⅰ 基本の形態(あくまでも参考です)

a) 1冊の課題図書ないし数冊の図書から共通したテキストを設定し、各章ごとに担当者を決めて、発表・討論を行う。

  →基礎学習、興味を促す、研究への橋渡しに適している。

b) ゼミとしての共通テーマを決めて、それに対してゼミ生一人一人アプローチを設定し、発表・討論を行う。

  →研究の初歩的訓練に適する。

c) ゼミ生一人ずつが自分の関心ごとに合わせて、テーマを設定して、発表・討論を行う。

  →基礎研究の仕上げ、本格的な研究活動への橋渡しに適する。

※ bとcは、いわば課題追求型で多く見られるゼミ形態である。

※ 専門志向のゼミであれば、aの段階で、基本文献などを利用することが手始めに行われることが多い。





Ⅱ 参考例

 実際に「発表・討論」、「少数人数」ということであれば、形式的にはそれで十分にゼミナールとなります。そのため、そのゼミの内容、進め方、目標などは、教員の研究指導力や学生の状況(関心ごとは何かということも含めて)によって、千差万別であります。ここでは、まず類型を提示し、そのあと、より具体的な事例を挙げておきたいと思います。

 あくまでも参考ですので、いろいろと掛け合わせたり、加減したりなど、まさに各ゼミのオリジナルティを発揮していただければと思います。



1.ゼミ生1人1テーマ(1研究領域)のゼミ

条件:①三年生第2学期 ②第1学期にレジュメおよびレポートの一連の作業を経験済み(2サイクル以上)

   ③卒論をも視野に入れている。

内容:①ゼミ生自らテーマ(研究領域)を決める。

   ②資料集めからアプローチの決定まで、基本的にはゼミ生の主導による。

   ③リサーチペーパー作成が目指せる。

   ④レベル・段階としては、この形式は高度なゼミナールになり、研究ゼミとしての色合いが濃いです。ただ指導教員の研究力とゼミ生の関心ごとによっては、以下のゼミナールの形式に移行できるし、そのことも立派なゼミとして成立できると思います。



2.ゼミ共通テーマのゼミ(アプローチの規定あり)

条件:①三年生第2学期 ②第1学期にレジュメ及びレポートの一連の作業を経験済み(1サイクル)

   ③卒論への視野は特に無し。

内容:①ゼミで、共通したテーマを一つ決める。

   ②そのテーマを調査するために、アプローチの分担を教員が指定する。

   ③リサーチペーパーあるいはポスターセッション作成が目指せる。



3.ゼミ共通テーマのゼミ(アプローチ自由)

条件:①三年生第2学期 ②第1学期にレジュメ及びレポートの一連の作業を経験済み(1サイクル)

   ③卒論への視野は特に無し。

内容:①ゼミで、共通したテーマを一つ決める。

   ②そのテーマを調査するために、ゼミ生自らアプローチを考え、設定する。

   ③リサーチペーパーあるいはポスターセッション作成が目指せる。



4.読書会型ゼミナール(文献指定あり)

条件:①二年生 ②まずは読書をしましょうという気持ちがあればOK

内容:①ゼミで1~3冊、読むべき図書を指定する。

   ②各章ごとに担当者を決める。担当者は担当した部分の要約及び自分の意見をレジュメで用意する。

   ③指定する文献は、1人で読むには難しいものを選定する方がよい。ゼミの仲間と一緒にその1冊を解読していくことで達成感も味わいやすく、またお互いに解決方法を交流することで新たな智慧が身に付く。



5.読書会型ゼミナール(文献指定無し)

条件:①二年生~三年生 ②教員からの指導は多少必要になるが、基本的にはゼミ生が読む文献を決める。

内容:①1人1~3冊、「読みたい本、読むべき本」を決める。

   ②場合によっては、1冊読破ではなく、自分の関心がある部分だけをピックアップしても構わない。

   ③要約と意見をまとめたレジュメを作る。



6.やや高度な読書会型ゼミナール(文献指定あり・さらにもう1文献)

条件:①三年生

内容:①ゼミの共通テキストとして1つ文献を指定する。

   ②各章ごとに担当者を決める。

   ③担当者は、担当した章の要約と意見のほかに、その章で取り立てた話題について、さらに別の文献を使って検証をし、その内容を発表する。他のゼミ生も可能な限り、担当者が選定した文献を読む。

   ④こうすると、共通文献を1冊。さらに各ゼミ生が持ち込んだ文献1冊。もしゼミ生が5人いれば、計6冊読むことになります。

   ④この方法は、興津が大学3年生(第1学期)の時に経験したゼミナールの形態でした。



※ 4~6までは、成果として文献レビューを作るレベルまで引き上げてみてもよい。

※ ここまで、かなりカタイ書き方でゼミの参考例を書きました。若干類別的な書き方です。以下は、重複する部分もありますが、具体的に考えたものを提示します。



7.教科書活用のゼミナール(川端先生からの事例より)

 精読や会話などの教科書には、日本事情に関するコラムが掲載されています。日頃、語彙・文法の解説や練習問題で終わってしまうところを、学生の関心に合わせて、教員とともに改めて調査したり、考察するというゼミナール。

条件:①二年生。場合によっては上記のゼミナールの中でも活用できる。

内容:①教科書の再認識にもつながる。

   ②身近なところからの問題提起となりやすいので、初歩的な研究活動に適している。

   ③簡単なレポートも作りやすいので、手応えが与えやすい。



8.フィールドワーク型ゼミナール

日本企業訪問やマーケティング調査など、指導教員の専門分野あるいは学生の関心にあわせたフィールドワークを行う。また留学生と協力しながら、生活習慣などのインタビューをまとめることもよい。

