tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『アデル、ブルーは熱い色』

2014-08-14 22:13:39 | 映画-あ行
 アブデラティフ・ケシシュ監督、2013年、フランス。第66回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。


 大河ドラマだな、と思った。

 二人の女優さんの迫真の演技は、話題のセックスシーンだけではなく、アップのアデルはほんとうにすぐそこにいるようだった。

 人生の、ほんの一時、一時というより一滴くらいなもの。たかだか4、5年の間のことを、これ程までに押し広げて、まさにアップにしたように描けるのは、やはり20歳前後のことだからだろうか。う、美しい。


 そしてインテリはインテリを好む。お家柄っちゅうのは、いやすごいね。エマもまた、野心的な若い売り出し中の画家なんだから、許してほしい。その冷酷さを。アデルのふつつかさだけのせいではない、エマの野心もまた、別れを引き寄せたし、それを正当化する原因となる。

 アデルが文化系家庭出身のインテリ文学少女で、ブルーの髪のエマが、その日暮らしの肉体労働者、という逆(とも言えないけど)の立場だったら。そしたら…、あまり話が面白くないんだろうなあ。