走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

常にお客様を気づかう

2011年03月07日 21時06分38秒 | 職場の出来事
 本市には広聴機能として「わくわくメール」という仕組みがある。
組織として、苦情や住民ニーズなどを情報共有するという点では画期的なものだと思っている。
だが、ときどき内容によっては心が萎えることがある。

 最近、私の職場について書き込みしていただいた。
「道後支所の職員はダラダラしている」
かなり憤慨された内容の文章が続き、最後にこのご指摘である。
事情を聞いてみると、まずウチで管理していない情報だったということ。
そこで担当課に電話連絡し、その電話を変わってもらったということであった。
ただ、その情報がタイミング的に出せないものだったらしく、結果的にはそのお客様を怒らせてしまい、メールをいただくこととなった。
いたしかたない。諦めるしかない。

 そんなおり、次のようなお話をいただいた。

 ある送別会での出来事。
 隣に座った女性が
 「今はどちらにおられるのですか?」
 「道後支所です」
 「そうですか。道後支所といえば素敵な職員さんがおられますよね」
 「どういうことですか?」
 「実は、私の友人が長い離婚調停を終え、ついに離婚届を出すことになり、
  道後支所にいったそうなんです」
 「何か失礼はありませんでしたか?」
 「いえいえ、とんでもない。とてもよくしていただき、心身ともに疲れていたの
  ですがやさしく対応してくれたので救われたというのです」
 「それはよかった」
 「それがね、その後の話があって...」
 「どうしました?」
 「覚悟はしていたのですが、離婚届を出し、支所を出たとたん涙が止まらなかった
  というのです」
 「そうでしょうね」
 「そして、独りぼっちになった彼女は、悲観して自殺を考えたんだそうです」
 「え!!」
 「それがね自宅に帰り、どうやって死のうかと考えていたときに一本の電話が
  鳴ったそうなんです」
 「はい...」
 「電話の内容は『道後支所の○○です。大丈夫ですか?説明不足な点がありました
  のでご連絡を差し上げたのですが、よろしいですか』と。正直申し上げますと、
  それほど重要な内容ではなかったということなのです。でも、彼女はこみ上げる
  涙を抑えながら説明を聞いたそうです。そして、何度もお礼を言ったそうです」
 「それからどうなされたんですか?」
 「彼女は『大丈夫ですか』の一言で我にかえったというのです。孤独感と焦燥感
  から、自分などどうなってもいいといった自暴自棄からの自殺願望が、その
  一言で私を心配してくれている人がいてくれるということに気付いたときに、
  (自殺を)思いとどまれたと」
 「それはよかった...」
 「こちらこそ、お礼を言わせて下さい。私にとってもかけがえのない友人なの
  ですから」
 「いえいえ、とんでもないです」
 「本当に道後支所には素敵な職員さんがおられるんですね。私も用がある時は
  道後支所に行かせていただきます」
 「はい、どうぞ、どうぞ。お待ちしております」

 上司として、こんなに誇りに思うことはない。
 事務的に仕事をしていたら気付かなかっただろう。
 また、一本の電話が人の命を助けることがある。
 常にお客様を気づかう。
 その気持ちがとても嬉しい。
 この職場で仕事ができることの幸せを噛み締めることができた。