条件:①二年生~三年生

内容:①調査手法を指導できる教員によるゼミナールが望ましい。

   ②初歩的な進め方としては、調査で見たまま、聞いたままから考え、自分の意見をまとめる。

③三年生以上なら、調査成果の普遍性を検証するために、文献で裏づけを行うと、より研鑽が深まる。



9.記念イベント型ゼミナール

 2012年は日中国交正常化40周年。このような「××周年」というような記念イベントを研究する対象とし、そこからテーマを設定し、調べたり、考えたりするゼミナール。

条件:①二年生~三年生。

内容:①ホットな話題になりやすい。

   ②情報が多くあるので、その整理力が問われる。

   ③すぐに何か結論が出るわけではないが、臨場感にある発表・討論ができる。

   ④いくつかの視点・アプローチ・カテゴリーが揃えば、ポスターセッション発表にも適している。



10.××を読もうゼミナール

 「読書会型ゼミナール」のことと同じですが、このようなゼミナールは、領域やレベルなどをいろいろと変えることで、多様なゼミナールになると思います。例えば、

① 古典を読もうゼミナール:古語の原書ではなく、現代語訳でもいいし、あるいは中国語版でもよいと思います。古語の語彙・文法に偏ってしまうことを避けるのであれば、中国語版で内容を楽しく吟味できるようにした方がいいでしょう。

② 専門書を読もうゼミナール:それぞれの研究領域には「これは読むべき!」という古典的な基本文献が存在します。一人じゃ難解すぎて大変かもしれませんが、しっかりとその領域を指導できる先生の解説を助けにして、読解していく。三年生でも必要な作業になると思います。

③ 統計データを読もうゼミナール:経済や金融に興味がある学生にはよいです。データの読み方を学習しながら、自分なりの分析を披露しあう。学習が進めば、他の文献も使いながら検証するという研究の手始めにかかることもできます。



11.月間テーマゼミナール

 若干単発的になりやすいかもしれないが、月間ごとに1テーマをゼミ内で定めて、

① それについて文献調査あるいはフィールドワーク。

② 大きいテーマを決めて、それを1ヶ月ごとに分割した小テーマを設けるという方法も面白い。

③ レポートあるいはレジュメの練習量が増える。



12.現代版・代表的日本人を決めようゼミナール

 意外と日本人の著名人を知らない学生が多いです。そこで、なるべく単なる人気投票的な乗りではなくて、すこしアカデミックな方向性を持ちながら、日本の著名人を数名ピックアップして、その伝記・自伝などを読むことを手がかりに、調べてみるゼミナール。

 これは、実際私が大学3年生のときにサークルで実践したゼミナールです。その時は「代表的中国人を選ぼう」というテーマで、調べたことを披露しあいました。



13.外書講読ゼミナール

 読書会に近いが、ここで取り上げる図書は、中国語ではダメで、必ず日本語か英語。つまり、中国人学生にとって外国語であることが必須。日常の授業としても成り立つが、少数人数のゼミナールにこれを導入すれば、輪読の順番も多く当たるし、かなり外国語能力の上達には役に立つ。

 ただ精読の授業のように語彙・文法の解説に偏りがちなので、そうならないように、指導教員には研究的内容を示唆していくことが求められる。

① 意味・文法などの確認は重点的にやらない。

② 担当者を決め、読解した上で、内容を分析あるいは検証したレジュメを用意して、発表・討論。


歳末罵倒言(ほろ酔い妄言)・・・くたばれ「テレビ」(元NHKアナウンサー塚越恒爾さんのブログから)

2011-12-25 08:08:58 | 映画・テレビ・歌など
2011年12月25日 (日)
* 歳末罵倒言(ほろ酔い妄言)・・・くたばれ「テレビ」
 
 近頃、テレビがつまらなくなった。なぜだろうかと思う。きっと、テレビに出てくる人間が、つまらない奴が多すぎるのだね。おまけに、下らぬタレント(タレントレスの)ほど、あっちのテレビ、こっちのテレビに「出まくる!」。チャンネルを切り替えながら、我らは吠えまくる。「失せろ!」
 
 あまりに腹が立つから、女と男に分けて、ワースト10を撰んでみた。いま、我が輩は、少々きこしめしているから、当然、表現は厳しくなる。ま、年末じゃ、勘弁してくれ!
    
        ・腹の立つ女たち ワースト10
 *キャンキャン・キイキイ 喉チンコ締め付け女。・・・聞いている身にもなってくれ、頭痛がするんだ。頼むから黙っててくれないかね。
 *脳ミソの代わりに、安いソフトクリームが詰まった甘え声のピヤピヤ姉ちゃん。
 *「ワー」と驚き「キャー」と叫ぶだけの、賑やかし専用ギャル。
 *「私ってね、意外と甘いものが大好き人間じゃないですかー」って・・・知るかそんなもん!
 *前歯むき出し、口を開けたら開けっ放しの、ツバ飛ばし女。
 *口先だけ動かしてピロピロと、“日本語に似た音”を絶え間なくサエズリまくる女。
 *三白眼むいて、古くさいセールスマン・ノウハウを得意げにしゃべりまくる勘違い女。
 *大口開けてケタケタ笑い、「アッラーア ソウーナノオー」と、相づち打てば、それが司会だと心得ている女。
 *「美味しそうー・・・クチャクチャ、クチャクチャ・・・外はパリッパリ んふーん・・・クチャクチャクチャクチャ・・・ 中はトロットロオ・・・もおおおおう(ここでやっと呑み込む) さいこうー!」・・・口結んで食え!
 *意味もなく、歩き回りながら、しゃべりまくる、自己満足型の“レポーター”・・・安っぽい仕掛けが見え見えだぜ。
 
        ・腹に据えかねる男ども ワースト10
 *何かというと、やたらに相方の頭をひっぱたくバカ男・・・叩くなら自分の頭にせい!
 *つまらなそうに、口のなかでモゾモゾつぶやくだけのセンセという人種・・・補聴器持ってこいってんだ。
 *意味不明、音吐不明瞭のノラクラ政治屋(政治家とは呼べないねえ)・・・そのくせ国会では下品な弥次ばかり。
 *画面を見てれば分かることしか喋べらぬレポーター・・・目を開けて、きちんと仕事をしなされ。
 *はるか彼方に向けて吠える、時代遅れ記者・・・聞いてる人は6畳間、迷惑だっての!
 *絶叫、絶叫、シャモの断末魔「ゴオオオオオーーーールウウウウ」・・・おい、大丈夫か!
 *「絶対に、最高の、神業のと・・・」最大級の形容詞ばかり使う“言葉知らず”。
 *ほとんど発言もしないで、森羅万象を知ってる態度だけの無芸者・・・テレビの居候者。
 *ひな壇に並べたタレントに、「オレなんかよ・・・おまえはよ・・・」と、わめくのが専門の司会者。
 *「そんなん聞いてねえ・・・楽屋で話そう」などと、表も裏も区別できない阿呆な芸人。
 * いつでも半分口開けて・・・おっっととっと こりゃ11番目だったね、ごめんごめん。

