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天津ドーナツ

みんなで力を合わせて、天津の日本語教育を楽しく、元気にしましょう。ご意見・ご要望は左下の「メッセージ」からどうぞ。

中国人従業員に挨拶もしない日本人幹部たち 隠れた「チャイナリスク」とは…MSN産経ニュースから

2012-06-18 10:20:31 | 顧問・アドバイザーから
対中進出した日系企業が訴えるトラブルは、ヒト、モノ、カネのあらゆる面にわたる。そんな「チャイナリスク」の中でも急増中なのが「盗難リスク」という。被害に遭って通報はしても、失敗例として社外に公表することなど、なかなかできない。そこで、いくつか実例をご紹介しよう。(フジサンケイビジネスアイ)

 中国で20年近く警備や防犯業務を手がけている上海セコムの山口忠広最高顧問は「警備員リスク」を指摘する。ある日系企業の工場内から盗まれた重さ数百キロの金属素材は、堂々と正門からトラックで持ち出されていた。警備員が窃盗犯を手引きしたのは明白だが、こうしたケース以外にも、工場内の鍵を複製して窃盗犯に売る、企業秘密の書類を深夜にコピーして売りさばくなど警備員が犯罪に手を染めるケースが多い。

 「性善説」で考える日本人は、純朴そうな地方農村出身の警備員がまさか、自ら犯罪に走るとは想定していないらしい。

 警備員に限らず、中国での企業被害の多くは「内部犯行」にあるという。「営業職の採用面接をすると、以前の勤務先では企業秘密に属する顧客リストをそっくり“手土産”として持参する応募者が少なくない」と山口氏はいう。わずかな賃金アップであっても転職を決断することに何のためらいもない。

手土産持参の社員を雇用すればいずれ、その内部犯行の被害に遭うのは自分たちだ。高度な技術やノウハウの詰まった設計図を持ち出した退職者が、別に会社を作って同じ製品を売り出すといった事例も枚挙にいとまがない。「外部から侵入した形跡のない内部犯行の被害の場合、中国の警察はなかなか取り合ってくれず、盗難保険も対象外」(山口氏)なのも困る。

 盗難も金銭で解決できる範囲なら損害もまだ限定的だが、取引先、顧客のリスト、個人情報や企業秘密を記録したパソコンが盗まれると、企業存続の問題にかかわる。最悪の場合、撤退要因にもなりうる。

 内部犯行に限らず、天井裏に仕切りがないオフィスが大半というビルの構造も問題だ。同じフロアの別のオフィスから天井裏づたいに別の企業に深夜、侵入する「下がりグモ」と呼ばれる手口が横行しているのだ。天井裏からパソコンや高価な製品の詰まった段ボールを引っ張り上げて盗むという。

 とはいえ、上海の経営コンサルティング会社、拓知管理諮詢では「日本人幹部が工場の現場などで中国人従業員に対し、どれだけ日常的に親身に接しているか。それによって内部犯行のほとんどは防止できる」とみている。日中間の人の心に開きができるほど隙もできる。

 工場の警備員や作業員に見向きもせず、あいさつもしない日本人幹部が実は、内部犯行を誘発する遠因を作っている。対中ビジネスの“落とし穴”は中国側だけにあるのではないようだ。(産経新聞上海支局長 河崎真澄)

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日本語科の4年間が、信頼関係の構築につながるのか、ぜひ先生方(特に日本人の先生方)に考えてほしいと思います。

4年目のドーナツを宜しくお願いいたします(川端)

2012-05-20 13:33:58 | 顧問・アドバイザーから
天津ドーナツを応援してくださっているみなさまへ

いつも、天津日本語学習サークル「ドーナツ」を応援してくださり、本当にありがとうございます。
おかげさまで、ドーナツも来年は4年目を迎えることができます。

3年目の今年は、天津視覚障害者日本語訓練学校とのカラオケコンテストや、
PK(勝ち抜き)スピーチコンテスト、第2回1・2年生スピーチコンテストを行ってまいりました。

どれも、今までの天津にはなかったものですが、それぞれの大学が積み重ねてきたものを
つなげていった結果、実現できたコンテストです。

また、日本人留学生や日本企業の方々の参加も、少しずつ増えてきており、
コンテストに参加した学生たちからも、喜びの声が届いております。

これも、発足当初から応援してくださっているみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました。
ぜひ、お時間や条件の許す範囲で、今後も天津の学生たちへのご支援をお願いいたします。

なお、個人的なお話になってしまいますが、私自身は、
3年目を持って、ドーナツの顧問を退くことにいたしました。

来年度以降のことは、学生リーダーたち自身が話し合って決めることに
なっておりますし、新しい顧問が必要な場合も、自分たちで依頼をしにいくということにいたしました。

これは、この3年間で大学間のネットワークができたと思われること、
また、今後は、天津の学生や地元の先生方が、自分たちで各方面と連絡を取り、
自分の手で必要な日本語学習環境を作っていってほしいと願ってのことです。

