徳の狙いは三右衛門の「世話」になり、「後見」になってもらうことにあった。
他はあるときは執拗に、あるときは用意周到に根回しを怠らない。
年が明けて嘉永五年(一八五二)、他の動きは一段と活発となる。
まず五目牛村の周辺を固め、三右衛門に迫ることである。組頭を務める隣家の神沢伝兵衛が一番の協力者であった。
三右衛門を酒で饗応し、五目牛村の旧跡を案内したりしている。
もちろん同族の絆が物を言う。義弟清七、親類の長老格の安五郎、そして本家筋の菊池仲右衛門まで加わって、
`三右衛門に後見となるよう懇願している。二月二日、
徳のところに一泊した翌日のことである。
続く