 ・・・ああ、それにしても、テレビよ。お前は昔から、品性を欠いたところが、少しあったけれど、とうとう知性までも失ってしまったのか。もうあんたを「放送文化」と呼ぶことは、あきらめなきゃあならんのかねえ・・・
 
  ーーーーちょいと、口汚くののしりましたが、今年最後の「ほろ酔い妄言」。お心当たりの方は、まさか、いらっしゃいませんよねーーーそれでは、みなさま。良いお年をーーーー         


天津ドーナツ「日本語で考える基礎ゼミナール」実施要綱

2011-12-24 23:51:56 | 日本語学習法
天津ドーナツ「日本語で考える基礎ゼミナール」実施要綱

ゼミ担当講師リーダー・興津正信(天津商業大学)

天津ドーナツ顧問 川端敦志(天津財経大学)

天津ドーナツ基礎ゼミ担当 王永钥(天津商業大学)



Ⅰ ゼミナールの目的

覚えるだけの日本語から脱却するという前提に立ち、じっくりと、何度も、丁寧に、幅広く調査する・まとめる・考察するというゼミナールにしていきます。

ゼミナール修了後には、それぞれのレベル・段階を合わせて、以後、研究活動を進めていけるというところまで養成していくことを目指します。つまり、自分なりの問題・課題を設定し、それを解決するための方法を探し、調査を繰り返し、その結果をまとめ、考察を深めていくという一連の研究の流れを体験してもらうことを考えています。

 本ゼミナールでは、2年生・3年生それぞれに、必要な研究力を養成するための機会を設けるということを鑑みて、2つのコースを設置します。

コース1:基礎研究ゼミナール(主に3年生)

コース2:考える入門ゼミナール(主に2年生)



 本ゼミナールでは、以上のように2つのコースを設置しますが、それぞれ対象となる学年はあくまでも目安です。とくにコース1「基礎研究ゼミナール」については、第1学期に「天津ドーナツ卒業論文基礎ゼミナール」などで、研究の入門的スキルを学習済みの学生に適していると思います。3年生であっても、研究の導入からスタートしたい場合は、コース2を選択することを考えてもよいでしょう。



Ⅱ コース1:基礎研究ゼミナール(3年生対象)



Ⅱ-1 コースの目的

主体的な論理づけの技術を会得し、自分の意見をわかりやすく発表できる日本語能力を身につけることとする。この目的を達成するために、本コースで重点的に取り組むことは、

(1) 研究の楽しさを実感する。

① トピック探しの場:日本研究の面白さを知る。

② 「学問的対話」の楽しさを体験する。

(2) 研究の基礎力を身につける。

① 論理的思考能力の養成:事実を要約・分析し、意見を述べるための行動(案内)ができる日本語能力

② 資料批判の手法を学ぶ:理論を学ぶ。

③ 資料のアクセスのセンスを磨く:自立した求道心を養う。

(3) 一つの完成を体験する。

課題遂行の達成感を感じてもらうために、リサーチペーパー(レポート)の作成を目標とします。リサーチペーパーを作成の体験を通して、研究活動の一連の工程を学習していきます。



Ⅱ-2 本コースの意義

 大目標としては、指導教員は卒論の完成イメージを持つこと、また学生もそれが早い時期に持てるのであれば、持つことを奨励しますが、3年生の段階はのびのびと様々な領域をかじる幅の広さを養った方がよいと考えています。そのため、卒論の最終形態から、あえて切り離すぐらいの感覚も必要であると感じています。これは、「すぐに成果が形として現れないなら、やりもしない」という弊害(研究力養成にとって)を形の上で排除していきたいと考えているためであります。

具体的なスケジュールから言えば、本コースの最終回(2012年6月)のゼミ発表が終わってから、フィードバックを担当講師とゼミ生で一緒に行ないます。その段階で、「3ヵ月後には、皆さんは4年生になりますね。では、卒論のテーマ(卒論で追究したい領域)について相談しましょう」というふうに、相談がスムーズにできる力を養成するという意義があります。

Ⅲ コース2:考える入門ゼミナール(2年生対象)



Ⅲ-1 コースの目的

研究活動の導入を行なうことで、覚えるだけの日本語学習の脱却を図ることを目的とします。ある程度の枠を設定しますが、ただテキストの文章をなぞるだけ、覚えるだけではなく、自分なりの発想へつなげていくための行動ができる能力を養成します。

(1) 日本を知ろうなどについて、学究的好奇心、学究的インセンティブをくすぐる入門編

① 日本に関する良書を探す。

② クラスメイトと読みあい、議論し合い、理解を共有する。

(2) レジュメの作り方を学ぶ。

① 要約の作り方、レジュメの体裁の基本を学ぶ。

② 先生や先輩のチェックを受け、じっくりと見直す習慣を身につける。

(3) 初歩的な研究発表ができるようになる。

① 事柄の提示は直線的であっても、流暢に話すことができ、研究発表で必要な日本語表現ができるようになる。

② あいさつ・間の取り方・言葉遣い・言い換え・資料提示のタイミングなどプレゼンテーションの技法を学ぶ。



Ⅲ-2 本コースの意義

 まずはみんなと討論し、考察することの面白さを体験してもらうことで、学究の発心を生み出すモチベーションを育てます。そのモチベーションが、今後、上級生の段階になったときに、さらなる深化した研究活動を最後までやり抜くための原動力や忍耐力となっていきます。

 大学教育の集大成である卒業論文や大学での研究活動は、一種の精神作業であります。つらい状態であっても、「研究することの喜び」や「日本語を使うことの楽しさ」を自ら発揮することができれば、挑戦しようとする元気が持ち続けられます。

