西田稔の爺(時事)評論

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敵基地攻撃能力を保有検討の議論は冗談にしか見えない。

2022-01-29 18:16:30 | 政治・経済
自民党政権は国家安全保障戦略の新しい柱として「敵基地攻撃能力の保有」を議論して、今年七月頃にそれを書き込んだ報告書をまとめる予定らしい。しかし、この議論は悲しいかな冗談のようにしか見えない。なぜか。
敵基地攻撃能力の配備が日本の国防力向上にとって有意味であるためには、周辺国からのミサイル攻撃を受ける危険が迫ってきた危機的状況において「あらかじめ」総理大臣と防衛大臣および自衛隊の統合幕僚長の3者で協議し、攻撃を受けたら即時に敵基地に対して反撃する「攻撃命令を発出する」という合意を作っておき、それを実行するという体制が必要である。
しかし、そういう体制をもつことは、現行の「平和憲法」のもとで現実に可能なのか。それは非常に難しいことであろう。憲法改正が必要とされるだろう。悲しいかな、安倍長期政権も憲法改正には踏み込めなかった。政権の命運を賭ける勇気をもてなかったからである。ましてや、ハト派の岸田政権に憲法改正に向けた決意を求めるのはムリだろう。
とすれば、日本の安全保障体制の強化のためには、もっと現実性のある戦略を考えなければならない。それこそが中距離弾道ミサイルの保有である。それもアメリカによる中距離核ミサイルの日本配備の受け入れではなく、「日本自身で開発した」中距離弾道ミサイルの保有でなければならない。この方策は、周辺国からのミサイル攻撃を受けた場合の「報復攻撃」であり、その能力を保有することは相手方の攻撃意欲を「抑止する」(攻撃を思い止まらせる)ことが目的であるから、日本の現行憲法の枠内においても認められるはずである。