実家に行くと最近猫が出迎えてくれる。でも別にうちで飼っている猫ではない。厳密にいうと。
家の中にはれっきとした飼い猫がいるわけで、名前を「メイ」といふ。
「メイ」とは4・5年の付き合いだったが、ある雨の日、自分が盗んだバイクで家を飛びだしていって、松江といふ所に移り住んだ15の夜以来、メイはよそよそしい。といふより、結婚を機に家を出たといったほうがよいだろう。念のため。
この尻尾が黒い野良猫は、母が餌付けしているらしく、実家を縄張りとしてしまった。
自由な所など猫がうらやましく想ふこともたびたびあれど、やっぱり野良猫は嫌だ。僕はつれなくとも「メイ」が良いと想ふのだ。