今年の後半は、少しずつ学生や各大学に仕事の主導権を渡してきましたし、
そろそろ、自分たちで活動の計画を立てて実施する時期だと判断いたしました。

この3年間は、本当に楽しく、あっという間の3年間でした。
今までご支援くださった皆様、そして、本当に多くのことを教えてくれた天津の学生たちに、
心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

末筆になりますが、皆様方のますますのご発展とご健康をお祈りいたします。


天津にて 川端敦志


イベントの見た目の成功≠学生の成長

2012-04-22 07:20:55 | 顧問・アドバイザーから
今日の日記の結論は、「一時的な成功≠成長」です。

もっと簡単に言えば、「成功=成長ではない」です。


4月21日(土)、第3回ドーナツ杯天津市外国語カラオケ大会が行われました。

中国人教師は1人も来場せず、また、観客は多くても15人ぐらいでスタッフと選手・審査員のほうが遥かに多く、

会長からも「大問題です。観客が来ません」という連絡が入ったぐらいです。

さらに、今大会の予算は、わずか200元。

マイクとスピーカーのレンタル料だけで300元というのですから、予算が足りなくなり、

結局は学生達自身に負担してもらいました。



「大会費用を負担し、スタッフとして働く。しかも、観客はスタッフより少ない」というコンテスト、

みなさんだったら「大失敗だ」と思いますか?

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私も、昨年までだったら、「大失敗のイベントだった」ということで頭が一杯だったでしょう。

事実、「コンテストを開催するときは、観客の数を記録しておくように。それが成功の一つの基準です」といい続けていましたし、会場でも「今日は何人来たかな」ということを気にしていました。



また、企業の方など、外部の方も「コンテストには何人ぐらい集まるのか」ということを、

真っ先に聞きます。そして、「270人ぐらい集まったこともあります」というと、

「それはすごい。」と感心してくれました。



でも、私はやっぱり「何かが違う」と感じていたのですが、その理由がようやく分かりました。

(こういう大事なことが分かる時というのは、本当に瞬間的なことで、しかも、偶然のように思える出来事が重なるのですね)

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やはり、「成功」と「成長」は違うものです。



ある人は、成功したことが理由で成長が止まります。

ある人は、失敗したことが理由で成長し始めます。

ある人は、成功したことが理由でさらに成長します。

ある人は、失敗したことが理由で成長が止まります。



私がドーナツで大切にしたいのは、「成長」であって「成功」ではありません。

例えば、運営資金について言えば、ドーナツが設立された瞬間から、いくつかの「人材紹介会社」や「日本語学校」から資金提供と合作の申し出がありました。北京の会社からもありました。おそらく中国で一番大きい語学学校からも、お話がありました。

しかし、それは天津の学生を「ビジネスの競争」に巻き込むことが確実だったので、全て、お断りしました。

そういうところと提携すれば「一時的な成功」を収めることはできたと思いますが、それは、学生の成長とは無縁だと私は考えたからです。

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現在、アジアで行われている「アジアサッカーチャンピオンリーグ」で、広州恒大というチームが躍進しています。

昨日は、日本のチャンピオンである柏レイソルを3-1で破りました。サッカーの専門家たちも、「広州恒大は、アジアの中でも上位に入るだろう」と言っています。つまり、「大成功するだろう」ということです。



でも、同時に、「広州恒大の成功=中国サッカーの成長」ではないという人もいて、私もその通りだと思います。

なぜなら、恒大の成功は、潤沢な資金を利用して外国人選手を集め、試合に勝ったらたくさんのボーナスを出す、というやり方が支えているからです。事実、昨日の3つの得点は、全て「3人の外国人選手」から生まれたものでした。



また、試合に勝つことでたくさんのお金を手にすることができる、というやり方は、

現在の選手のモチベーションを高めることには成功するかもしれませんが、若手の成長にはつながりません。

それは、「日本人みたいだな」という表現が「サッカーが下手な人」という意味だった頃の日本と同じで、

小さいときからサッカーに親しむ環境が整わないからです。

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ドーナツという天津市の日本語学習サークルを設立してから、もうすぐ3年になります。

その間、外部の人たちから「すばらしい」と言われるようなイベントも、何度か開催しました。

清華大学の有名な先生や国際交流基金の先生を天津に呼ぶことにも、「成功」しました。



でも、その間、ずっと「これが、天津の学生にとって一番良いことなんだろうか」という疑問が

消えませんでした。

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昨日のカラオケコンテストには、観客はほとんど集まらず、「失敗だった」と考える人のほうが一般的だということは、私にも分かります。

しかし、その会場にいるスタッフ・選手・選手の友達・審査員の方々が、「成長したのかどうか」ということを基準にするとしたら、私は、「成功だ」と言っていいと思います。

それは、「緊急ではないけれど重要なこと」を積み重ねてきた結果ですし、もし、同じスタッフ・同じ選手が、

来年度にもう一度カラオケコンテストを実施したら、ということを想像してみればすぐに分かります。

おそらく、今回の審査員の方々の殆どが、「このメンバーでもう一度やったら、もっと良い大会になる」と言ってくれるでしょう。

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ドーナツは、これからも「世間でもてはやされる成功」と「学生の成長」は違うということを、徹底して追及していきたいと思います。

