風天道人の詩歌、歴史を酒の肴に

短歌や俳句の鑑賞を楽しみ、歴史上のエピソード等を楽しみます。
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つり鐘の 正岡子規(比歌句 24 左)

2018年04月16日 | 和歌

つり鐘の蔕(へた)のところが渋かりき 正岡子規(まさおかしき)

 

『古典詞華集一』で蕪村の<池田より炭くれし春の寒(さむさ)哉>の鑑賞を読んでいたら、

子規のこの句が浮かんできた。

 

「渋い」というのは、渋柿の渋さではない。甘柿でもとても甘いものとあまり甘くはないが柿の風味がするものがある。その風味を“渋み”と呼んでいる。(表現力不足で情けない。)

子規はその渋い柿が好物だったようだ。

で、頂いた「つり鐘」という種類の柿は甘い柿だったのだろう。お礼方々そのことをそっと揶揄するように、蔕のところだけを褒めたのだ。


池田より 与謝蕪村(比歌句 24 右)

2018年04月16日 | 和歌

池田より炭くれし春の寒(さむさ)哉 与謝蕪村(よさぶそん)

 

『古典詞華集一』 山本健吉 小学館より

 

「池田は摂津池田で、蕪村門の俳人も多かったが、古来、池田炭と言って炭を名産とする。その門下の誰かから炭を送って来たのだが、それを感謝するとともに、その親切を少し揶揄する心があったという木村架空説(蕪村夢物語)は面白い。

ただ、炭というのなら、近くの鞍馬でも八瀬大原でもいいが、池田は伊丹と並んで、古来、有名な酒造地だ。それが酒だったらなお嬉しかろうと、少し気の付かぬところを、春寒をもって諷した。(中略)架空は句中の「池田」の二字が動かないのは、全く蔭に酒にあるのだという。」

 

「春の寒さ」は、気が利かねえなあってことだったんですね。でも蕪村と池田の門下とは、気の置けない仲である事も分かる。この句を頂戴して、池田の門下生は、早速、酒を届けただろうか。

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