2010年8月24日(火)
今、ムスメは大きなお腹をしてわんちゃんのお散歩をしている。
わんちゃんも、とても良い子でお散歩♪
以前、ウィステもわんちゃんを預かって散歩させたことがあるんだけれど、
その時と大違いだわ。
その時のエッセイ・・。
(わんちゃんは、ハンドルネーム。本名は、ロディなんです・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
娘の犬
寝る前に腰に貼った湿布は効いているのだろうか。腰痛は治まらない。布団の中で腕をちょっと
動かしてみると、肩に痛みが走る。これは、五十肩が再発したのではなかろうか。娘の犬ロディを
預かって一週間、私は、腰痛と肩の痛みに襲われていた。
〈歩けなくなるほど腰痛が酷くなったら、どうしよう。この肩の痛さは、五十肩どころか亜脱臼
くらいしているかもしれない。一人暮しなのに、寝ついたら大変だ。大事にならないうちに、
明日は整形外科に行くべきか〉
と、悩んでいる。
こうなった原因はロディの散歩だ。東京に住む娘が埼玉に引っ越しすることになり、二週間という約束で
預かった。娘に当てにされたのが嬉しく二つ返事で引き受け心待ちにしていたのだが、ロディは娘に置いて
いかれたショックか一日中娘の部屋で蹲って過ごしている。様子を見に行き、その黒い毛の固まりを上から
抱きしめてやっても、その時だけ頭をちょっと上げて私を見るが、
〈なんなの……。あんたじゃないんだよ〉
と、動こうとしない。それが、朝夕二回、私が散歩の仕度を始めるや、一階に降りてきて私に纏わりついてくる。
引き綱をつけ門を出ると、いきなり走り出す。ロディにしてみれば、いざ散歩と気が逸るのだろう。性格が
いくら穏やかでも甲斐犬の雑種という中型犬ともなると力はある。こちらは、その十五キロの体重に引き綱を
持つ腕がぐんぐん引っ張られ、転ぶまいと足を踏ん張る。散歩の間中、足の指先に力を入れ一歩一歩踏みしめて歩く。
散歩の時もお行儀が良いと聞いていたのに、
「ちょっと待ちなさい」
という私の声にはお構いなしのロディは、私を甘く見ているに違いない。そんな次第で、あっという間の
腰痛、肩の痛みだ。
〈娘にこれ以上預かるのは無理とSOSを出そう。きっととんで助けに来てくれるわ。そして、ロディの
散歩をやってくれるわ〉
と、自分を宥めてようやく眠りについた。
寝室のドアがカタンと音をたてて少し開いた。はっと目を覚ますと、朝。ドアの隙間から黒いものが
私の寝室を覗き込んでいる。鼻と前足で器用にドアを開けたロディだ。人恋しいのか、私が起きたのを見て、
ゆるゆると尻尾を振りかまって欲しそうな顔つきで遠慮がちに近づいてくる。尻尾を激しく振り飛びついて
顔を舐めるというロディの娘への愛情表現には及びもつかないが、だんだん心を開いてくれる様は嬉しく、
私は、「おはよう」と、頭と体を撫でてやった。喜んでいるロディを見れば、待ちかねている散歩に連れて
いかないわけにはいかない。
そこで、幅広の腰ベルトを締め、散歩に出た。案の定、勢い良く引っ張られ右肩が痛い。そうだ、右肩に
負担をかけない引き綱の持ち方にすれば良いではないか。脇だ、脇が甘いので、腕が伸びるのだ。私は、
脇腹に肘をしっかりつけた。これで良し。もう、ロディの力が直に右肩にこない筈だ。それから、
歩いて十分ほどの運動公園へ行った。朝の公園は緑が清々しい。猟犬の習性か、ロディは植え込みの根元や
草のしげみに顔を突っ込んでは、しきりに匂いを嗅ぎまわる。公園内の道を、犬の散歩やウォーキングの人を
避けながら歩くと、なかには、
「甲斐犬ですか」
と、声をかけてくる人もいる。私にはその言葉は、
「外見が地味でも良い犬なんですよね」
