Aonsiwate Blog

フライロッド・漆器製作と岩手のくらし覚書

漆を焼く

2016-06-29 21:43:48 | 漆と漆器

梅雨に入り気温・湿度が上がってきました。

あわせて漆の硬化も早くなり、油断していると下画像のように、

「ちぢみ」ます。また、硬化が早いため艶も上がってます。

 

 

漆は空気中の水分と反応して硬化するため、

漆の硬化が早い状態だと

空気と接している表面だけが早く硬化し、

空気に触れない下層の硬化が遅れます。

この硬化のタイムラグでしわになってしまいます。これが「ちぢみ」。

ちぢんでもきれいに研げば問題ないのですが、

研ぐのに気をつかいます。時間もかかり、気持ちよく作業が進みません。

 

これを解消するために、漆全体の硬化時間をのばして、

表面と下層の硬化時間の差を少なくします。

 

通常の化学塗料では硬化時間を延ばすために

硬化遅延剤を混ぜたりするのですが、

漆の場合、加熱します。

 

漆を硬化させるのはラッカーゼという酵素で、

これは加熱によって活性を失います。

理科の時間に学習する「デンプンと消化酵素」の実験と同じです。

 

漆の何パーセントかを取り出し加熱、戻すことによって

ラッカーゼを減らし、硬化時間を遅らせるわけです。

 

下画像のように、コンロで加熱することが多いです。

 

 

何パーセント取り出して焼くのか、加熱時間はどのくらいか、

あたりが難しいところで、昔はよく失敗しました。

 

漆は焼くと焼チョコレートのような独特なにおいがします。

 

 

今回は約20パーセントの漆を焼いて調整しました。

もう少し暑くなったらまた調整する予定です。

 


白い花・橙の花

2016-06-26 21:35:12 | 日記・日常

マーガレットの盛が終わった。

 

 

好きな花なので、毎年たくさん写真を撮る。

 

 

 

 

うちの近所では、マーガレットの終わりのころに、

よく似たサイズの橙の花が咲く。名前は知らない。

 

 

 

この花もじきに終わって、来年までお別れ。

そうすると、梅雨が明けて夏がくる。


2016-06-25 14:06:46 | フライフィッシング

岩手県で「ツキノワグマの出没に関する警報」が発表されました。

今年のクマの出没が1000件を超えたようです。

ただ、この1000件も報告があったものだけで、実際にはもっと出没しているのでは、

と思います。

 

 

私は3~4年に一回のペースでクマを目撃してきましたが、

今年はすでに3回目撃しています。

 

2回は運転中で、林道ではなく普通の市道で横断しているのを目撃。

 

 

一回は釣りをしていて渓流から上がろうと、

藪漕ぎ(生い茂った植物の中を進む)しながら急な斜面を上がっているときで、

大きな黒い生き物が斜面の上15mくらい前方の木の脇でこちらを見ていました。

 

立っているだけで転倒しそうな斜面の途中で、

態勢が悪い。

釣竿をほおってペッパースプレーを準備しようとしたのですが、

あせってスタンバイできない。

 

幸いクマはどさどさと走り去っていきましたが、

こちらに向かってきたら、もうどうしようもない状況でした。

 

今思い出しても冷や汗が出ます。

もし襲われれば、いろいろな人に迷惑をかけたと思います。

 

 

クマ鈴をガラガラ鳴らして、ホイッスルを吹きながら進んでいたのですが、

今年のクマには効かないようです。

 

 

クマが落ち着くまで山奥の釣りは控えようと思います。


仕事

2016-06-14 19:23:53 | 漆と漆器

 

いつもお願いしている木地師さんから、新しい木地が届いた。

素晴らしい仕上がり。塗ってしまうのが惜しいほど。

 

 

慣れた手法とコミュニケーションで、予定調和的にあらわれるなにか。

ぶつかりながら妥協点を探し、そこからあらわれる新しいなにか。

前者には安心・安定があり、後者には驚きがある。

今回の木地師さんの仕事は後者で、

私は負けないよう仕上げたいと思う。