2010年11月10日(水)
昨日から、喉が痛い。風邪かな~・・・?
やっぱり、ポチのために夜中エアコンをつけているので、やられたかな?
ポチがウィステの寝室へ来て、はや3月。
ウィステの掛け布団の上で寝ることに、ポチもウィステも慣れてしまった。
居間にもどすのも・・・。
となると、喉対策をとらなくちゃと、マスクをして寝ました。
起きたら、マスクの紐の跡が頬についちゃって・・・。(^^;)
今日、ダンスに行ったら、いつもエッセイ誌を読んでもらっているプリマ様が、
面白かったと言ってくれたので、そのエッセイを・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「背中スキっと」
梅雨前の午後のかんかん照りに晒されながら、駅から家へと歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「あの、すみません」
振り返ると、若い女性が自転車を押しながらやって来る。誰なのか心当たりはないけれど、住宅街の中の
道には他にひと気も無いので、やはり私かな、道でも聞かれるのかなと、立ち止った。近づいたその女性は、
「あの、失礼ですけれど、ダンスなさっています……?」
と、思いがけないことを聞いてきた。突然の質問に、「何なのですか?」と聞き返しても良いはずなのに、
〈ダンス〉という言葉に反応して、
「ええ、していますけれど……」
と、つい答えてしまった。
「やっぱり。背中がスキッとされていて、絶対、ダンスされていると思ったんですよ」
女性は、にこにこと続ける。
私は東京での葬式の帰りだったから、道々喪服のままではと上に似合わない薄手の白っぽいコートを
羽織っていた。同じ年の古い友だちの死に気落ちした背中だったと思うのだが、その笑顔に、くすんでいた
気持ちが少し吹き払われ、
――そんなに、スキッとしていたのかしら?
ちょっと違うのかしら?
ダンスやってて良かったわ……。
と、つられて笑顔になった。
「私の母親くらいのお年ですけれど、姿勢が違いますね」
という言葉には、〈ふふふ〉と、気持ちが半分緩む。残りの半分には、
〈私はあなたの母親くらいの年なのねえ〉
と、冷静な部分もあった。
「どちらで、ダンスをなさっているんですか?」
「はあ、集会所でね」
若そうだけれど、ダンスに興味があるのかしら?お仲間に入りたいとか……と、愛想良く集会所の方向を
指差して教えてしまってから、ようやく、
――昼日中に、こんな若い女性がここで何をしているのかしら?
と疑問が湧き自転車の前カゴを覗くと、パンフレットがどっさり入っていた。
「ダンスをなさるなら、エステとかなさっています?」
――ああ、エステの勧誘だったのか……。誉められたと思ったのに……。
同時に、私の中で警戒警報がピピっと鳴った。
「うちのお店、一回千八百九十円ですけれど、いかがですか?」
にこやかに勧めてくれるけれど、ここで話に乗ってなるものかと、
「いや、いいです」
それでも、彼女は、
「千八百九十円って、高いですか?」
と、押してくる。セールストークに負けまいと、
「いや、一回じゃすまないと思うので……」
と、〈結局高くつきそう〉という言葉は飲み込んで、私は、あいまいに逃げの一手だ。
エステって優雅なマダムのするものという印象があって、良く分からないけれど憧れる気持ちもある。
ゴロンと横になっている間にマッサージとかされて、楽にシェイプされた身体と年齢より若い美貌も
手に入るらしいし。だが、友人がテレビで見たという、
「悪徳エステ店って、タオル一枚にしてから、執拗に高額な契約を結ばせるんですって」
と、とんでもない例の情報も頭を掠めたりもする。ちょっと誉められて嬉しかった分だ
け、がっかり感が増してもいた。目の前の女性は、感じ良さそうな態度を崩さずに、
「サンプルがあるので、どうぞ」
と、かごのパンフレット類の間に手を入れてごそごそ探し始めた。私は、すかさず、
「あ、結構です」
と、早足で立ち去った。
それでも、彼女が追いかけてくるかと、すぐ先の角を左へ右へと曲がったりした。家まで付いて来たら
どうしようと焦ったが、しばらく行って後ろを振り返って誰もいないのを確かめ、やっとほっと気持ちが
解れたのだった。
――この暑い最中、ひと気のない街で一軒一軒ポストにパンフレットを入れて歩いていたんでしょうねえ。
そこに私が通りかかったわけか……。
若い人が汗して働いて……、生きているんだ。
協力できなかったけれど、お仕事は頑張ってほしいなあ。
それにしても、私の背中、スキッとじゃなく、隙だらけだったのかも……。
私は、少し姿勢を意識しながら、軽くなった足取りでまた歩き出した。
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昨日から、喉が痛い。風邪かな~・・・?
