ここ五年ほど、日本体育大学と仕事をしている。
体操の音楽を一から作ったり、あるいは僕のオリジナル楽曲に、振りを付けて演技をしてくれたり・・
競技体操ではなく、演技体操なので、新体操や、フィギュアスケートの音楽と振り付けに、近いかもしれない。
演技者は複数人数がほとんどだが、バトントワラーの世界チャンピオン、シルクドソレイユにも参加している本庄千穂さんとのコラボレーションは、
彼女一人のバトントワリングにバイオリンを弾きながら絡み、ストーリーを感じさせる演技となっている。
究極は昨年のフィンランド、世界体操祭。
日本から参加したチームは十幾つ、そのほとんどのチームが僕の曲で、そして僕らの生演奏で演技をしてくれたのだが、
「Bright Hours」や「舞い上がれ大空に」と言った軽快な曲だけではなく「Rape-blossom Field」や「大陸公路」と言った曲も選ばれていて、
演奏をしながら、その演技を見ていると、時には思わずはっとするほど美しく、かっこ良く、
音楽の持つ世界と、身体を使って表現する世界が一体化した瞬間には、すごい説得力を持って魅了されてしまった。
そう言った体操演技の為の音楽とは別に、一昨年韓国からの依頼で、ご老人の方々の為に、認知症体操の音楽を作った。
今の世の中において、そして、自分も切実な年齢となった今、音楽の可能性の一つとして、とてもやりがいのある仕事だった。
韓国の多くの病院に無料配布されたらしいのだが、病院内でご老人の方々が、音楽に合わせて動く姿の映像をいただいて、その姿に感動した。
去年には岩手県の一関市の為に、「いちのせき体操」の音楽を書き下ろさせていただいた。
その年の日本体操祭で、一関の皆さんが観客の方々と一緒に、僕らの生演奏でお披露目をしたのだが、これも感動的だった。
そして、今年は日体大の日体体操を作らせていただいた。
全国に広がる事を目標としたこの体操は、CDとDVDの形で頒布されるのだが、DVDでのお手本は、オリンピックメダリストの田中理恵さんと
体操のお兄さん、佐藤弘道さんが演技した。
撮影に同行した僕は、いつしか振りを覚えていて、一緒に動こうとするのだが、もちろんうまくなんて動けない。
それでも、身体のいろんな部分を動かす様に作られている振り付けやストレッチはとても気持ちよく、自分が作る音楽の可能性に、
今更ながら気がつき楽しくなった。