人柄が農作物の質を決める…NHK番組『プロフェッショナル』から

2012-04-11 08:58:54 | 顧問・アドバイザーから
清明節の間に、NHKの『プロフェッショナル』やテレビ東京の『和風総本家』を見続けました。

目的は、「本当に良い仕事をしている人」に学ぶためです。



その番組(つまり、その人たちの仕事の仕方・生き方)から学んだことは、

本当にたくさんあって、自分がいかに楽な仕事をしてきたかということがわかりました。



「宝物は、自分のすぐ足もとにある」というテーマで、あるデザイナーが出演しました。

その人がパッケージをデザインしたら、まったく売れなかったものが1年間に20億円も売れるようになった、

というぐらい、有名な人です。



その方にはポリシーがあって、仕事を引き受けるかどうかは、

「相手の人柄で決める」そうです。

理由は、「人柄が良い人が作ったものじゃないと、本当にはおいしくない」から、ということでした。

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私は、農作物の出来が人柄に影響されるということを、信じていませんでした。

それは、学生がどんな人間になるのかということは、教師の人間性とは関わりがないと考えていた、

ということでもあります。



「作物を育てる技術さえあれば、いい作物ができるんじゃないか」

「教える技術さえあれば、学生の成績は伸びるんじゃないか」

そう思っていましたし、実際、日本での大学受験予備校で学科主任をしていたときには、

3年連続で筆記試験の記録を更新していました。

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人柄だけで、日本語が教えられるとは思いません。

授業をする技術は、絶対に必要です。



ただ、そのことと、学生達がどんな人間になるのか、ということはまったく別のことではないだろうか、

と思い始めています。

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おそらく、授業のテクニックを盗むことはできるのでしょう。

そして、オリジナルのレベルに達していなくても、

何も知らない人を相手に、自分の授業はすばらしいと宣伝することも、できるのでしょう。



しかし、そういう教師に育てられた学生は、ほとんどの場合、同じことを繰り返します。

それも、無意識に、です。

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ある地域の教師会は、何もない状態から本当に苦労して教師会を作った女性教師を、

その地域から追い出しました。

それも、「授業の研究なんて面倒くさい」という理由で、です。



一番苦労をした人を追い出すような人たちでも、授業のテクニックを磨くことはできます。

でも、それは偽者だと私は思います。

なぜなら、そういう人たちの頭にあるのは、「人に見せるための授業のテクニック」であり、

「学生の中身がどう変化しているのか」ということを見極めることはできないからです。

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本当にいいものを作っている人は、どんな分野でも「心」という言葉を使います。

一番たいへんな仕事をした人を追い出すような人たちには、決して分からないことなのかもしれませんが、

日本語教師も、テクニックと同時に、「心を込める」という言葉の本当の意味を考えてほしいと思っています。

豊かな発想が生まれる考え方

2012-04-08 03:19:09 | 顧問・アドバイザーから
何かを目指して、それに向かっていくと、それは結局チープなものにしかならないと思うんですよね。

効率優先とか、最短解みたいに見えるけれども、それは本当の解ではない。

「今からあの地点に行くためにどうしたらいいか」というとき、人間が持つ想像力ってたいしたことないと思うんです。

設計ではなく発生してきたものが残るのではないでしょうか

(アートディレクター、水野学さん)

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「目標を決める」こと自体はとてもいいことだと思いますが、目標によっては、人生が貧しくなってしまう可能性もあると私も思います。それ以外のことが視野に入らなくなるからです。

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芸術作品を作るときも、

「一つだけ、いい作品を作ってください。チャンスは1回です。」と言われたチームより、

「とにかくたくさん作って、いいものだけ残してください」と言われたチームのほうが、結果は良かったという報告もあります。



無計画に何でもやり、やりっぱなしで終わるというのでは困りますが、

そのときそのときのベストを尽くし、改善点も探るという努力をするのであれば、

必要だと思うこと・やってみたいと思うことにどんどんチャレンジして、その中から自然に残っていくものを

磨いていくというやりかたのほうが、私はいいものが残るように思います。



ドーナツという日本語サークルが、スピーチコンテストやカラオケ、留学生との交流会、考えるための日本語ゼミ、就職対策講座…などのいろいろな活動に取り組んでいるのも、何が本当に天津の学生に必要なのかを探るためです。

また、それぞれの活動のやりかたも、「これはスピーチコンテストではない」と言う人もいるぐらい、いろいろなやりかたを試しています。



国際交流基金の日本語教育専門家も、「10のことをやって2ぐらい残れば上出来ではないか」とおっしゃっておりました。

「お百姓さん」という言葉も、「100の種類の作物を育てる人」という意味だそうです。

それは、「一つの作物だけを育てていたら、その作物が不作だったら大打撃を受ける。それを避けるため」でもあります。



本当にいいものを残したい・生き残りたいと思うからこそ、よく考えた上で、いろいろなことに取り組んでいる、それが今のドーナツです。