風天道人の詩歌、歴史を酒の肴に

短歌や俳句の鑑賞を楽しみ、歴史上のエピソード等を楽しみます。
比べて面白い 比べて響き合う 比べて新しい発見がある

比歌句 その八 東

2018年03月06日 | 和歌

春の野にすみれ採(つ)みにと来(こ)しわれそ野をなつかしみ一夜寝にける

  山部 赤人(やまべのあかひと)

「私は、春の野にすみれを摘みにやってきた。(若い頃、よく遊びに来た野原だ。)懐かしさで気持ちがいっぱいになり、一晩この野に泊まったよ。」

この歌を読んで、私は何かを忘れてしまっているような喪失感を感じた。

はっきりと言葉表現するのは難しいのだが、自然と接することの喜びの喪失ではないかと思う。花見だって、桜の木の下で酒を飲めば良いってもんじゃあない。

そして、パソコンやスマホをいじってばかりじゃあだめなんだ。そういうことだろう。

赤人は、なんて素直で素敵な心を持っているのだろう。

少しでも赤人に近づくために、まずは、草木に親しむことを心がけようと思う。そして、詠おうと思う。歌の上手い、下手なんて言うのは二の次だ。