と、聞こえ、にっこり笑って頷く。三十分かけて公園を一回り。そろそろ帰ろう。けれども、ロディは
踏ん張って嫌がる。まだ物足りないのだろうが、朝の散歩時間はこれくらいにして欲しい。私は、引き綱を
きっぱりと引く。すると、ロディは諦めて帰り道につくのだが、帰りは、行きよりは聞き分け良く歩いて
くれるので助かる。玄関に入ると座らせて、私は雑巾でロディの足を拭く。
「はい、前足を出しなさい。良いワンチャンはすぐに前足を出すのよ。
はい、こっちも出しなさい。良いワンチャンは、言う事を良く聞くのよ。
はい、お尻を上げて。良いワンチャンは素直に上げるのよ。
はい、後ろ足を上げるの。良いワンチャンでしょう……」
その間、私の口からは、「良いワンチャンになりなさい」との説経が溢れ出る。本当は、大人しく散歩して
くれる方がずっと良いワンチャンなのだが。ロディは面白く無さそうな顔つきで、されるがままだ。
足拭きが済むと階段をのそのそと登っていく。その後ろ姿は、
〈散歩も終っちまったなあ。あとは、めしの時間まで二階で丸まって休むとするか〉
と、語っている。
ロディも一緒に居間に来て、私の足元で横になっても良いのにと思いながら、私はお茶で一息つく。
〈ロディは可愛いけれど、散歩はかなわない。まことに『来て良し、帰って良し』だ〉。
とはいえ、やはり娘にはそうは言えない。娘が迎えに来るまで、あと一週間。その「解放の日」までの
散歩は残り十三回と、私は壁のカレンダーで数えてみるのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
と、わんちゃんのウィステへの態度とムスメへの態度の違うこと、違うこと・・。(^^;)
今日も、夕方、ウィステのポチ散歩と入れ替わりに、わんちゃんは、大好きなムスメとお散歩へ・・。(^^)
今、ムスメは大きなお腹をしてわんちゃんのお散歩をしている。
わんちゃんも、とても良い子でお散歩♪
以前、ウィステもわんちゃんを預かって散歩させたことがあるんだけれど、
その時と大違いだわ。
その時のエッセイ・・。
(わんちゃんは、ハンドルネーム。本名は、ロディなんです・・)
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娘の犬
寝る前に腰に貼った湿布は効いているのだろうか。腰痛は治まらない。布団の中で腕をちょっと
動かしてみると、肩に痛みが走る。これは、五十肩が再発したのではなかろうか。娘の犬ロディを
預かって一週間、私は、腰痛と肩の痛みに襲われていた。
〈歩けなくなるほど腰痛が酷くなったら、どうしよう。この肩の痛さは、五十肩どころか亜脱臼
くらいしているかもしれない。一人暮しなのに、寝ついたら大変だ。大事にならないうちに、
明日は整形外科に行くべきか〉
と、悩んでいる。
こうなった原因はロディの散歩だ。東京に住む娘が埼玉に引っ越しすることになり、二週間という約束で
預かった。娘に当てにされたのが嬉しく二つ返事で引き受け心待ちにしていたのだが、ロディは娘に置いて
いかれたショックか一日中娘の部屋で蹲って過ごしている。様子を見に行き、その黒い毛の固まりを上から
抱きしめてやっても、その時だけ頭をちょっと上げて私を見るが、
〈なんなの……。あんたじゃないんだよ〉
と、動こうとしない。それが、朝夕二回、私が散歩の仕度を始めるや、一階に降りてきて私に纏わりついてくる。
引き綱をつけ門を出ると、いきなり走り出す。ロディにしてみれば、いざ散歩と気が逸るのだろう。性格が
いくら穏やかでも甲斐犬の雑種という中型犬ともなると力はある。こちらは、その十五キロの体重に引き綱を
