きなこは言いました
「どうせ一人で死んでいくもんだ」
私は言いました
「そんな事はわかってるわよ。分をわきまえてるつもり」
「何度も言い含められて泣きそうになってたくせに」
きなこは目を閉じながら言いました
「一瞬ね。一瞬ね。あたたかい輪の中に入った気がしたものなのよ」
「あんたはまだまだ甘いね。」
「うるさいわねえ。寝てるなら寝てなさいよ。人の心の中をかき回すようなこと言うもんじゃないわよ」
「どうせ一人で死んでいくもんだ。いい加減に悟ったらいいものを」
猫族に言われるとぐうの音も出ないな。
「また強くなるわよ」
「強く一人でがんばれ。あんたにはがんばれという人は山ほどいるだろ?」
「いるよ。」
「ここで休んだらいいって言う人とはね、今回は無理だけど、またの機会に命をもらったら、そんな人に出会うといい。」
「きなこ。あんたは前から私の心のなかに勝手に入ってきて色々言うけど、私はね、希望とか夢とか。そういうものを信じているの。いいのよ。私の世界の中ではね、信じてもいい登場人物だらけなのよ。この世でもね、あり得ないくらいにありがたい事をして下さる方々はおられるの。私はね、自分の分をわきまえながら、ちゃんとした姿勢で生きていくのだから。楽しいのよ。」
「僕たちも達観しているからこそ楽しい。暑い昼間も真っ暗な夜中も。追われたりいじめられたりしても。誰かが情をかけたとしても」
「そうなの?情をかけてもらったらやっぱり信じるでしょう?」
「それは違うね。気まぐれが本物かを見極めた者だけがそんな事は言えるものだ。」
きなこは大きなあくびをして目を少し開けて私をじーっと見ました。
そしてわたしの足下に来てくっついて
にゃあ~
と、ひと鳴きした
私は何だかわからないのだけれど
涙がつ~っと出ました
きなこは優しいね。

今日のきなことの会話。
彼はちょっと哲学的な性格だ。
午前中サザエが来ました。
ありがたい
どう料理するのかなぁ?
フライパンで蒸し焼き?
茹でる?
わかんないよ。
そしたら福知山のお友達が
レンジでチンするのよと。
へえ。何分くらいするのかなぁ?
爆発しないのかなぁ?
サザエなんかめったに頂いたことなくて
海が近くなると
料理の仕方わかんない食材も頂きますから
ひとつずつ覚えていこう。