風天道人の詩歌、歴史を酒の肴に

短歌や俳句の鑑賞を楽しみ、歴史上のエピソード等を楽しみます。
比べて面白い 比べて響き合う 比べて新しい発見がある

このわれを 太田水穂(比歌句 27左)

2018年04月23日 | 和歌

このわれを父と思ひてひとすぢにたよる我が子に吾れもたよれり 太田水穂(おおたみずほ)

 

「この私を父親だと思ってひたすらに頼って来る我が子に、私も生きる縁(よすが)として頼っているんだよ。」

この歌は、太田水穂とその子の間柄が分からないと分かり難い歌だ。

亡兄の第三子青丘(八歳)のときから引き取って養育している。その間柄が分かると「このわれ」の意味が判然としてくる。

 

父母に手をば引かれてうれしきか此の子は足をあげつゝぞゆく

という一首を背景に置くともっと素晴らしく心に響く。