トム wish

人生経験がすこしだけ豊富なトムの日常生活や おもしろ談話などで構成してます。

小西家 トムの母は強かった

2009年10月16日 03時35分35秒 | 日記
これは父の勲章だが 実戦時に授与した勲7等だ 後に勲6等を授与しているが
それは兄が所持している 父の口癖は 俺は道端にあるお稲荷さんやお地蔵さん
よりも位は上だ。 正位が上なので冗談でそんな事を言っていたのだろう

子供の頃にお稲荷さんの社の前を通る時に聞かされたので
以来 頭を下げることをしない 変な癖が付いてしまった

祖父は勲2等を授与されているが これこそ命を懸けた勲章だろうと
思う 203高地と言ってもご存知ないと思うが日露戦争でロシア軍の
トーチカから発射される 水冷式機関銃弾に被弾して負傷した

血の海に倒れている祖父は そこでもう終わりだと思ったらしい
しかし 生き運があったのだろう 仲間の兵隊に搬送されて
一命を取り留めた 私は祖父に瓜二つと言われてきたので
自分のことの様に その話に聞き入っていた記憶がある。

東京生まれの母の家系は会津藩の家老職で 父の家系とは違い爵位を持っていた
母の伯父が 陸軍中将だったので何かと恩恵を受けたことも
有ったみたいだ 

戦後 母が自分の兄弟の為に戦死者名簿を探し回り 不可能と思われた
叙勲を成し遂げたことは 畏敬の念を持つに値する 今でも多くの方が
叙勲どころか 墓さえ無く打ち捨てられたままだろう

母に聞いたことがある どうしてそこまでやるの?すると母は
これは私が一人生き残った証として やらなければならない義務があるのよ。
 
そんな母が叙勲されて東京から帰ってきた日に 父が珍しく赤飯を炊き
お神酒を用意して母を迎えた 酒はあまり飲めない母だが その日は
少し酔っていた
何かをやり遂げたと思っていたのか 母は短命で50年の人生を静かに終えた。






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