天津ドーナツ

みんなで力を合わせて、天津の日本語教育を楽しく、元気にしましょう。ご意見・ご要望は左下の「メッセージ」からどうぞ。

ドーナツ初代会長のメッセージ

2011-06-28 13:15:32 | 先輩からのメッセージ
ドーナツの皆さんへ
                    2011年6月28日(火)

ドーナツ、誕生日おめでとう!(この一言は皆さんと一緒に言いたいですよ。)

皆さん、相変わらず元気で活発に日本語の勉強とドーナツのイベントを進んでいるでしょうか。
私はもう卒業して社会に出ていますよ。ドーナツから卒業してから一年間いろいろ体験してきました。今日はドーナツの二年目の誕生日ですので、何と言っても皆さんに自分の気持ちを伝えたいと思います。
皆さんも分かると思いますが、ドーナツは天津でゼロから始まった学生サークルです。天津では日本語力や人間力などを鍛えるチャンスが少ないから、また、自分たちで機会を作りたいから設立したサークルです。この過ぎ去った二年間を歩んできたドーナツを顧ると、いつもみんなと一緒にイベントを行っていた日々を心の中に浮かんでいます。最初にドーナツを準備した時期、とても大変でしたが、目標があるからこそ皆で力を合わせて頑張ってきました。今のドーナツはだんだん成長してきて、学生たちを洗練できるイベントや機会も多くなってきました。これらはすべて最初からドーナツを理解し、ドーナツを応援していただいた先生方や社会人の方々、学生たちのお蔭だと思います。皆さんもこれからドーナツはどんな成功を取っても最初からドーナツを協力してきた周りの方々を忘れないでください。将来ドーナツから卒業してもドーナツのみんなと一緒に頑張ってきたことを忘れないでください。というより忘れたくても忘れられないですよ。本当に。私は今でもいつもドーナツは今どうなっているかな、今のメンバーたちは何か困難があるかなと思っています。学校から社会に出て、自分はもう学生ではなく、会社で勉強すべきことがいっぱいあるけれども、成果物ができないと会社でいられないです。会社は社員に多く勉強させながら、成果を要求しています。社会はもう学校のようなところではなく、とても厳しい環境です。私は今社会に出ていても、心構えがあって迷わないのも、最初からちゃんとドーナツを運営してきたからだと思います。だから、皆さん今のドーナツで作った機会を大切にして、ちゃんと社会に出る前の準備をしてくださいね。今の皆さんの頑張っている姿を見て、ドーナツ最初の目標と信念をだんだん実現しそうですね。いつものように目標に向かって頑張り続けてください。(ちなみに、私は北京にいるので、いつか北京に来たらいつでも連絡してね。また、私はいつか天津に帰ったらドーナツのイベントを見に行きますよ、厳しい話をしますよ。)

最後に、日本語の勉強やドーナツのイベントなどでとても大変だと思いますが、皆体にも気を付けてくださいね。(主にちゃんと朝ご飯を食べてください。)


