春の野にすみれ採(つ)みにと来(こ)しわれそ野をなつかしみ一夜寝にける
山部 赤人(やまべのあかひと)
「私は、春の野にすみれを摘みにやってきた。(若い頃、よく遊びに来た野原だ。)懐かしさで気持ちがいっぱいになり、一晩この野に泊まったよ。」
この歌を読んで、私は何かを忘れてしまっているような喪失感を感じた。
はっきりと言葉表現するのは難しいのだが、自然と接することの喜びの喪失ではないかと思う。花見だって、桜の木の下で酒を飲めば良いってもんじゃあない。
そして、パソコンやスマホをいじってばかりじゃあだめなんだ。そういうことだろう。
赤人は、なんて素直で素敵な心を持っているのだろう。
少しでも赤人に近づくために、まずは、草木に親しむことを心がけようと思う。そして、詠おうと思う。歌の上手い、下手なんて言うのは二の次だ。