Amazonプライムビデオにて鑑賞。
監督・原作:フローリアン・ゼレール
脚本:フローリアン・ゼレール、クリストファー・ハンプトン
出演:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン、マーク・ゲイティス、イモージェン・プーツ
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ
製作:F・コム・フィルム、トレードマーク・フィルムズCine@
配給:ショウゲート
上映時間:97分
去年のアカデミー賞主演賞受賞作品であり、当然観なければならないと思ってたが、介護の仕事をしている際は、プライベートでは介護の話題にはなるべく遠ざかろうとしていた(疲れるため。)
ようやく心に余裕が出てきたため鑑賞。
認知症の当事者から観た視点で常に描いているため、序盤はアンソニーに苛立ちを覚えるが、次第にアンソニーに感情移入できる作りになっている。
これまで観た介護を題材にした映画は全然面白くないものばかりであったが、本作は映画という特性を最大に生かした、認知症との相性が抜群な作品に仕上がっている。
あの時点で、アンソニーにどう接しているのが正解だったのか?と考えてしまう。しかしアンソニーのように認知症の混乱期の人に対してその時点での最適解を見つけるのは容易ではない。
本作に何か答えを期待していた自分がいたが、本作の結末は悲しすぎるものであった。
だが、毎度お馴染み宇多丸の評論を聴いて、少し考えが変わった。
とうとう老人ホームに入ったアンソニー。認知症が進行し人格が崩壊したからだ。感情失禁して映画は終わる。だが宇多丸は介護者である娘には安らぎが訪れたことに気づく。アンソニーにとってもさらに認知症が進行し、混乱期を過ぎれば安らぎが訪れることだろう。
本作は最も介護者にとって深刻な状態である混乱期を描いた作品であることが肝だ。
本作を観た後なら、認知症の方に対して接し方を少しでも向上できるだろうか?