邱培培



ステップを踏むということ

2011-06-26 21:38:50 | ドーナツの宝
今日の日記は(も?)難しいかもしれません。



1.ドーナツの会長・副会長は、ドーナツの5%です。

2.ドーナツのメンバーは、天津市の大学生の5%です。

3.天津市の学生が、中国の5%になったら、すごいなと思います。



※5%というのは、そのほかの95%の人のために奉仕ができる人です。



夏休みに、3人の学生が実習をします。(アルバイトではありません)。

一人は、河南省から来るLさん(以前にもこの日記で取り上げました)。

Lさんは、昨年の夏も自費で天津に来て、1ヶ月の特訓を受けました。

今年は、特訓ではなく実習です。



二人目は、天津市のはずれの学校の学生です。

1年間、教えてみて、次のことが確認できたので、実習先の企業に推薦しました。

周りに何もない学校の中で、自分に必要なことを考え、努力を続けることができる

学生です。



三人目は、ドーナツの副会長です。

はじめてあった時に、すぐに副会長にと決めたのですが、

それが間違いではなかったことを、この1年で証明してくれました。

そして、私が推薦するまでもなく、実習が決まりました。



3人とも、いきなり実習のチャンスをつかんだのではなく、

ちゃんとステップを踏んで、一歩ずつ進んできました。



考えてみれば、私が推薦すれば受け入れてくださるという信頼関係も、

その企業の方との1年以上かけて作ってきました。



その日、そのときにやっていることは、小さなことかもしれませんが、

その小さなことに誠意を持って取り組んでいく、それを積み重ねていくことが、

自分の夢をかなえるためには必要なことではないでしょうか。

「それは、学生にとって一番いい方法ですか?」

2011-06-26 11:48:33 | 顧問・アドバイザーから
1.8月の世界日本語教育研究大会で、「ビジネス日本語」という分科会が設置されました。

2.日本語学校にも、ビジネス日本語コースがあります。

3.大学日本語科卒業後の進路で一番多いのは、就職です。



というような、「職場で通用する日本語」については、

多くの関心が集まるようになっているようです。



ただ、私がここで考えたいのは、

日本語教育はビジネスとして成立しているのか、ということです。



アメリカのある病院では、何かが決定されるときに、

「それは、患者にとって一番いい方法ですか?」という問いが出され、

そうではないと判断されたときには、何度でも会議をやり直すチームがあったそうです。

その結果、そのチームが担当している病棟の治癒率・回復率は、

他の病棟を凌駕し、今では病院全体がこの問いをするまでになっています。



日本のある老舗の社長も、

「三得」と言っていますが、これは、「自分・相手・地域の三者が得をするやり方で商売をする」

という意味です。



さて、大学日本語教育は、

「学生にとって一番良い方法」を選択しているのでしょうか。

そして、

「教師・学生・地域の三者が得をするようなやりかた」で行われているのでしょうか。



昨日は、ドーナツの2周年パーティーでした。

その前に行われた会議の中身、

そして、パーティー終了後に行われた新旧リーダーの

引継ぎの様子は、文字で表すことはできません。



学生にとっていちばん良い方法を追求していけばいいんだ、

それがビジネスの基本なんだということが確認できて、

本当に嬉しかったということだけ書いておきます。

2周年パーティー

2011-06-26 03:40:35 | 結果報告
ドーナツ2周年パーティーを開きました。

発足当初は、コンテストのやり方や会議の進め方そのものを
手取り足取り教えていたのですが、今では、パーティーや会議の
振り返り・前年度のリーダーからの引継ぎまで、日本語でできるようになりました。

期待が過度の要求にならないように注意しなければいけませんが、
学生は私達教師が思っている以上に、成長する力があるということを、
今日の会議・パーティー・振り返りを通じて、改めて教えられました。

新しい1年を通じて、新しいメンバーがどのように変わっていくのか、
楽しみです。

そして、1年目と2年目に、ドーナツを誰も知らない状態で
頑張ってくれたメンバーに、心からお礼を伝えたいと思います。

本当にありがとう。
君達がしたことは、少なくとも天津では誰もやったことがないことです。

多くの人はその恩恵を受けるだけですが、
それを創りだした自分達を誇りに思ってください。

いつか、ドーナツがやろうとしたことが当たり前になる時が
くると思いますが、それを0から作ったという経験を大切にしてほしいと思います。

また何かの形で一緒に仕事ができるのを楽しみにしています。

塚越恒爾さんとのQA その1

2011-06-23 08:53:17 | 日本語学習法
①  「顎を五ミリでいいから上下に動かすこと」について
Q 日本語の発音の基礎は、母音であり、顎を上下に動かすことが必要なのでしょうか。

A その通りです。口を開けるというよりも、顎を動かす発声が日本語の基本なのです。
  自然な母音ウから柔らかい母音オ、そして全開のアにいたる、ウ→オ→ア と次第に顎を開けてゆく、これが日本語のバックボーンだと考えています。アウンの呼吸の逆順ですね。

② 「ありがとうございました」について
Q ある男性歌手(紅白にも出ました)が、歌い終わった後に発した「ありがとうございました」が、何度聞いても、「あり…」にしか聞こえませんでした。 

