だんだんと、草花が元気をなくし、昆虫も減ってきた。
また来年。
明日は渓流最終日。
なんとか釣りに行きたいものだ。
ひさびさにちょこっと釣り。
毎年秋に釣る小渓流は、熊笹に覆われて釣る場所がない。
近所の方がおっしゃるには、夏の渇水で一気に笹が伸びたとのこと。
本流もパッとしないという話なので、小さな支流を釣る。
小ぶりな、秋のヤマメが釣れた。
秋祭りで見た大きな魚のお神輿。
こんなに大きくなくてもよいのですが、
禁漁までに大きな魚を釣りたいです。
フライロッドは通常2m以上の長さがあります。
持ち運びや収納のため、普通は竿の途中にジョイントがあり、分割されます。
下画像は通常のウレタン塗装のフライロッドのジョイント。
左二組はスリップオーバーフェルールというジョイントで、
細いほうの上に太いほうが被さります。
右一組はスピゴットフェルールというジョイントで、
カットした竿に、炭素繊維(塗装処理されない)のペグが差し込まれます。
釣り場で一日中振り回すフライロッドですが、
ジョイントはロック機構もなく「ただ差し込む」というシステムなのが、
よく考えてみると凄いですね。
このジョイントですが、通常は使っているうちに表面が摩耗し、
抜けやすくなることが多いです。
スピゴットフェルールの場合は、炭素繊維が減って、「込み」が深くなっていきます。
私の製作する漆塗フライロッドのジョイントは、
スリップオーバーフェルール方式です。
ジョイント差し込み部分も漆で塗装されています。
この漆塗りジョイントなのですが、
新品使い始めは良いのですが、
使い始めて一年ほどで抜きにくくなります。
漆は摩耗に強く、抜き差ししているうちに、
差し込み側の表面が馴染み(多少の摩耗もあると思われますが)、
ぴったりと密着してしまいます。
密着の面積が大きい竿の根元に近い部分は特に抜けにくくなります。
また、塗装の精度が高いものだと、二三度の使用で抜けなくなります。
下画像は漆塗りジョイントです。
差し込み側の表面の艶の消えた部分が馴染んで密着する部分です。
抜けなくなると、二人がかりで引っ張っても抜けません。
釣り終えて、さあ急いで帰るぞというときに抜けないと非常に弱ります・・・。
いろいろと工夫してみましたが、なかなかうまくいきませんでした。
ジョイントに溝を掘って密着面積を減らしたこともありましたが、
溝程度では面積減少にならず抜けません・・・ただ、潤滑油をこの溝に注油すると抜けやすくなります。
抜くために潤滑油を持ち歩くのはナンセンスだと思いました。
ジョイント部分だけウレタン塗装もしくは未塗装も考えましたが、
従来の弱点を継承するのは面白くない。
漆の長所がマイナスになって現れる部分でした。なんとか乗り越えたい。
試験を続け、現在は下画像のようになっています。
炭素繊維を生漆(きうるし)で固め、拭き漆で被膜を作っています。
被膜が馴染んでも炭素繊維の溝がありますので密着しにくい。
また漆の拭き方を工夫しており、「抜け難く、抜き易い」です。
この処理であればなんらかの原因でこの部分の漆が減っても、メンテナンスが楽です。
現在製作しているロッドはすべてこのジョイントを採用しています。
是非お手に取って、つないでみていただきたい部分です。
水曜日の話。
仕事の合間に、古いアメリカの釣竿とイギリスのフライリールを組み合わせて
振っていると、この組み合わせで釣りがしたくなった。
ラインを巻き替えて(ロッドと違う番手のラインがリールに巻いてあったため)、
小さな川に。
秋の色合いのヤマメが釣れた。
もうすぐ渓流も禁漁。
もしかしたら、今年最後の魚だったかもなあ、と今日思いました。
このあいだの日曜日・月曜日の二日間、漆塗フライロッドの取材・撮影がありました。
日曜日は安比塗漆器工房の一角をお借りして、
漆塗フライロッドの製作工程の一部を、
月曜日は、八幡平市内の渓流で、フライフィッシングの様子を収録。
撮影・編集は、去年までの昼間の仕事でもお世話になった方で、
光と影、一瞬の表情、場面のユーモアの描写に優れた方です。
ウェーダー(釣り用胴長靴)を着用して渓流を初めて歩かれるということでしたが、
重い機材を手に余裕の登攀。
残念なのは、撮影地に先行者があり、魚が釣れなかったことです・・・・すみません。
「漆塗カーボンフライロッドの紹介」という珍しい題材をどう編集されるのか、
楽しみであり、気恥ずかしさもあり。
放送は岩手めんこいテレビ「八幡平探訪」で9月19日(土)午後5時25分~