さて、愈々本テーマも最終回で、この猛禽が何物であるか考察してみました;
1.結論にも関連しますが、私とのお付き合いは、わずか50日間程度でした。
初対面の6月10日以来、私が車を降りる度に、啼きながら私方面に直行する警戒飛行で、”格好いい姿”で”歓迎”してくれたものです。この様子は、7月11日までほとんど変わりませんでした。
(前々稿『新しい歩行カメラの試し撮り(4) … いざ猛禽の場合』、参照。)
その後、7月14日ころから、”歓迎”振りが10分、15分と遅れるようになり、場合によっては声だけの”歓迎”も有りました。しかも奥の林の方から出てくる様子でした。
途中、一回だけですが、交尾のようなシーン(次図参照)も見せてくれていたので、世間的には時期遅れの感じでしたが、営巣に入った可能性も考えました。
しかし7月19日以来、約一カ月、声も姿もありません。森の反対側にも回って気配を探るのですが、まるで気配が有りません。散歩の人々も、田を見回る農家の人も、同じように感じているようでした。
また、折に触れて派手に行われていたカラスの大群との縄張り争いも、まるで静かに終わった様子です。
2.形態的な特徴は、カラスと同じくらいの大きさで、色彩的な特徴は、翼の内面からは翼角部が黒いので、ノスリの仲間と考えられましたが、しかし、通常出会う普通のノスリほどの白さが感じられませんでした。また、気のせいか、脚の脛毛がフサフサと長いと感じる場面も有りました。
3.飛び方の特徴としては、普通のノスリが結構ゆっくりと飛翔するのに対して、警戒飛行にせよ場所移動にせよ直線的な飛行でした。また以前観察したケアシノスリは、多くの場合、ホバリングが特徴的であったのに比べ、50日間、それは一度も観察されませんでした。
4.啼き声に関しては、めったに啼かないノスリは、雌雄で啼き交わすときなど、”馬糞鷹”の別名には似つかわしくない位、実に優しくて美しい声だと感じていたのですが、このカップルからは、そんな印象は受けませんでした。本態的に、猛々しい性格を反映していたのでしょうか…。
5.私は通常のノスリか、ケアシノスリかの判別に苦しんだ挙句、常々尊敬している庄内のSさんに、下図6枚を添付して相談しました。
するとSさんからは即座に、
『さて 写真ですが 渡りをするノスリですね~ ノスリには2種類居て 地元日本に居残りするノスリと 秋に渡りをして帰るノスリが居ます
渡りするノスリは 少し大きくてどちらかと言うと黒っぽい色してます … ケアシノスリは 冬にならないと日本に来ません … 』
という御指南でした。Sさんの博識ぶりに感嘆すると同時に、バイブル(文一総合出版、「図鑑 日本のワシタカ類」)からも読み取れなかったとは言え、不明を恥じるばかりです。
成程そう言われてみると、合点が行きます;
①.滞在期間が短かったこと、また、営巣で巣籠するには遅すぎるようですし…、
②.色、大きさが指摘された通りに見えること、
③.短期滞在型なので、警戒心が強いらしく、飛翔にせよ啼き声にせよ、猛々しい印象が強いこと。
Sさんに深く感謝すると同時に、これを結論として、このテーマによる記述を締めくくります。
お待ちしておりました。また楽しみましょう。
コメント一つ、有難うございます。全くの偶然でしたが、新機種のカメラの性能にも依存しております。
私は漸く鳥撮り再開しました (ボツボツですが・・・)
ノスリのこちらの向かって飛んでくる姿 口を大きく開けて かっこいいですね