風天道人の詩歌、歴史を酒の肴に

短歌や俳句の鑑賞を楽しみ、歴史上のエピソード等を楽しみます。
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柿くへば  正岡子規(比歌句 19 左)

2018年04月03日 | 和歌

柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺        正岡子規(まさおか しき)

 

「(古都(奈良)を訪れた。そこで、)柿を食べていたら、法隆寺で突く鐘の音が聞こえた。」

柿を食べることと、鐘の音が聞こえることとの関連のなさ、また、<法隆寺>が置かれた投げやり感。どうしようもなく、面白いと思っていた。

ある日、ふと、能因の<山里の春の夕暮きてみれば入相の鐘に花ぞ散りける>と<柿くへば>が同時に頭をよぎった。

<柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺>まさに俳になっている。

柿は和歌や俳句と共に子規の大好物。

「我死にし後には」との言葉を添えて<柿喰ヒの俳句好みしと伝ふべし>とも詠んでいる。