ブランコと言えば、蘇東坡 (そとうば)の「春夜」が浮かぶ。
春宵(しゅんしょう)一刻、直(あたい)千金。
花に清香有り、月に陰有り。
歌管の楼台、声細細(こえさいさい)。
鞦韆(しゅうせん)の院落、夜沈沈たり。
あまりにも有名な詩ですので、ちょっとに羽目を外した意訳を試みます。
春の夕暮れ時は、金銭では購えない価値があると思う
桃の花は甘い香りを漂わせ、昇り始めた月の光が庭園の中に影を落とし始めている
高樓からはニ胡の音色と共に歌声が聞こえる。耳を澄ませて聞いていると、女性がしめやかな声で、春を迎えた喜びを歌っている
そのあまい歌声が幽かに響く庭園のブランコに、夜は深々と沈んでゆく