 また研究のスキルの基本を学ぶことで、より複雑な作業への橋渡しとなるコースであります。



Ⅳ ゼミナールの活動内容・形式

 形式は「ゼミ形式」です。講座や講義中心ではありません。コースの選択、講師の指導可能な研究領域、学生のスキル状況に応じて、具体的な活動内容およびゼミの形態は数多く考えられます。ここでは、講師リーダーである興津から考えたシラバスを提示します。実際は講師およびゼミ受講生が決定した後、各ゼミでの相談の上で、シラバスの構築を図ります。



(1)形態(あくまでも参考です)

a) 1冊の課題図書ないし数冊の図書から共通したテキストを設定し、各章ごとに担当者を決めて、発表・討論を行う。

b) ゼミとしての共通テーマを決めて、それに対してゼミ生一人一人アプローチを設定し、発表・討論を行う。

c) ゼミ生一人ずつが自分の関心ごとに合わせて、テーマを設定して、発表・討論を行う。



※ b)とc)は、レポートの形態から言えば、テーマ論証あるいは調査報告を作成するのに適したものとなります。目標としてはリサーチペーパーを作成とすることに適しています。



(2)活動内容

「基礎研究ゼミナール」で、上記の形式c)を採用するという条件で考えました。

① 資料探し:世の中にはどんな資料がどこにあるのか。知的インセンティブをくすぐるような活動。

② トピック探し:問題意識から問題の場へいざなう。

③ 資料の読み込み・研究のメモ:資料批判を行う。

④ レジュメ・レポートの基本形式を理解し、自分なりのスタイルができる準備をする。

⑤ 参考文献一覧をつくることができ、資料の種類(類別)、性質を自分で判断できるようにする。

⑥ 文献レビューが作成できるようにする。

⑦ リサーチペーパーを作成できるようにする。

Ⅴ 担当講師および学生担当

【担当講師】

1.興津正信(開発学・社会学)天津商業大学 講師リーダーを兼ねます。

    ※講師リーダーとしての役割としては、主に講師間の連絡・相談・アドバイスを担当します。

  2.・・・・・・

担当してくださる講師募集中です。



【学生担当】

 ゼミナール運営担当:王永钥(天津商業大学2年生・天津ドーナツメンバー)

   ※主にゼミ生同士の連絡や合同ゼミ発表大会などの運営のとりまとめを担当します。

   ※各ゼミで、代表者の学生を決めることもよいと思います。各ゼミの運営もゼミ生が主体になって行う(教室の手配など)ことを少しずつ増やしていくと自立した課題遂行能力を養成できます。



Ⅵ 参加資格

以下の条件をすべて満たすか、担当講師が参加するに適切であると判断された学生とします。

1.天津ドーナツのメンバーおよび下記2以下の条件に合う学生

2.日本語専攻の学生。日本語専攻以外の学生は担当講師と要相談。

3.追求してみたいテーマがある。(日本以外に関することの場合は、講師に要相談)

4.日本語で考え、討論する力をつけたいと真剣に願っている。

5.本ゼミナールの共通イベント(発表会など)および所属するゼミで各講師が提示するゼミ日程すべてに参加できる。

  ※中間発表及び最終日の合同ゼミ発表大会での発表については、基本的に日本語で発表します。発表会で発表することは、努力目標とし、義務付けにはしません。各ゼミナールの進行状況に応じて、見学あるいは発表をするなどの参加形態を決めてください。

  ※ただし、通常のゼミでは、講師による一方的な講義で終わることなく、「ゼミ形式」ということに重点を置いていただき、積極的な発表および討論を展開していただくとします。その際の使用言語は、講師の裁量で、日本語・中国語どちらでも構わないとします。

  ※ゼミの記録およびレポートあるいはレジュメなどをまとめた報告集は、今後の天津での大学日本語学科の教育発展に向けての参考としていきたいため、可能な限り形に表したいと考えています。この点については、講師およびゼミ設置が決定した段階で、話し合いを持ちたいと考えています。



Ⅶ スケジュール及びゼミ設置について

 コースごと、講師・大学ごとでゼミの進行は実情に合わせて行うため、ここでは、本ゼミナールの共通イベントの日程を提示します。また併せて、興津が考えた日程(コース1、コース2)を参考までに提示します。



<ゼミナール日程(共通)>

3月第2週 3月10日(土曜日)説明会・研究領域の確認

※中国の大学日本語学科における「初めての日本語ゼミのポイント案」の構築について説明します。



5月上旬  中間発表大会(合同ゼミ) 土日で開催



6月上旬  ゼミナール発表大会(公開予定)・ゼミレポート(レジュメ)集完成

      フィードバック(4年生に向けての第1回卒論相談会)・打ち上げ

   ※上記「Ⅵ 参加資格」で述べたように発表大会で発表することは努力目標とし、義務ではありません。見学のみであっても、通常のゼミナール活動に真面目に参加できるのであれば、この活動への参加はOKとなります。

【スケジュール案(参考)】あくまでも参考です。

参考例その1<コース1 「基礎研究ゼミナール」」>

条件:ゼミ生数10名以内。活動内容・形式はⅣのc)(共通テキスト設定しない) 

毎週1回90分のゼミナールを行う。基本的には平日開催で、場所は天津商業大学。

3月


第1回 説明会・研究領域の確認(3月10日)

第2回 資料探し成果の報告会・研究領域の再考と決定→成果の提出は、リーディングリストなどで。

第3回 文献(学術論文)レビュー発表→図書ではなく、文献レビューがしやすい学術論文を学習することで、論文の成り立ち、研究とは何かというのを実体験する。

第4回 文献レビュー発表(レジュメ)

4月
第5回 リサーチペーパー作成計画提出

第6回 途中報告

第7回 第1次原稿チェック

第8回 途中報告:口頭発表用のレジュメ

5月
第9回 中間発表(第2次原稿チェック):合同ゼミ

第10回 第3次原稿チェック

第11回 第4次原稿チェック

第12回 プレゼンテーションの訓練

①発表レジュメの作成  ②ゼミ論集作成

6月
第13回 ゼミ発表大会(6月2日or3日)

