tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『八月の鯨』

2013-08-03 21:09:00 | 映画-は行
 この描かれた一日は、老姉妹にとって、特別な一日だったんだろうか。それとも、似たような日々の中の、ありふれた一日なんだろうか。

 どっちでも良いけど。良くないかな。

 それよりも、こうやって少しずつ違うバージョンの色んなことを繰り返して、そうやって一日一日は過ぎてゆくんだなあと、感慨深く思った。
 それで、一日一日が過ぎてゆく間に、人は老いてゆくんだなあ。きっと。少しずつ違うバージョンの一日一日。この言い方いいな、古き良き言い方って感じがして。

 それでもこの一日には色々あったけれど。映画の中のことです。自分のことじゃないですよ。

 リリアン・ギッシュ演じるセーラが、もう整える場所もないのに、部屋の中を見渡し、クッションを持ち上げて叩いてから戻す場面が、印象的だった(表面のへこみ具合がほんの少し変わったくらいで、ほとんど意味はない)。そういうのって好きだ。
 決まったものが決まった所に。部屋の壁に差した手紙も、何十年もそこにあるんだろう。もう読むわけじゃないんだろうな。

 リンゼイ・アンダーソン監督、1987年、アメリカ。リリアン・ギッシュが妹役で、ベティ・デイビスが姉役。ほんとの歳は、ギッシュが12歳上らしいけど。

 (1988年に岩波ホールで31週間上映し、連日満員だったという。岩波ホール創立45周年記念上映のニュープリントが、他の映画館に回って来た!大画面で観られて嬉しかった。)


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