柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規(まさおか しき)
「(古都(奈良)を訪れた。そこで、)柿を食べていたら、法隆寺で突く鐘の音が聞こえた。」
柿を食べることと、鐘の音が聞こえることとの関連のなさ、また、<法隆寺>が置かれた投げやり感。どうしようもなく、面白いと思っていた。
ある日、ふと、能因の<山里の春の夕暮きてみれば入相の鐘に花ぞ散りける>と<柿くへば>が同時に頭をよぎった。
<柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺>まさに俳になっている。
柿は和歌や俳句と共に子規の大好物。
「我死にし後には」との言葉を添えて<柿喰ヒの俳句好みしと伝ふべし>とも詠んでいる。