①ゼミ論集完成 ②フィードバック報告 ③打ち上げ




参考例その2<コース2 「考える日本語ゼミナール」」>

条件:ゼミ生数6名以内。(読書会のような形式の場合、あまり多くならないほうが良いと考えている)

活動内容・形式:Ⅳのa)(良書を選定し、それを共通テキストとする)

「3ヶ月で5冊読破」を目標とする。(中国語の場合なら10冊程度が好ましい)

毎週1回90分のゼミナールを行う。基本的には平日開催で、場所は天津商業大学。

3月


第1回 説明会・研究領域の確認(3月10日)

第2回 テキストの選定および発表担当の決定。レジュメの作り方の説明。

第3回 第1冊:レジュメ発表・討論(1)

※ レジュメ発表は、章ごとで行なうか、発表者の人数に合わせて行なうかは書物とゼミ状況で判断する。レジュメ発表内容を軸にして全員で討論を行う。

第4回 第1冊:レジュメ発表・討論(2)

4月
第5回 第2冊:レジュメ発表・討論(1)

第6回 第2冊:レジュメ発表・討論(2)

第7回 第3冊:レジュメ発表・討論(1)

第8回 第3冊:レジュメ発表・討論(2)

※5月の中間発表では、レジュメに基づいて、読破した書物のレビューを行なうことを目標とする。

5月
第9回 中間発表(レビュー発表):合同ゼミ

第10回 第4冊:レジュメ発表・討論(1)

第11回 第4冊:レジュメ発表・討論(2)

第12回 第5冊:レジュメ発表・討論(1)

第13回 第5冊:レジュメ発表・討論(2)

※ レジュメ報告の作成。レポートの体裁が整えるのであれば、成果として作成しても良い。

6月
第14回 ゼミ発表大会(6月2日or3日)

①ゼミ論集完成 ②フィードバック報告打 ③うち上げ


注1 太字下線部はゼミナールの共通イベントです。これについてはどんなコース内容になったとしても、共通していることとして行なっていただきます。

注2 上記のコース1、コース2の日程は、興津が担当した場合という想定で作成しました。最終的には各大学の状況、講師の指導可能な内容、使用言語などに合わせて、日程と内容が決定されます。

【ゼミ設置について】

1. ゼミの開講の頻度、合同発表大会の参加形態は、各ゼミで決定するものとします。

2. 1つの大学で複数のゼミ設置も可とします。例えばコース1で1つ、コース2で1つあるいはコース1で2つなど、研究領域、それぞれの大学の学生で強化したい能力などの実情に照らし合わせながら、ゼミ設置の数、領域(方向性)などを決定してください。

3. 1つのゼミにおける学生の成員数ですが、目安として1ゼミ(1グループ)10名前後の学生で構成されるのが適切だと思います。ちなみに興津が過去に天津商業大学で行なったゼミナールで最大人数は19名でした。しかし、このときはゼミ期間が約1年間でしたので、なんとか指導が行き届いたというところです。今回のゼミナールは3ヶ月間というやや短期的なものですので、やはり10名以内が妥当かと思われます。

4. ゼミナールを辞書的な定義で言えば、「大学で、少人数の学生が集まり、教師の指導の下に自ら研究し、発表・討論を行なう形式の授業」ですので、それを基準に構築されたものを本活動におけるゼミとします。ですので、30名や40名近い学生を集めて、それを1つのゼミにするというのは、ゼミとしてはふさわしくないとし、領域やレベルの段階で分けるなど再考を促します逆にゼミ生が少ない場合ですが、その点については、1名であっても真剣な学生であれば、ゼミの開講を奨励したいと考えております。

5. 教員1人が複数のゼミを担当する、あるいは複数の教員(2名以内が望ましい)が1つのゼミを担当するなどは、各大学、講師らの裁量によって決定していただくものとします。

6. 今回のゼミナールで、設置されたゼミの総数が多くなった場合、合同ゼミ発表大会などの共通イベントのあり方について、所要時間も含めて検討していくことになることを予めご了承ください。

7. その他ゼミ設置で不明な点があれば、リーダーの興津まで問い合わせてください。



Ⅷ 講師についての確認

1.リーダーは、興津正信(天津商業大学)が担当します。

2.指導担当講師は、学生が選ぶものとしますが、「5.講師の条件」に合う、あるいは同等の能力を有する方を考えています。自分の力を高めてくれると思う人でしたら、留学生でもかまいません。

  ただし、各講師は事前に自分が担当可能なテーマを公表することとします。

3.中間発表時には、すべての講師がすべての学生の発表にアドバイスをします。

4.できるだけ、「本物」に当たらせるようにしてください。

5.講師の条件:a)研究業績がある。学術論文あるいは学会発表がある。論文は査読付であることが望ましい。また予稿集や紀要論文は、この業績に含まない場合がある。

b)大学日本語学科の教員。ただし上記a)に該当する場合はその限りにあらず。

c)研究の指導計画(シラバスに準じるもの)が作成できる(作成すること)。



Ⅸ 問い合わせ先

 興津正信:okky0316@gmail.com

   王永钥: keykid0126@126.com

   川端敦志:kawa4215@hotmail.com


天津市視覚障害者日本語訓練学校のクリスマスパーティー

2011-12-23 19:57:02 | 結果報告
天津視覚障害者日本語訓練学校 クリスマスパーティー後記
2011年12月18日(日)

1.学生たちの感想
(1)先生,这次的活动比我以前参加过的任何一次活动都要长,都要特别。首先是这种全日语的氛围给我不同与以往的说日语的感受,在这样的环境下无论是日语的表达还是语感都很容易得到锻炼和提升,让人由学日语转化为真正的用日语。这样的环境正是我们学生比较缺乏的。虽然很多内容我都还听不懂,但这样却激发了我的求知欲,也加强了我对日语的熟悉感和亲切感。
其次,盲学生们的演讲和表演也给了我很深的感动。他们用自己的笑容证明了她们的坚强和执着,他们用自己的亲身经历告诉我们不管遇上什么艰难险阻,生命一样可以精彩度过。他们向我们传递着信心和勇气,这是在什么教科书上都学不到的宝贵财富。
而且,大家的表演也很精彩,偶尔的忘词丝毫不影响大家的信心和热情,几乎是全员参与表演的情况让这个活动气氛高涨,真正让欢乐分享到了每个人心里。这才是真正的party!
还有,这次盲学生们的出席让活动上有了很多温情的细节,人与人之间的关怀让活动更加温馨了,每个人似乎无形中亲近了很多。这也是让我感动的。
总之,这次的活动很精彩,我也深深地沉浸在了那欢乐而温情的气氛中。这是一个很棒的活动。ありがとうございます。
(天津商業大学外国語学部日本語科1年 周雲竹)