やっぱり、ポチのために夜中エアコンをつけているので、やられたかな?
ポチがウィステの寝室へ来て、はや3月。
ウィステの掛け布団の上で寝ることに、ポチもウィステも慣れてしまった。
居間にもどすのも・・・。
となると、喉対策をとらなくちゃと、マスクをして寝ました。
起きたら、マスクの紐の跡が頬についちゃって・・・。(^^;)
今日、ダンスに行ったら、いつもエッセイ誌を読んでもらっているプリマ様が、
面白かったと言ってくれたので、そのエッセイを・・。
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「背中スキっと」
梅雨前の午後のかんかん照りに晒されながら、駅から家へと歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「あの、すみません」
振り返ると、若い女性が自転車を押しながらやって来る。誰なのか心当たりはないけれど、住宅街の中の
道には他にひと気も無いので、やはり私かな、道でも聞かれるのかなと、立ち止った。近づいたその女性は、
「あの、失礼ですけれど、ダンスなさっています……?」
と、思いがけないことを聞いてきた。突然の質問に、「何なのですか?」と聞き返しても良いはずなのに、
〈ダンス〉という言葉に反応して、
「ええ、していますけれど……」
と、つい答えてしまった。
「やっぱり。背中がスキッとされていて、絶対、ダンスされていると思ったんですよ」
女性は、にこにこと続ける。
私は東京での葬式の帰りだったから、道々喪服のままではと上に似合わない薄手の白っぽいコートを
羽織っていた。同じ年の古い友だちの死に気落ちした背中だったと思うのだが、その笑顔に、くすんでいた
気持ちが少し吹き払われ、
――そんなに、スキッとしていたのかしら?
ちょっと違うのかしら?
ダンスやってて良かったわ……。
と、つられて笑顔になった。
「私の母親くらいのお年ですけれど、姿勢が違いますね」
という言葉には、〈ふふふ〉と、気持ちが半分緩む。残りの半分には、
〈私はあなたの母親くらいの年なのねえ〉
と、冷静な部分もあった。
「どちらで、ダンスをなさっているんですか?」
「はあ、集会所でね」
若そうだけれど、ダンスに興味があるのかしら?お仲間に入りたいとか……と、愛想良く集会所の方向を
指差して教えてしまってから、ようやく、
――昼日中に、こんな若い女性がここで何をしているのかしら?
と疑問が湧き自転車の前カゴを覗くと、パンフレットがどっさり入っていた。
「ダンスをなさるなら、エステとかなさっています?」
――ああ、エステの勧誘だったのか……。誉められたと思ったのに……。
同時に、私の中で警戒警報がピピっと鳴った。
「うちのお店、一回千八百九十円ですけれど、いかがですか?」
にこやかに勧めてくれるけれど、ここで話に乗ってなるものかと、
「いや、いいです」
それでも、彼女は、
「千八百九十円って、高いですか?」
と、押してくる。セールストークに負けまいと、
「いや、一回じゃすまないと思うので……」
と、〈結局高くつきそう〉という言葉は飲み込んで、私は、あいまいに逃げの一手だ。
エステって優雅なマダムのするものという印象があって、良く分からないけれど憧れる気持ちもある。
ゴロンと横になっている間にマッサージとかされて、楽にシェイプされた身体と年齢より若い美貌も
手に入るらしいし。だが、友人がテレビで見たという、
「悪徳エステ店って、タオル一枚にしてから、執拗に高額な契約を結ばせるんですって」
と、とんでもない例の情報も頭を掠めたりもする。ちょっと誉められて嬉しかった分だ
け、がっかり感が増してもいた。目の前の女性は、感じ良さそうな態度を崩さずに、
「サンプルがあるので、どうぞ」
と、かごのパンフレット類の間に手を入れてごそごそ探し始めた。私は、すかさず、
「あ、結構です」
と、早足で立ち去った。
それでも、彼女が追いかけてくるかと、すぐ先の角を左へ右へと曲がったりした。家まで付いて来たら
どうしようと焦ったが、しばらく行って後ろを振り返って誰もいないのを確かめ、やっとほっと気持ちが
解れたのだった。
――この暑い最中、ひと気のない街で一軒一軒ポストにパンフレットを入れて歩いていたんでしょうねえ。
そこに私が通りかかったわけか……。
若い人が汗して働いて……、生きているんだ。
協力できなかったけれど、お仕事は頑張ってほしいなあ。
それにしても、私の背中、スキッとじゃなく、隙だらけだったのかも……。
私は、少し姿勢を意識しながら、軽くなった足取りでまた歩き出した。
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