風天道人の詩歌、歴史を酒の肴に

短歌や俳句の鑑賞を楽しみ、歴史上のエピソード等を楽しみます。
比べて面白い 比べて響き合う 比べて新しい発見がある

万緑の 中村草田男(比歌句 29右)

2018年04月26日 | 和歌

万緑(ばんりょく)の中や吾子の歯生え初(そ)むる 中村草田男(なかむら くさたお)

 

「山々が若葉の新しい緑色で覆われ自然界が若やいだ時に、私の子供の歯も生え始めた。」

草田男は自分の子供が育ってゆくことの喜びを万感の思いで詠んでいる。

歌句を詠むためには、素直さが必要であることが分かるが、その前に自分の人間性を高めていかなければ、素直さは素晴らしさにはならないことが分かる句だ。

こんな風に詠われた子供が、将来この句を読んだ時の喜びが想像される。