(2)クリスマスパーティーの感想
12月17日の午後、川端先生のおかげで、私はほかの学生と一緒に 天津視覚障害者日本語訓練学校のパーテイーに参加しました。これから、私
の感想をお話しします。
今回の活動は私にとって、感動した経験でした。彼らは目が見えないのに、やりたい事は諦めません。弁論で、ある日本学生は「できないことはない」と言いました。彼らにとって、本当にできないことはないです。でも。私は普通の人なのに、何か難しいことがあれば、諦めたいです。また、青木先生と彼女の学生さんたちはずっと笑顔をしています。皆はこの世界に感謝の気持ちを持って、いつでも元気です。でも、私は時々生活に不満を抱いています。こんなに彼らを見て、恥ずかしく思っています。それから、私は反省しなければなりません。そして、彼らの勇気と強い意志を勉強したいと思います。
ここで、私は青木先生と学生さんたちに『ありがとうございます』の感謝の気持ちを伝えたいと思います。私にとって、今回のクリスマスパーテイーはただパーテイーだけでなく、人生の中の重要な授業なのです。
これから、この分野の活動が多くなったほうがいいと思います。このような活動を通して、私たちは助け合うことができます。何かお手伝いできることがあれば、ぜひおっしゃってください。
以上は私の感想です。青木先生と学校の皆様、まことにありがとうございました。
        (天津商業大学外国語日本語科2年 麻麗平)
(3)
 「目が見えなければ、なんと怖いじゃないか」
 「世界は真っ暗になって、会いたい人も見えなくて、普通のこともできな
くて、きっと悲しみに沈んでいて死にたい気持ちあるでしょう」
 私は、昔から、いつもそう思いました。
だから、皆と初めて会ったとき、「もしバカなことを言って、また心の傷をさせたら、どうしよう」と心配して、ずっと黙っていました。
しかし、皆は想像より明るくて親切です。夢とか日本語の勉強とか、いろいろなことを教えてくれました。まずしく無邪気な笑顔は一生でも忘れません。
弁論を聞いた後、彼女たち三人の姿が私の頭にこびりついて離れません。どんなに難しくても、必死に見えない壁を乗り越え、宝石のような命を大切にして感謝する気持ちを抱え、勇気を持ってちゃんと自分の欠点を直面し、これらの話はそんな簡単に言うのはありません。ここにやってきて、どのような勇気と涙が必要か、想像できません。
目が悪いけど、いろいろなことに興味を持って自分ができることを探して、一生懸命頑張るので、皆は普通の人との差があまり大きくないです。心もずっと普通の人より強いと思います。
この日、私はとても感心して、涙が何度も抑えました。命とか強さとか勇気とかいうものがどんなものか分かった気がしました。自分がどうしてほしいか、どんな人生がほしいか、もっと考えなければなりません。
青木先生に、「本当にありがとう」と言いたいです。
(天津財経大学外国語学院日本語科2年 李堅心)


