山深み落ちて積もれる紅葉葉(もみぢは)の乾(かは)ける上に時雨(しぐれ)降るなり 大江嘉言(おおえのよしとき)
この歌とは、『コレクション日本歌人選 能因』 高重久美 笠間書院 を読んでいる時に出逢った。
能因が歌の師、藤原長能(ながとう)に手本とすべき歌を尋ねたところ示された歌だという。
とても分かり易く情感溢れた歌だ。「山奥に紅葉の落葉が乾いて積もっている。」という情景がまずある。そして、時雨(秋の末から冬の初めごろに、降ったりやんだりする小雨。)が降ってくるという動きが歌われている。文字では、歌を詠んでいる人の姿は直接的には表現されていないが、「降るなり」で作者が直接その情景を見ていることが察せられる。
三十一文字をフルに活用し、静から動へと続く秋の美しさを描いた叙景歌だ。
秋の歌を何故、今?
それはあしたのお楽しみ。