TIBと仲間たち

TIB(トロピカルインモラルボーイズ)と素敵な仲間たちのブログです。

オレンジ

2019-10-05 18:12:04 | 日記
 こころにかさぶたができます。何度も何度も自分で傷つけるからです。身体のキズと違って治るのが遅いので、つい早めに剥いでしまいます。剥いだ後に赤い血がプツプツと現れ、膨れ上がります。単独で大きくなったり、隣と重なって低くなったりします。それを眺めながら、一つ一つのキズの痛みを思い出しつつ涙を流します。瞬きもしないのに涙は頬を流れキズへと落ちてゆきます。赤い塊に涙がぶつかると、ヘパリンでも混ぜたかのように、塊は溶けてゆき、血と涙は混じり合います。そのオレンジの液体はカラダを染めながら流れてゆきます。
 年に何度か僕の住んでる街がオレンジ色に染まります。夕焼けのように空だけがオレンジ色になるのではなく、街全体がです。僕の心封じた路地からでもそのオレンジは優しく、暖かに感じます。大嫌いだった街が一瞬愛おしく思えます。誰かが裏切ったあの窓も、僕を守ってくれるあの神社の鎮守の森も、夕方の混雑で汚れた通りも優しいオレンジ色に染まるのです。
 子供の頃よく虹の絵を描きました。『せきとうおうりょくせいらんし』早世した叔母が僕に教えてくれた呪文。叔母の残した色鉛筆の橙と書いてあるヤツが僕のオレンジです。虹は日本では7色に塗りますが、6色や5色に、果ては2色に塗る国もあると大人になって知りました。僕の虹は他の人に比べいつも暗い感じがしていました。これも大人になって知ったのですが、普通虹の下には希望とか夢とか明るい未来が埋まっているらしいのです。僕の虹下には、苦しみや悲しみや憎しみを埋めてあり、虹はそれらを吸い取ってくれると思っていたからなのです。

オレンジ

夕暮れ ビルの影長い路地 街を密かに切り取って
誰にも見せられない思い 折りたたむ場所
何かを背負って 足取り重く 進めない毎日
知らず知らずここへ来て 心開いてみる

とにかく一歩踏み込んで 言い出す勇気
壊れてしまう前に 逃げ出す勇気
『どちらも正解だね』と言われて塞ぎ込み
何も結果残せない僕へのサヨナラ

ささくれた心は身体のいたるところ斬りつけて
血と涙で染め上げる オレンジ色に


記録的な大雨で 吹く風は少し冷たく
今まで積み上げて来た気持ち あっさり崩れ落ちる
生き急ぐように 速度上げ続ける人たち
置いてけぼりは覚悟で 僕は歩を緩める

誰か蹴落としたかもしれない わがままな喜び
自分が死に誰かが生きる 歪んだ喜び
路地から見上げれば あっけらかんと
空はオレンジ色に包まれて

ささくれた心に染み込んで 何故か優しいのです
血と涙で染め上げたオレンジ色に似て


朝 雨上がり 街を覆う雲 釣り上げる虹
血と涙で染め上げたオレンジ色隠す
血と涙で練り上げたオレンジ空へ投げる
オレンジ虹へ還る
 
コメント
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