西向きのバルコニーから

私立カームラ博物館付属芸能芸術家研究所の日誌

朝ドラと父と私

2008年03月22日 16時55分00秒 | テレビ
 NHKの朝ドラ『ちりとてちん』が、来週いよいよ最終週を迎える。


 NHKの大ファンだった亡父は、子供の私たちにも民放はあまり見せてはくれず、無理やりNHKばかり見せられていた。そうして知らず知らず亡父に洗脳され、いつの間にか私自身もNHKが好きになっていた。

 父はその後、長年勤めた郵便局を退職。再就職した先が、なんとNHKだった。郵便局からNHKへと言うと、何か天下りのように受け取られることも多いのだが、実のところそういったコネクションは全く無し。民間の人材登録銀行から、ダイレクトの就職だった。その時の父の喜びようと言ったら、尋常なものではなかった。そしてそれから5年間、私たち家族は、受信料で食わせてもらうことになる。父がその人生で、一番輝いていた5年間と言っても、過言ではないだろう。

 私がテレビに出始めたのは、父が亡くなって数年経ってからのこと。
 関西の人気深夜番組『テレビのツボ』には「NHKマニア」という肩書きで出演。朝ドラの歴史や変遷について解説トーク出来たのも、元はと言えば父に仕込まれたお陰。またそれがきっかけとなって、NHKの放送記念日特番『テレビ42歳の春』にも参加。その放送日は、奇しくも父の4回目の命日であった。

 その後も朝ドラの『ほんまもん』『てるてる家族』『わかば』『風のハルカ』、大河ドラマの『新選組!』……と、数々のNHKドラマに出演した私。どれも皆名もないエキストラ出演ではあったが、それでも恐らく大喜びしてくれたであろう父の顔を見ることが出来ず、それだけが心残りで悲しい。

 私は昨年結婚して、今は妻と二人で、毎日朝ドラを見ている。この半年間も『ちりとてちん』で、大いに楽しませてもらった。


 もうすぐ亡父の17回目の命日。明日は、墓参りに行こうと思う。
 合掌。