風天道人の詩歌、歴史を酒の肴に

短歌や俳句の鑑賞を楽しみ、歴史上のエピソード等を楽しみます。
比べて面白い 比べて響き合う 比べて新しい発見がある

春宵一刻 直千金 蘇軾(蘇東坡)(比歌句 21 天)

2018年04月06日 | 和歌

ブランコと言えば、蘇東坡 (そとうば)の「春夜」が浮かぶ。

 春宵(しゅんしょう)一刻、直(あたい)千金。

花に清香有り、月に陰有り。

歌管の楼台、声細細(こえさいさい)。

鞦韆(しゅうせん)の院落、夜沈沈たり。

 

あまりにも有名な詩ですので、ちょっとに羽目を外した意訳を試みます。

 

春の夕暮れ時は、金銭では購えない価値があると思う

桃の花は甘い香りを漂わせ、昇り始めた月の光が庭園の中に影を落とし始めている

高樓からはニ胡の音色と共に歌声が聞こえる。耳を澄ませて聞いていると、女性がしめやかな声で、春を迎えた喜びを歌っている

そのあまい歌声が幽かに響く庭園のブランコに、夜は深々と沈んでゆく