ツルノリヒロの生活と推理

アーティスト、ツルノリヒロの気ままな発信基地。

「遠野物語」サウンドデザインの仕事

2024-12-01 19:18:18 | お知らせ
今回のサウンドデザインの仕事について

こういった文学的だったり芸術性の高い作品には、まず予算がつかず、音楽を書き下ろすことは残念ながらほとんどできません。
それでも予算が少しある時には、著作権使用料は払ってもらえるので、僕の今までに作ってきた作品から番組に合うものを引っ張り出し、編集し、番組に重ねてゆくのですが(最近の一連の日テレBSドキュメンタリー作品)
今回はさらに著作権使用料も難しく、そうなると著作権フリーの楽曲を引っ張ってこなければなりません。
著作権フリーの楽曲には良いものがないので、最近はクラシックのパブリックドメイン楽曲を自分で演奏し、録音し、当ててゆく、という作業をやっています。

今回は監督が、バッハはどうだろう、と言ってきていて、僕も映像を見てバッハの無伴奏は合うなと感じたのですが、無伴奏バイオリン組曲はドラマ仕立てならばよかったのですが、ここまで深遠なる詩的な世界には音が高すぎると感じ、無伴奏チェロ組曲をAyakoに弾いてもらうことにしたのです。

ここまで決まり、次は曲の選定を始めます。
無伴奏チェロ組曲は全6曲あり、その一つ一つが6曲から構成されているのですが、5番は変則チューニングの曲、6番は5弦チェロの為の曲なので最初から省き、残りの24曲を片っ端から聴いて合うものを選んで行きます。(電車や車での移動中とか、延々と聴いていた)
まず6曲を選び、映像を見ながらさらに絞ります。
ある映画監督と話をしていた時に、1本の映画にメロディーは多くて3~4つで良い、あとはそれをいかにアレンジして使うか、という意見を聞き、なるほど、と、僕も共感するところもあり、今回は3曲に決めました。
この時点で大体このシーンにはこの曲を、と決めておきます。

それをAyakoに伝え、レコーディングの日取りを決めるのですが、もともと締め切りまで日がないスケジュールなので、Ayakoの練習に当てられる日は2日ほど・・
無理を承知でお願いしました。

Ayakoにはレコーディング当日も映像は一切見せず、純粋にバッハを弾いてもらいます。
僕が注文したのは、番組の映像テンポに合うよう、今より少しゆっくり弾いてもらいたい、とかぐらい。
あとは本人が納得するまで自由に弾いてもらいます。
(映画音楽などでは映像を流し、それを見ながら指揮者が棒をふり、オーケストラの演奏を映像に合わせ録音して行く方法があり、映画音楽録音の歴史はそういったやり方から始まり、現代でもオーケストラのレコーディングではそういった方法が継承されています。
実際僕も宮崎駿監督のジブリ短編映画の音楽を担当した時には、ホールでピアノトリオ+パーカッションの編成で15分以上の映像を見ながら演奏し録音したりしましたが、楽曲は楽曲で独立していて、それを合わせたときに生まれる想定外のシンクロが、僕は好きなもので絵合わせはしませんでした)

そして、録音された演奏を、計画していた通りに場面に合わせて行きます。
音源はAyakoが弾いた新しい録音ですので、微妙に計画と違うところも出てくるので、それを変更し、辻褄を合わせます。
そして、やはり切り貼りの編集は必要となります。
バッハの無伴奏に詳しい方や、演奏者でないとわからない世界ですが、切り貼りで曲の長さを短くしたり長くしたりし、シーンに合わせて行くのです。

ここの作業はサウンドデザイナーの腕の見せ所ですね。
以前の作品でも、友人のアーティストが「えっ編集してたんですか?」
という反応で、それぐらい自然に作ることができると苦労した甲斐を感じます。

このような作業を経て、この番組の音付けは出来上がりました。
見ていて音楽と舞踏がシンクロしてゆく瞬間など、自分でもぞくっとしますし、監督からも、まるで舞踏の撮影時にAyakoさんの演奏を流して撮影したかのようだった、との言葉をもらい、サウンドデザイナーとしての冥利に尽きる思いでした。





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「遠野物語」詩と舞踏~故郷の原風景を求めて~

2024-11-30 22:42:17 | お知らせ
急なご案内!
明日午前11時半よりBS日テレにて
「遠野物語」詩と舞踏~故郷の原風景を求めて~
が放映されます。
僕がサウンドデザイナーとして担当させていただいている一連の作品の最新作で、城戸朱理の詩と、鯨井謙太郒、野口泉の舞踏にAyakoのチェロだけで音楽構成した、かなり心に迫る作品に仕上がっていると思います。
お時間、そしてBSが見られる環境にある方は、是非ご覧になってください。
BS日テレ
12/1(日)ひる11:30~12:00(30分番組)
【番組タイトル】
「遠野物語」詩と舞踏~故郷の原風景を求めて~ 城戸朱理 鯨井謙太郒 野口泉
柳田國男の『遠野物語』をテーマに岩手県遠野市を訪ね、その世界を詩人城戸朱理とダンサー鯨井謙太郒(郎)・野口泉が新たに解釈し、詩と舞踏で表現するアートドキュメンタリー。

