A 凡そ「9音節」もある、感謝の言葉などは、世界中でも珍しいとは思います。
 サンキュウ シェシェ コウマルソウ スパシーバ グラッチェ ダンケ メルシイ オブリガード・・・どれをとっても短い音節で感謝の挨拶は終わるものです。日本語も“アリガトウ”で済めばよいのですが、なぜか丁寧語の“ゴザイマス”をつけないと、スタンダードとはいえません。

 これについては、若い頃、自分で3年間社会実験をしてみました。「ごさいます」を抜かしてみる実験です。
結果、相手に不愉快な顔をされた確率は、50%を超えました。現在は80才の年齢ですから、あまりいやな顔をされることがすくなくなりましたが、ゆったりしたニュアンスで声を掛ける必要を感じています。 おかしな国です。

③ 「テキストの文章を誰が一番早く読めるか」という練習法について
Q テキストの文章を流暢に読む練習のひとつとして、どれだけ早く読めるかという練習をしているのですが、これは日本語の発音の向上に役立つのでしょうか。

A 避けた方がいいでしょう。文の意味が伝わるスピードでの練習を繰り返して、少しずつ速さを獲得して行くべきです。

一つ一つの音(母音を抜かない)を出すことと同時に、意味の切れ目、切れ目の間合いが最も大切です。“聞き手”は、一つの意味のまとまりを受け取って、次の音を待ち、全体の文の意味を整理しながら理解をして行くモノです。
別の言い方をしますと、聞き手が、ショートターム  メモリー システム(Sms)で意味をまとめ、それをロングターム メモリーシステム(Lms) に送り込んで、相手の“ことば”を理解してゆきます。(Sms)で、一度に聞き取れるのはせいぜい
10単位程度です。例えば「おととい、ある男性歌手のステージのビデオを見たのですが、」という言葉を理解し記憶して
行くには、「おととい/ ある男性歌手の/ ステージのビデオを/ 見たのですが/ 」というように、Smsで理解し記憶したものを、リハーサルしながら、順次Lmsに送り込んで行くのです。
 ですから、電話番号を聞いて記憶するときも、0337713772と10単位くらいなら、Sms で記憶し、繰り返していれば覚えることが出来るでしょう。それ以上単位が増えると、繰り返す(リハーサル)が出来なくなるのです。
 こうした意味の切れ目の間合いが 相手の言葉を理解する為に極めて重要な役割を果たすのです。
この間をつなげてしまうと、聞きにくい、理解しにくい表現になるのです。逆に、この「間」が、しっかりとれている限りにおいては、全体のスピードが、あるていど速くても理解出来るものです。これは、何度もNHK技研と一緒に実験をした結果です。ともかく、“ことば”は、相手に届かなくては意味がありませんね。だから、昔徳川無声さんは「話術とは間術なり」と言ったのです。間の抜けた話は、のんびりした傾向だけではないようです。

④優しさについて
Q 教えるときには、優しさが根底にあるほうがいいのでしょうか。厳しさを根底にしたほうがいいのでしょうか。
A 教える立場での優しさもそうですが、言葉というもの自体が、相手に「届いて初めて“ことば”になる」代物ですから、ここでも優しさが基本になると思っています。

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定期テストや能力試験を鞭として勉強させている日本語教師の私が言ってはいけないのかもしれませんが、

「“ことば”は、相手に届かなくては意味がありません」。



「ことばを届けたい」「ことばをキャッチしたい(受け取りたい)」という気持ちが、

ことばによるコミュニケーションの出発点だと思うのですが、日本語教育の現状はどうなのでしょうか。



8月中旬、ここ天津で世界日本語教育研究大会が行われます。

予定されているテーマを見る限り、コミュニケーションは後回し、という傾向はこれからも続きそうです。

あくまでも現時点での推測ですが、日本語教育関係者のための研究大会であり、

日本語学習者のための研究大会ではないように感じます。



それが全く無意味だとは思いませんし、

私も各地の先生方と休講を暖めるかもしれません、

→旧交を温めるかもしれません。(授業を休みたいのかな…)



ただ、「学校で習った日本語が社会では役に立たない」

と言われるのは、単に専門用語などの語彙や文法の問題では

ないように、私は感じています。



それは、日本語学習のあらゆる場面で「伝えるべき相手」が存在していない

ということに原因があるのではないでしょうか。