こちらもDVDにて。
クリスティアン・ムンジウ監督、第60回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞、2007年、ルーマニア。
舞台となるのは、チャウシェスク大統領独裁政権下のルーマニア、1987年。今から27年前、ムンジウ監督は1968年生まれなので、実際には19歳の年だ。
人口増加政策により妊娠中絶が禁止されている中、ルームメイトの闇手術のために奔走する、女子大学生の話。
ただこれは、成長物語とか、友情の話とか、生命倫理の話ではないらしい(そういう面もくみ取れるかもしれないけど)。「くぐり抜けてきたあの時と、あの人達の、その細部を今一つ一つ拾い上げて、フィルムに焼き付ける」という丁寧かつ冷徹な正視法による記録作品に思える。
ヨーロッパの人は、手を伸ばせばすぐに触れられる隣人として、すぐそばにあった現実としてこの作品を観たんだろうか。
冷徹というのは、なぜそう思ったんだろうか。
置かれた状況も苛酷に見えるけど、どこにでもある(当然自分にもある)人間のいやらしさが、人を生き残らせているようにも見えて、なんだかどうもな、と思うのでした。『汚れなき祈り』と言い、ムンジウ監督は若い女性の話がつづくが、その間男性は何をしていたんだろうか。社会状況と女性像の柔らかさの次には、柔らく揉まれる男性像も見てみたいという気がするなあ。なんのことやら。
クリスティアン・ムンジウ監督、第60回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞、2007年、ルーマニア。
舞台となるのは、チャウシェスク大統領独裁政権下のルーマニア、1987年。今から27年前、ムンジウ監督は1968年生まれなので、実際には19歳の年だ。
人口増加政策により妊娠中絶が禁止されている中、ルームメイトの闇手術のために奔走する、女子大学生の話。
ただこれは、成長物語とか、友情の話とか、生命倫理の話ではないらしい(そういう面もくみ取れるかもしれないけど)。「くぐり抜けてきたあの時と、あの人達の、その細部を今一つ一つ拾い上げて、フィルムに焼き付ける」という丁寧かつ冷徹な正視法による記録作品に思える。
ヨーロッパの人は、手を伸ばせばすぐに触れられる隣人として、すぐそばにあった現実としてこの作品を観たんだろうか。
冷徹というのは、なぜそう思ったんだろうか。
置かれた状況も苛酷に見えるけど、どこにでもある(当然自分にもある)人間のいやらしさが、人を生き残らせているようにも見えて、なんだかどうもな、と思うのでした。『汚れなき祈り』と言い、ムンジウ監督は若い女性の話がつづくが、その間男性は何をしていたんだろうか。社会状況と女性像の柔らかさの次には、柔らく揉まれる男性像も見てみたいという気がするなあ。なんのことやら。