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江口あさ子展

2022-07-01 02:25:05 | お知らせ

画家の江口あさ子さんの個展へと伺う。


江口さんは、画家の方々が集まってのグループ展に、

恥ずかしながら写真で参加させていただいた「Dreams Gate」展以来、親しくさせていただいていて、

物語性を強く感じる彼女の絵は、僕の音楽への刺激にもなっている。

「Dreams Gate」は画家の玉神輝美さんの呼びかけに集まった江口さんをはじめ、

影山徹さん、長野剛さん、テツジ山下さん、高田美苗さん、kaoさん、牧野鈴子さんらによるグループ展で、

なぜか僕も写真で参加させていただいていた。

グループ展は6回を数え、毎回会期中、あるいは最終日に僕のコンサートを、

青山曼荼羅や驢馬駱駝などに皆さんの絵を飾らせていただき行った。

その絵をテーマに即興演奏をするなど、なかなか贅沢なものだった。

僕は、自分だけが写真であることの負い目から、毎回みなさんの絵をデータでお借りし、

自分の楽曲にそれぞれの絵を当てはめ動画化する、といったコラボレーション作品を作り、

「Dreams Gate」展や、ライブで流すことにしていた。

いや、負い目からと書いたが、本当はとてもやりたいことだったから、徹夜を重ねる時間を費やし作品を作ったのだ。

今も見るたびに、音楽だけを作るときとはまた違った、その時の熱のような、ものを作る時のパワーを思い出す。

そうやって、みなさんの絵に自分の楽曲を当てはめようと眺めてゆくと、

みなさんそれぞれの世界観から、ある種楽曲の共通するパターンが出来てくる。

江口さんの絵ならば、こういった曲、影山さんの絵ならばこういった曲、高田さんなら、テツさんなら・・・というわけだ。

絵から受けるイメージを、とても大事にしていたし、そうやって出てくるイメージをワクワクして待っていたから、

このコラボレーションは大好きな時間だった。

今回、久しぶりに江口さんの個展に伺うことができ、生の絵を見ることができ、また一つ気がついたことがある。

当たり前のことなのだが、みんなそれぞれの人生を生き、歳を重ねて行く。

先ほど書いた、作品の世界観から受けたイメージのパターンは、すでに過去のものでしかないということ。

会場に入り、すぐに目を奪われた。

個展に間に合うかどうか、というギリギリなところで描いていた、と伺った。

圧倒的な命の存在を感じることが出来、体温まで感じることのできる絵だった。

いつか、いや、いつかなどと言う時間の余裕はない、好きな画家たちの絵に、すでに作った曲ではなく、一から音楽を作ってみよう。

 

江口あさ子 妖精の世界展
2022年6月29日(水)~7月12日(火)
小田急新宿店本館10階 美術品売り場
TEL03-5325-2554(直通)

江口さんの在廊日は6月29日 7月2日、3日、5日、7日、9日、10日、12日(12時~16時)だそうです。

 

 

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細坪京都コンサート

2021-12-17 00:01:16 | お知らせ

細坪さんの京都コンサートのリハ。
久々の曲もあり、とても新鮮で楽しかった。

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アコカフェ配信のお知らせ

2021-12-03 16:35:37 | お知らせ

5日(日)の「Acoustic Night」コンサート、配信チケットのお知らせです。

こちらからどうぞ!

日本語・英語が切り替えられます。

写真はそのリハのために久しぶりに集まったメンバーたち。

チェロ Ayako  ピアノ西本梨江 テト・・・ん! テト?

 

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11月27日アートカフェライブ配信情報

2021-11-22 11:38:05 | お知らせ
 
 
 
 
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11月7日目黒パーシモンコンサート配信

2021-11-06 13:20:01 | お知らせ

明日のコンサートは配信もあるので、よかったらご覧になってください。

https://m.youtube.com/watch?v=xvOpSdX-ezg

 

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夢のかけ橋コンサート

2021-10-31 21:26:38 | お知らせ

11月7日目黒はパーシモン小ホールで行う「夢のかけ橋コンサート」

同時配信も行われるので足をお運びいただけない方は是非配信を!

僕の曲も数曲演奏させていただきます。

 

詳細はこちらから

 

https://www.youtube.com/watch?v=xvOpSdX-ezg

 

よろしくお願いいたします!

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GIFT音源の流通開始!

2021-08-22 20:53:23 | お知らせ
ワーナーミュージックを通じて、日本でもGIFT音源の流通が開始されました。
LINEやアップルミュージックなどでサービスを開始しています。
是非お聴きください!
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Gift流通開始!

2021-07-28 21:31:10 | お知らせ
韓国ワーナーからGiftの流通が始まった。
フェイスブック上で始めた企画から作られた、インストバージョンが、オリジナルバージョンとして1曲目、
2曲目は韓国インストグループの「POLY」とのコラボレーションバージョン。
そして3曲目としてインストバージョンに芳晴くんの歌が入ったVocalバージョン。
それぞれに個性があり、曲は同じだけれど味わいは違う。
 
ジャケットは韓国のイラストレーター、イ·ヒョンミさんの手による。
彼女も僕の「Last Carnival」の大ファンだそうで、こういったコラボレーションがこれからも出来ると良いなと思っている。
 
改めて、参加していただいたたくさんのミュージシャンの方々に、心から感謝を送ります。
そして、多くの人々に聴いていただき、その収益が、このコロナ禍で大変な思いをしている音楽家の方に、
わずかであっても配分されて行くことを期待しています。
 
あっ、僕も大変な思いをしている一人だ・・
 
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