持つ腕がぐんぐん引っ張られ、転ぶまいと足を踏ん張る。散歩の間中、足の指先に力を入れ一歩一歩踏みしめて歩く。
散歩の時もお行儀が良いと聞いていたのに、
「ちょっと待ちなさい」
という私の声にはお構いなしのロディは、私を甘く見ているに違いない。そんな次第で、あっという間の
腰痛、肩の痛みだ。
〈娘にこれ以上預かるのは無理とSOSを出そう。きっととんで助けに来てくれるわ。そして、ロディの
散歩をやってくれるわ〉
と、自分を宥めてようやく眠りについた。
寝室のドアがカタンと音をたてて少し開いた。はっと目を覚ますと、朝。ドアの隙間から黒いものが
私の寝室を覗き込んでいる。鼻と前足で器用にドアを開けたロディだ。人恋しいのか、私が起きたのを見て、
ゆるゆると尻尾を振りかまって欲しそうな顔つきで遠慮がちに近づいてくる。尻尾を激しく振り飛びついて
顔を舐めるというロディの娘への愛情表現には及びもつかないが、だんだん心を開いてくれる様は嬉しく、
私は、「おはよう」と、頭と体を撫でてやった。喜んでいるロディを見れば、待ちかねている散歩に連れて
いかないわけにはいかない。
そこで、幅広の腰ベルトを締め、散歩に出た。案の定、勢い良く引っ張られ右肩が痛い。そうだ、右肩に
負担をかけない引き綱の持ち方にすれば良いではないか。脇だ、脇が甘いので、腕が伸びるのだ。私は、
脇腹に肘をしっかりつけた。これで良し。もう、ロディの力が直に右肩にこない筈だ。それから、
歩いて十分ほどの運動公園へ行った。朝の公園は緑が清々しい。猟犬の習性か、ロディは植え込みの根元や
草のしげみに顔を突っ込んでは、しきりに匂いを嗅ぎまわる。公園内の道を、犬の散歩やウォーキングの人を
避けながら歩くと、なかには、
「甲斐犬ですか」
と、声をかけてくる人もいる。私にはその言葉は、
「外見が地味でも良い犬なんですよね」
と、聞こえ、にっこり笑って頷く。三十分かけて公園を一回り。そろそろ帰ろう。けれども、ロディは
踏ん張って嫌がる。まだ物足りないのだろうが、朝の散歩時間はこれくらいにして欲しい。私は、引き綱を
きっぱりと引く。すると、ロディは諦めて帰り道につくのだが、帰りは、行きよりは聞き分け良く歩いて
くれるので助かる。玄関に入ると座らせて、私は雑巾でロディの足を拭く。
「はい、前足を出しなさい。良いワンチャンはすぐに前足を出すのよ。
はい、こっちも出しなさい。良いワンチャンは、言う事を良く聞くのよ。
はい、お尻を上げて。良いワンチャンは素直に上げるのよ。
はい、後ろ足を上げるの。良いワンチャンでしょう……」
その間、私の口からは、「良いワンチャンになりなさい」との説経が溢れ出る。本当は、大人しく散歩して
くれる方がずっと良いワンチャンなのだが。ロディは面白く無さそうな顔つきで、されるがままだ。
足拭きが済むと階段をのそのそと登っていく。その後ろ姿は、
〈散歩も終っちまったなあ。あとは、めしの時間まで二階で丸まって休むとするか〉
と、語っている。
ロディも一緒に居間に来て、私の足元で横になっても良いのにと思いながら、私はお茶で一息つく。
〈ロディは可愛いけれど、散歩はかなわない。まことに『来て良し、帰って良し』だ〉。
とはいえ、やはり娘にはそうは言えない。娘が迎えに来るまで、あと一週間。その「解放の日」までの
散歩は残り十三回と、私は壁のカレンダーで数えてみるのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
と、わんちゃんのウィステへの態度とムスメへの態度の違うこと、違うこと・・。(^^;)
今日も、夕方、ウィステのポチ散歩と入れ替わりに、わんちゃんは、大好きなムスメとお散歩へ・・。(^^)