                     
2.川端の感想
「元気をありがとうございました!」
12月18日の午後2時、クリスマスパーティー(またの名を青木劇場と称するとのことです)に、5人の大学生とともに、参加させていただきました。期末試験で頭がいっぱいの時期に青木先生と出会った学生たちの感想は、それぞれの報告を読んでいただくとして、ここでは私自身の感想を書かせていただきます。
まず、日本から来た三人の高校生の気持ちのよさに、「来てよかった」と何度も思いました。やっぱり若い人はいいですね。私も含めて大人の笑顔はどこかにいやらしい計算があるような気がするのですが、この日に出会った3人の高校生の笑顔は本当に素敵で、会食が終わるまで、ずっと3人を見ていました。(一応言っておきますが、青木先生、私はロリコンではないですよ)
私が「気持ちよかった」と感じた理由を説明します。
大学で日本語を教えていると、「先生、面接の対策について教えてください。」という依頼がときどき来ます。そのほとんどが、日本語での応答の仕方をチェックしてほしいというものですが、実は、面接官たちが見ているのは、「何を話すか」ではなく、「どう話すか」という態度なのではないでしょうか。
実際、「日本語は上手だけれど、一緒に仕事はしたくない」という理由で就職できない人はたくさんいます。逆に、「日本語は完璧ではないけれど、それは一緒に仕事をしていく中で上達する。ぜひ、この人と一緒に仕事をしてみたい」と言われ、社会に出て行く人もいます。
このような環境で仕事をしている私にとって、今回の3人の高校生の「態度」は本当に気持ちがよかった、ということです。
では、両者の違いは、「道徳の有無」にあるのでしょうか。
私は違うと思います。私は、社会の人たちが「一緒に仕事をしたい」と思うのは、古臭い道徳的な意味での「品行方正な人」ではないと思います。
それは、今回の高校生のように、スピーチもすればAKB48の歌も歌う、あるいは、青木先生のようにお酒も飲むしコスプレショーもする、しかし、同時に、外国の視覚障害者のための日本語学校をつくり、運営を続けていくという「意志」があるかどうかの問題だと、最近の私は思っています。
三人の高校生は、日本から北京を経て天津に到着、つながっている4つの折鶴を折り、中国語での挨拶を用意した上で5分以上のスピーチをし、クリスマスパーティーでAKB48の曲をダンスつきで披露し、さらにもう一曲歌い、そして中国人ボランティアのウクレレに合わせて飛び入りで歌い、その後の食事会でも笑顔をキープし、プレゼントの抽選会の間も、私の両脇にずっと立っていてくれました。本人たちはどう思っていたのか分かりませんが、その一つ一つのことに臨む態度・姿勢が、私にはとても気持ちよく感じられました。
もう少し別の表現をすると、少なくともこの日の3人からは、「ネガティブな言葉」は連想されませんでした。これは、青木先生とお会いしているときも同じです。
私自身、現状を否定する言葉で頭がいっぱいになってしまうときが少なくありません。そして、ほとんどの場合、頭の中の言葉通りのことが実現されていき、「ほら、思ったとおりだった」ということを重ねてきました。
その私が、この3人を見ている間は、ネガティブな言葉はほとんど浮かばず、まるで心の森林浴をさせてもらったような気がしました。(ちょっと言いすぎですか?でも、パーティーが進むにつれ、自分が元気になっていくのが分かりました)
自己紹介に備えて、中国語も練習してきた3人の高校生たちが、青木先生もおっしゃっていたような「語学・相手の国の文化の理解・高度な技能」という外国人労働者の条件を備え、日本も含めたこの地球のどこかで幸せな人生を歩んでいくことを信じています。
さて、その自己紹介のとき、青木先生はすべての人の名前のリストを用意していました。そして、一人ひとりの名前を読み上げ、自己紹介をしてもらい、一人ひとりに違う質問をぶつけました。(これは、事前に準備をしていないとできないことです)
話題は幅広く、流行語(「下課=リストラ」「剰女=ハイミス、ただし、経済力+美貌+高学歴の三点を備えている女性、北京に多いそうです(いいな…)」「黄昏婚=老いらくの恋?」「週末夫婦(これは、中国語を聞き取れませんでした)」「裸婚・半裸婚=手ぶらで結婚すること(愛があれば、ですね)」「空中教室=インターネットで授業を行う仮想教室」から、収入についている色(黒・灰・白…意味は、ご想像にお任せします)、最近公開の映画(『感染列島』)、健康にいい食品(緑色食品と黒色食品)、中国人に人気のある日本の観光地(北海道―映画『狙った恋の落とし方』の影響)に及びました。
会場には天津外国語大学という天津の日本語教育のトップを走る大学の学生も来ていましたが、話題の豊富さと展開のスピードに驚いていました。
わずか20分ぐらいのことでこれだけのことを話題にできるのですから、大学生活4年間を有効に使えば、自分の進む道を歩んでいける基礎の力をつけることは絶対にできるはずだと、私も思います。
青木先生との交流を通じて、大学日本語科の学生たちの心の目が自然に開かれていくことを、これからも期待しています。
さて、そうこうしているうちに、日本から来た高校生たちのスピーチが始まりました。
トップバッターは、4つのつながった鶴を折ってくれた米原聖美さんです。
スピーチの前に髪を整えている様子を見て、私は「とてもいいなー」と思いました。私自身も、授業で教室に入る前は、身だしなみを整えます。これは、人前で話をする人の最低限のマナーであり、それが自然にできるということは、普段から気をつけているということの証明ですよね。
そして、「私は、自分の目が見えないことに対して、消極的な見方しかしていませんでした。」という最初の一言を聞いて、私は、「あ、これはいいスピーチになる」と思いました。といいますのも、この一言に、これから話す内容と結論がすべて含まれているからです。そして、スピーチの最初の一言でこれを言えるということは、結論を明確にした上で話をしている、無駄な話はしないということです。
コミュニケーションの手法には本当にたくさんの種類があるようですが、そのひとつに、「結論を先に提示する」という方法があります。もちろん、時には結論を最後までとっておくことが、相手の興味をひきつけることに繋がる場合もあるのでしょうけれど、通訳も入れると10分近い時間を、一人ではなし続ける場合には、結論あるいは結論の方向を最初に明らかにしておいたほうが、聞いている人にとっては理解しやすいのではないでしょうか。
そういう意味で、米原さんのスピーチは、単に内容がよいというだけでなく、聞いている人のことも考えた構成になっていた点が、私はとてもすばらしいと思いました。
内容については、特に「自分の苦手なことやできないこと、あきらめていたことを紙に書き出し、短期間でクリアできるものと長期間でクリアできるものに分け、早速計画を立てて取り組みました」という部分が印象に残っています。といいますのも、夢を語る人はたくさんいますが、「苦手・できない・あきらめたこと」を実際に紙に書き出し、分類し、ひとつずつ取り組んでいく人は、本当に少ないからです。(私の実践は、今、ここでは特にご紹介する必要はないかと思いますが、方向性としては米原さんと同じです)
このように、自分にできる小さいことを積み重ねていく米原さんが、何年か後に今とはぜんぜん違うことができるようになっていたとしても、私は驚かないと思います。
次は、第2位の高瀬真衣さんです。高瀬さんのスピーチも、いきなり、「私は小学校に上がる前に○○と診断されました」というクライマックスから始まりました。これも、聞き手が何を聞きたいのかということにきちんと応えているいい出だしだと思います。
といいますのも、聞き手が聞きたいのは、「その後、どのような人生をどんな気持ちで歩んでいるのか」ということであり、関心は診断名そのものにあるわけではないと、私は思うからです。
それは、もうひとつのクライマックスである、「母は、盲学校か一般校か迷ったすえに、私を一般校に入学させました。」という部分も同じです。
その診断をされたときの高瀬さんや周囲の人の気持ち、お母さんが迷った時間や心の動きなど、きちんと説明しようとしたら、それだけで何十分もかかるはずなのですが、2つともたった一言で終わらせ、次の話に移っていきました。もしかしたら、それはスピーチのテクニックというより、高瀬さんとお母さんのお二人が、すでにこの部分をある程度は乗り越えてきたということの証明なのかもしれませんが、いずれにせよ、聞いている人にとっては、気持ちを動かされるスピーチの構成だったと思います。
内容については、「できないことを追いかけるのではなく、できることを探していこう」「支えてくれた人に感謝して、生きていこう」という2つの部分が印象に残っています。
できないことをしようとして、今の自分にできることをおろそかにしている人はたくさんいます。また、自分が何かを成し遂げたときに、それを支えてくれた人のことを忘れ、孤立していく人も少なくありません。私自身、この2点を改めて、自分に言い聞かせようと思いました。
3人目は、優勝した中麻さんです。中さんのスピーチを聞いて、私は、自分が「色」を見ることができる幸せを思い出しました。そして、同じように、小学生のときに亡くなったクラスメートのことを思い出しました。
タバタ君というその友達は、毎週月曜日になると、「おなかが痛い」と言って、学校を休んでいました。私を含めた周囲の人たちは、「あれは仮病だ」と言って、まともに取り合わず、タバタ君はだんだん友達が少なくなっていきました。それが、どのくらい続いたのか、今ではもう覚えていませんが、ある日突然、「タバタ君は入院しました」と先生に告げられ、彼は私たちの前から姿を消しました。それでも、私たちは「すぐに帰ってくる」と思っていたのですが、「オーストリアコーゲンビョウ(たぶん、オーストリア膠原病)」というまったく理解できない病名を知らされ、1年ほど入院した挙句、タバタ君は亡くなりました。勉強もスポーツもできる優等生だった私は、彼のお葬式で弔辞を読みましたが、読んでいる最中に(仮病だと言っていたくせに…。お前は本当にうそつきだな…)となん度も思いました。そして、泣いているお母さんを見て、私は何も言えませんでした。
中さんが言っていたように、死んだら終わりです。そして、人は必ず死にます。「悔いのない人生を笑顔いっぱい、明るく、強く生き」ていってほしいと、心の底から思います。ぜひ、同じような悩みを抱えている人が、「明るく、強く生きていける考え方・トレーニング方法」を編み出してほしいと、このスピーチを聞きながら思いました。
今、中国では「性欲・食欲・金銭欲・出世欲」で頭に血が上っている人が大勢います。それは、「MSN中国」という有名なニュースサイトを見ればすぐに分かります。(はっきり言ってみる価値はないと私は思います)
それらの欲は私にもあります。お金は私も欲しいですし、おいしいものも食べたいです。きれいな女性も好きです。でも、それだけでニュースが埋まってしまう社会、頭に血が上ってしまうというのは、ちょっと違うような気がします。2500年前に孔子が言っていたように、「自分も周囲も幸せな成功者」を、三人のスピーチを聞いた大学生には目指して欲しいと望んでいます。

