風天道人の詩歌、歴史を酒の肴に

短歌や俳句の鑑賞を楽しみ、歴史上のエピソード等を楽しみます。
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春雨や 与謝蕪村 (比歌句 12 右)

2018年03月18日 | 和歌

春雨や小磯の小貝ぬるゝほど 与謝 蕪村(よさ ぶそん)

春雨とはどういう雨か?という質問に対するベストアンサーのような句だ。

降りみ降らずみ、温かさを感じさせる雨。「小(こ)磯の小(こ)貝」とオ音を重ねてしめやかなリズム感を出している。

この貝は、貝殻なのか?私の解釈は以下の通り。

「ああ、穏やかな、霧のような春雨が降ってきた。静かな磯の水面に雨が優しく当たり、海面に水泡(みなわ)が出来ては消え、出来ては消えている。水面下の小さな貝が揺らぐように見えるほど、優しい水泡だ。」