ちょうど2年ほど前の5月末、オオタカ待ちのコロニー砂洲の上流側に、狐が現れました。その時は、私一人で相談相手もいません。しかし、ここは殆ど犬が現れないところですし、目の釣り上がり様、尻尾のふさふさ感、一目でそれと判りました。
その前から、狸の5~6匹の一家の姿は見られていて、北の対岸側では、皮膚病が流行っているらしく、皮膚が異様な模様を呈していました。私などは、日立市の動物園から、ハイエナが逃げてきたのではないか、と本気で疑いました。他方、こちらの岸では、健康そうな通常の皮膚のタヌキを撮影した、と宇都宮ナンバーのご夫妻が話してくれました。
この時の狐は一匹で、後に仔狐と判りました。
ここの狐は、何とも珍しいらしく、鳥撮仲間もなかなか信じてくれませんでしたし、後に文化祭で展示した時も、殆どの観客が、「これは北海道の写真ですか」と真顔で訊いてきたものです。
どちらも、それまではなかなか目撃されていなかったわけですから、対岸の竹藪の向こうの溢水路工事で、いよいよ追い詰められたようです。狐の親子と同定した理由は、体の大きさが違うことと、大きい方が小さい方の面倒をみるような仕草を見せることです。その排尿の仕方から、母親のように思いました。そして、大きい方は、朝早目に一度だけ姿を見せて、あとは殆ど姿を見せません。それなりに警戒心の為せる業でしょう。
他方小さい方は、一時間おき位に姿を見せて、砂洲の中流域から下流域近くまで散歩します。こちらは、好奇心の為せる業でしょう。
藪から出て、水を飲む時も有りますが、排尿・排便も有りました。何れの時も、暇さえ有れば、身体を、いかにも痒そうにボリボリと掻くので、見ているこちらも痒く感じるほどでした。
ある時は、好奇心旺盛な仔狐が、砂洲中流域でゴイサギと遭遇しました。目を逸(そ)らしたり、寝そべったりして、隙を引き出そうとする様は、一端(いっぱし)のものですが、何とも近くて、お見透しだったようです。
突然のことでした。初見から約一ヵ月後の6月25日の朝、狐らしきものの死骸を見つけました。
場所は下流域に入った辺りで、明らかに狸一家のテリトリーです。例によって、好奇心旺盛な仔狐が越境したとき、狸一家に襲われたのではないでしょうか?
すでに腹部が拓け、肋骨が剥き出しで、内臓は殆んど無さそうです。近くにはカラスが一羽、すでにパーティーは終わった様子です。
この日から、狐の親仔を見ることは二度と有りませんでした。
死骸は一匹分のようですから、越境て狸に襲われた仔狐を助けられなかった親狐は、遠く逃げ去ったのではなかろうか、と思いを馳せたことでした。
以上は、一昨年5月末から6月25日にかけて、飛び飛びに7日間に亘って観察した写真を、順に御披露したものです。
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