さて、次はクリスマスパーティーです。
他の神様を認めないというだめなところがあるキリスト教ですが、クリスマスというのは楽しくて、小さいときから好きでした。
そして、青木劇場のクリスマスパーティーも、やはり、楽しくて、(ちょっと誤解を招きそうな表現ですが)、神様が喜んでくれるパーティーだと思いました。(この場合の神様は、キリスト教もそのほかの宗教の神様も、自分にとって大切な人も、すべて含みます)
つらいこと・悲しいことを歌や踊りで洗い流し、再び歩き始める、という日本人の心性にもぴったりのイベントではないでしょうか。
と、ここまで書いて思ったのですが、もしかしたら、青木先生がいったん退場し、再び登場するというシーンは、天岩戸に隠れた天照大神が、外のにぎやかさにつられて再び顔を出す、ということにつながるのかもしれません。
青木先生には、ぜひ、無理のない範囲で、これからも世の中を照らしていってほしいと思います。
 閑話休題
毎日新聞社のお二人、そして3人の高校生によるAKB48の歌から、パーティーが始まりました。ちょっと残念だったのは、オーディエンスの掛け声を練習しておかなかったことです。モー娘。もそうですが、観客が曲に合わせて声をかけるあの雰囲気は、私も好きなのです。
そして、「手で触る博物館」の再現。これは、私が連れて行った5人の大学生が挑戦しました。テーマは、食べる(ちょっと心配)、さわる(こわい?)、におい(私が好きなものでした)・聞く(分かったらすごい)で、五感をフルに使うプログラムでした。
その後、ボランティアの宋さんと郭先生によるモンゴル語講座、どじょうを5秒間つかむ「野田(首相)をつかまえろ」、ウクレレの伴奏による「風になる」、劉ヘイさんによる「生簀の魚たちへのインタビュー」と進んでいきました。毎日のように集まっているわけでもないのに、これだけのプログラムが準備できるというのは、やはりここまで長い時間を一緒に歩んできた「青木梁山泊」ならではのパフォーマンスだと思いました。
そして、いよいよ、天照大神、じゃなかった、青木先生の「人類再生」です。先生がおっしゃったように、東日本大震災を経た日本人を初め、生き方や存在のあり方そのものを問いなおさないと、この地球上で生き残れないという状態を、人類は迎えているのかもしれません。人類はどのように再生したらいいのか、青木先生はウルトラマンのコスプレでその方向性を示してくださいましたが、それは、これからは国や地域どうしが争うのではなく、地球や宇宙単位で考えていかないといけない、と言うことなのかもしれません。
人間と地底人の間で悩んだウルトラセブンのように、青木先生も、人間のあり方について何か考えていることあるのかもしれませんから、それをぜひ、大学日本語科の学生にも伝えてほしいと思います。
パーティの後の食事会では、サンタクロースのコスプレをさせていただき、本当にいい経験をすることができました。正直なところ、あのようなパフォーマンスは苦手なのですが、「ここにいる人に幸せを分けられる人になろう」と自分に言い聞かせながら、プレゼントを配りました。その気持ちが少しでも届いていたらいいなと思います。
と、これで終わってもいいのですが、やっぱり最後に書きたいのは、李校長先生の歌とハーモニカです。
李先生は体調を崩されているとお聞きしておりましたが、その声の力強さと明るさには、こちらが元気をもらってしまいました。
今、私は、李先生・青木先生・3人の高校生を初めとするみなさんにいただいた元気を、教室の中と外で学生たちに分け始めています。「私の声は、学生を元気にする声だろうか」と自答しながら、授業をしています。
ひとつの学校が本当に元気になるには、まだまだ長い道のりが必要だと思いますが、それをずっと前から実現している青木先生たち・日本の高校生たちに負けないよう頑張ります。
すごくたくさんの「元気」をありがとうございました。
天津財経大学日本語科 
天津日本語学習サークル「ドーナツ」顧問 
川端敦志