風天道人の詩歌、歴史を酒の肴に

短歌や俳句の鑑賞を楽しみ、歴史上のエピソード等を楽しみます。
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冥(くら)きより 和泉式部 (比歌句 十 人)

2018年03月15日 | 和歌

冥(くら)きより冥き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月 和泉式部

 私の意訳は以下の通り。

「俗世の中で無明なるままに生活し(仏道の修行に精進こともないままに)、今後も俗世の生活に望みを持ち、暮らしていく私だとは思いますが、どうか、山の端に出た月が辺りを照らしているように、ご上人様、私を守り、お導き下さい。」

普通の感覚であれば、「迷妄の道を進んでいる私です。明るい道(出家)へと進みたいのですが、主人や子供がおり、この道を脱することができません。」と、言葉を丸くするところだが、和泉式部には言葉を丸くする素振りもない。<冥(くら)きより冥き道にぞ入りぬべき>とはよく読んだものだ。こういう率直さが、与謝野晶子へと通じている。

冥(くら)きより冥き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月 母

夜の帳(ちやう)にささめき尽きし星の今を下界の人の鬢のほつれよ 娘(姉)

とほき世のかりよびんがのわたくし児(ご)田螺(たにし)はぬるきみづ恋ひにけり 息子(弟)

というのが、私の比歌句の並べ方だ。