池田より炭くれし春の寒(さむさ)哉 与謝蕪村(よさぶそん)
『古典詞華集一』 山本健吉 小学館より
「池田は摂津池田で、蕪村門の俳人も多かったが、古来、池田炭と言って炭を名産とする。その門下の誰かから炭を送って来たのだが、それを感謝するとともに、その親切を少し揶揄する心があったという木村架空説(蕪村夢物語)は面白い。
ただ、炭というのなら、近くの鞍馬でも八瀬大原でもいいが、池田は伊丹と並んで、古来、有名な酒造地だ。それが酒だったらなお嬉しかろうと、少し気の付かぬところを、春寒をもって諷した。(中略)架空は句中の「池田」の二字が動かないのは、全く蔭に酒にあるのだという。」
「春の寒さ」は、気が利かねえなあってことだったんですね。でも蕪村と池田の門下とは、気の置けない仲である事も分かる。この句を頂戴して、池田の門下生は、早速、酒を届けただろうか。
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